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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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圧倒的なる存在

圧倒的な威圧感を放つ敵兵に、アーシャはサーバルと共に前へと出る。

近づくだけで息苦しくなり、心臓も早く鼓動する。


「……サーバル、レッド達に繋がるか?」

「お前も解ってるだろ?あの野郎の魔法と、まかれた粒子で遮断されてやがる」

「だよな」


余裕の笑みを浮かべる敵兵を前に、アーシャ達は二方向に分かれる。

未だに敵艦の方では戦闘が続き、レッド達の助けは期待できない。


「(レイブン以外で、こんなの初めてだ)」


呼吸は浅くなり、視界は敵兵とサーバルだけを捉える。


「……来な」

「ッ!」


手招きに応えるように、近接武器以外をパージしたアーシャは一気に駆けだす。

魔力による身体強化を最大まで引き上げ、手斧にも大量の魔力を注ぎ込む。


「(一撃で、一撃で終わらせる!)」


敵兵と目を合わせるアーシャは、その奥に居るサーバルとアイコンタクトを取る。

彼女は敵の死角から急所に狙いを定め、アーシャより早く接近している。


「フッ」


この状況で笑みをこぼした敵兵は、先に後方のサーバルの攻撃に反応した。

刀を持たない手でサーバルのブレードを砕き、その流れでアーシャの一撃を刀で受け止める。


「グッ!?」


衝突で甲板上は衝撃波で削れ、陥没してしまう。

待機していた兵士も吹き飛び、ビークルは位置がずれた。

この状況に、アーシャはヘルメットの中で目を見開く。


「バカな!」


アーシャの最大の一撃は片手で防ぎ止められ、敵兵は涼しい顔で維持している。


「おいおい、いくら子供だからって、これは無いだろ」

「こんの!」


その隙を狙って、サーバルがダガーナイフを片手に迫った。

だが、それさえ予期していたかのように、敵兵はサーバルを片手であしらう。


「ガッ!」


敵兵の拳骨はサーバルの右肩を直撃し、衝撃でサーバルの肩は外れた。

ナイフを手放し、甲板へと叩きつけられた。


「勇敢な子猫だが、まだ力の使い方がなってないな、そして、お前もなっ」

「グガッ!」


更に力を込められたアーシャは、逆に押しつぶされた。

筋肉の筋一本一本に、一切の緩みを許されない膂力に襲われる。


「それでもタイタンか?」

「ヌアアア!!」


更に力を込められたアーシャは膝をつき、メイジギアのフレームも悲鳴を上げる。

アーシャの骨も嫌な音を上げ、筋線維は次々弾ける。


――――――


その頃。

撃破された味方機に身を隠すフィリアは、劣勢となるアーシャを捉えていた。


「ま、マスター(近づけない、あの竜人が発してる紫電が邪魔だ)」


すぐにでも援護したかったが、近づけばまた脳をやられ、射撃では阻まれる。

フィリアは自身のスキャン結果に、ライフルを握り締めた。

そして、すぐ横に居る薄情者を睨む。


「あらら、ステータス差はもちろんだけど、経験差が凄すぎる、二人には早かったかー」

「アンタはここで何してんですか!?」


アーシャ達がピンチの中で、ケフュレスはフィリアの隣で隠れていた。

彼女達の事も視認しているが、手遊びしているようにしか見えない。


「……そんなの弄ってないで、助けに行ったらどうです?」

「あはは、私接近戦苦手だからね、それに、ここからじゃあの電撃の前じゃ狙撃も防がれる」

「でしたら」

「だから、貴女が行く」


そう言いながら、ケフュレスはフィリアのヘルメットに触れる。


「はい、これでヘルメットを装着している間は、脳を焼かれる心配は無いよ」

「で、ですが、あの人も魔法を使っています、貴女方のように、気配を探知できる可能性も」


改めてアーシャの方へ目を向けたフィリアは、今にも潰されそうな彼女の姿を捉える。


「フィリアちゃん、前にもここで言ったけど、貴女の気配は私達の能力じゃ探知し辛い」

「……つまり、隙を突ける」

「そう言う事」


笑みを浮かべたケフュレスの案に、フィリアは表情を強張らせた。


――――――


「クッソォォ!」

「おお」


押されていたアーシャは、気合だけで何とか押し返す。

彼女の様子に笑みを浮かべた敵兵は、アーシャを蹴り飛ばす。


「ゴッハッ!!」


あばら骨から異音を感じながら、アーシャは吹き飛んだ。


「グ、あ」


折れた箇所を抑えながら転がるアーシャへ、敵兵はゆっくりと近寄る。


「その程度か?」

「う、うる、さい」


一歩ずつ、確実に近づいて来る兵士。

間合いに入られる前に立ち上がろうと、アーシャは足に力を入れる。


「ク、ソ」

「流石だ、だが、もう虫の息か」


紫電を纏った敵兵の左手は、ふらつくアーシャへと向けられた。

アーシャは拳銃を抜き、すぐに引き金を引く。


「クソ!クソ!クソ!」


しかし、敵の目の前で弾道は歪む。

一発も当たる事無く、銃弾は底をつく。


「さらばだ」

「グ!」


目前の事実を前に、アーシャは目を瞑った。


「デイッ!」


魔法が放たれる寸前で、フィリアのナイフが敵兵の左腕を傷つけた。


「何!?」

「ふ、フィリア!?」


突然現れたフィリアに、敵兵は後ろへと下がった。

驚くアーシャを横目に、フィリアは追撃を開始する。


「この!」

「コイツが」


接近してくるフィリアへ、敵兵は電撃を繰り出す。


「なめるな」


シールドを構えたフィリアは、仕込んであるギミックを作動。

魔法がシールドに接触する前に、敵兵士の電撃は拡散する。

盾を持つ手に熱を感じようと、フィリアは表情を変えずに、柄についているスイッチを押す。


「これなら!」


フィリアの持っていた刃が発信機となり、粒子を固めた長い刃を形成する。

目を丸める兵士へ、フィリアは刃を振り下ろす。


「ッ!」

「チ!」


二人の刃は交差し、フィリアは相手の力に合わせてスラスターを使いながら浮かび上がる。

頃合いを見て、フィリアは太陽に向けて飛び上がる。


「今度こそ!」

「グ!」


太陽を背にしたフィリアは、スラスターを一気に吹かした。

突き刺す攻撃の姿勢を取り、間合いを瞬時に詰める。


「……悪く、思うな!」

「ッ!」


敵兵から繰り出された反撃の刺突は、フィリアの構えていたシールドを貫通した。

その威力で盾は真っ二つに割れ、太陽だけが姿を現す。


「居ない!?」

「……」


敵兵によって破壊された盾、その内の一枚よりフィリアは姿を現した。

サーベルを構えるフィリアは、間髪入れずに甲板を蹴り飛ばす。

掛け声一つ無く放たれるフィリアの突きは、刀を持つ敵兵の右腕を貫く。


「……そう来たか」


ようやく攻撃が入り、敵の兵士は冷や汗を流す。


「これで!」


もう一本のナイフを取り出したフィリアは、第二撃目を撃ち込む。

ビーム刃は兵士の首元へ差し迫り、途中で止まる。


「ア、ガ」

「……悪いな」


フィリアの胴体は、雷で形成された刃で貫かれていた。

更に全身に電流が流され、フィリアの持っていたナイフは機能を止める。


「ガハッ!!」

「フィリア!!」

「チィ!」


アーシャの悲鳴と共に刃は振り払われ、フィリアは彼女の方へと投げ飛ばされた。

血で甲板を汚しながら人形のように転がるフィリアは、アーシャの前にたどり着く。


「……フィリ、ア?」


倒れ込み、血の池を作るフィリア。

ゆっくりと手を動かし、アーシャの膝を触れる。

彼女に置いたアーシャの右手は燃えるように熱くなり、過去がフラッシュバックされる。


「(同じだ、また……)」


倒れるフィリアとサーバル、彼女達の姿だけがアーシャの視界に映る


「……ッ!」


風の音さえ消え、自身の鼓動だけが響く。


――――――


ライフルを構えながら傍観していたケフュレスは、身の毛をよだたせながらスコープから目を離す。


「……破れた、一つ」



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