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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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幼馴染

 フィリアが試着している頃。

 サーバルは別のコーナーを見て回るついでに、ケフュレスの元に向かった。


「で?……アーシャに何を吹き込んだ?」


 少し身体を反らしたケフュレスは、何故か頬を赤らめる。


「やん、そんな情熱的な目されたら、お姉さん困っちゃう」

「茶化すな、話せ」

「……」


 唇を少し尖らせたケフュレスは、サーバルとの間合いを開ける。


「アイツは孤児院の頃からずっと塞ぎ込んでたんだぞ、それが、なんで今」

「フィリアちゃんが何かしたみたいだね、その影響」

「……」


 腕を組んだサーバルは、孤児院の頃を思い出す。

 一緒に遊ぶようになってからも、アーシャの感情の一部は死んでいた。

 長い事一緒に居てその事に気付き、何とかしようとして来た。


「(あの頑固者が、一日で)」


 顔を強張らせたサーバルは、壁を軽く叩いた。

 あんなに一緒だったのに、何もしてあげられなかった。


「……歯がゆいな」


 孤児院に居た頃、何度か一緒に寝た事もあった。

 それでもアーシャの悪夢が消えた訳でもなく、すぐ誰かを呼びに行くのが精いっぱいだった。


「もー、そんな落ち込まないで」

「ッ、お、落ち込んでる訳じゃ」

「それとも妬いてる?」

「ち、違うっつの!」


 顔を赤くしたサーバルは、いつの間にか背中に回り込んで来たケフュレスを振り払った。

 そのままアーシャの方を向き、彼女の後姿を捉える。


「(……けど、何だろうな、この胸の痛み)」


 胸を両手で抑えるサーバルの視界は、徐々に歪みだす。

 ずっと近くにいた筈なのに、アーシャがとても遠い。

 笑みを浮かべるケフュレスは、サーバルの頭に手を置いて来る。


「大丈夫、そもそもアーシャちゃんが戦える位になったのは、サーバルちゃんのおかげなんだから」

「だ、だから違うってのに」

「あはは、顔赤くなってるよ」

「うるせぇ」


 顔を逸らしたサーバルは、アーシャの元へと向かう。

 試着室の前で胸に手を置く彼女の隣に立ち、さりげなく横顔を見上げる。


「……おい」

「ッ、な、なんだよ」

「……妙に嬉しそうだな」

「は!?ん、んな訳」


 手の甲で口元を隠すアーシャを見て、サーバルは息を吐き出しながら目を逸らす。

 初めて本当に嬉しそうだった顔の彼女に、更に胸の痛みを感じた。


「チ(俺が何しても、そんな顔しなかったクセに)」

「あの、マスター、こういうのはどうですか?」

「ん、あ、ああ、良いんじゃないか?可愛いぞ」

「あ」


 カーテンを開けたフィリアの服を見に行ったアーシャの後ろで、サーバルは二人の様子を眺める。

 自分には一度も見せてくれなかった桜色の表情は、フィリアへと向けられる。


「フィリア、確かに可愛いけど……お、俺だって……アイツさえ、居なければ」


 子供嫌いの筈のアーシャが、彼女にはすっかり気を許している。

 胸にモヤモヤとした感情が沸き上がり、気づけば、その手は銃の留め具にさしかかる。


「ッ(お、俺は、何を、こ、子供相手に)」


 すぐに銃を固定する為のボタンをかけ直したサーバルは、震える両手で頬を叩く。


「お、やっぱアーシャちゃんのセンスは可愛いね」

「……」


 背後から現れたケフュレスは、フィリアの姿をニヤニヤと観察しだす。

 そんな彼女に、サーバルは疑問符を浮かべる。


「なぁ」

「なぁに?」

「……お前、アーシャの事好き、なんだろ?」

「そうだけど?」

「辛く、無いのか?他の女にデレデレしてる所見て」

「……うーん」


 サーバルの問いかけに、ケフュレスは若干上を向いた。

 しかし、その表情はいつもの軽く朗らかな物だ。


「辛いけど、あの子が健やかに育ってくれるなら、私は悪魔にでも魔王にでもなるよ」

「……意外と強いんだな、お前……おれは、自分に言い訳するので精一杯だ」

「そうでも無いよ」

「……そうか」


 改めてアーシャの方を向くサーバルは、大きめに息を吸い込む。

 一滴の涙が零れるが、その痛みを飲み込む。


「(……他にやりたい事も解らなかった俺が、傭兵に入ろうって思ったのも、アイツとの友情がキッカケだ、そして、アイツは)」


 笑みを浮かべたサーバルは、胸に手を置く。

 まだチクチクと痛むが、希望を見出した事でだいぶ収まって来た。


「(友人を探し当てたら、少しは、振り向いてくれるかもな)」


 ついでに、アーシャの友人の特徴を思い出す。

 別種の獣人族で、今頃アーシャと同い年の少年。


「……ん?」


 その途中で、サーバルはひっかかりを覚えた。

 孤児院で遭ったひと悶着を思い出し、サーバルはとある疑念を浮上させる。


「まさか、いや、だとしたら……アイツ」

「ん?」


 疑問符を浮かべるケフュレスの横で、顔を引きつらせたサーバルは冷や汗を垂らした。


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