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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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ベルガスシティ

 翌日。

 出発したアーシャ達は早速町内へと入り、艦の外に出られた解放感を謳歌していた。

 その傍らで、フィリアは開いた口を塞げずにいた。


「……思ったより普通ですね」


 壁の内側は現代社会その物と呼べる物が広がり、それなりのビル群が立ち並んでいる。

 装甲車が乗用車気取りで走っている所に目を瞑れば、町の様子はフィリアの記憶と大差ない。

 特に目に着くのは、町の中央部分にそびえ立っている巨大な塔と呼べる物だ。


「ですが、あの塔は、一体」

「ベルガスタワー、この辺りの領主、ウィルソンの自宅でも有る、まぁウチのお得意様だ、警戒する事は無い……」


 一緒に塔を見上げたインナースーツ姿のアーシャは、簡単に塔の事を説明した。

 そして覇気も無くあくびするアーシャの姿に、フィリアは昨日の事を思い出してふくれっ面を浮かべてしまう。


「(昨日結局添い寝させてもらえなかったし、また不眠症か?)」

「おい、あっちはコマンダーたちの行く場所だ、俺達は先ず、エターナルの支部だ」

「あ、そうでしたね」


 塔にばかり気を取られていたが、ドクロ中心の私服を着るサーバルに諭された二人は移動を再開した。

 その道中で、フィリアは辺りを見渡す。


「賑わってますね(やけにコーラの広告が多い気がするけど)」

「それに、ここは私達の協力のおかげで、他と比べると比較的治安はいいからねー」

「……治安、ですか」


 チューブトップ姿のケフュレスが自信満々治安の良さを語ったが、先ほどからずっと無視していた音にフィリアは耳をすませる。

 人の賑わいや、車のエンジン音に混ざって、確かに銃声が混じっている。


「……先ほどから花火大会並に銃声が響いてますけど?」

「あー、どっかで抗争してるのかなー?まぁ気にしないでも、十分位で治安維持部隊が駆けつけて来るよ」

「ッ」


 のほほんと銃声の原因を解説するケフュレスとは裏腹に、銃声はますます激化してフィリアは耳を塞いでしまう。

 オマケに、目の前の通りからロケット弾らしき物が横切った。

 どこかに着弾したのか爆炎と煙が轟音と共に現れ、その一部を浴びるフィリアは真顔となる。


「……治安のいい住みよい街ですねー」

「これでも良い方なんだよ、ほんとだよ?」

「……はい(もうこれ以上空気が良くなる事無いな)」


 顔をひきつらせたフィリアは、力無く返事した。

 そんなやり取りをする彼女達の後ろで、アーシャとサーバルは明後日の方を向いていた。


「……つけられてんな」

「ああ、ま、喧嘩なら喜んで買ってやるさ」

「だな」

「二人共!行くよー!」

「……ん、あ、ああ、解った」


 ケフュレスに呼ばれた二人は、さっさと移動を開始する。


 ――――――


 銃声が聞こえなく成程歩いたアーシャ達は、最初の目的地に到着。

 不気味な雰囲気を醸し出す無機質なビルの正門をくぐり、庭の中に入り込むなり、ケフュレスはビルを仰ぎ見る。


「さぁて着いたね~、懐かしいな~、私もアーシャちゃん達の手を引きながら連れて来たな~、あのプニプニで柔らかくて、力を入れたら折れちゃいそうな手と腕、もう一度味わいたいな~」

「……今なら後頭部に銃弾撃ち込めますよ」

「流石のアイツも頭やられたら復活できないから気を付けろよ」


 フィリアのケフュレス暗殺を退くと、四人はビルへ入るべく自動ドアをくぐる。

 その際すれ違った警備員二人に、フィリアは目を奪われる。


「(……あの見張り、随分ゴツイな)」


 警備兵と思われる黒ずくめの人物にすれ違ったフィリアは、彼らの装備に目を向けた。

 メイジギアの代わりに黒い防弾コートを着用し、大型のショットガンまで装備している。

 顔はヘルメットで覆われ、人なのかどうかさえ疑わしい。


「(全員体格が同じ?装備のせいでそう見えるだけか?てか、装備が武器の知識聞きかじった人が考えたみたいな奴だな)」

「あまりジロジロ見るな、下手したら警告無しでミンチだ」

「……本当に警備兵なんですか?」

「さぁな」


 警告無しでミンチ、その事に軽く身を震わせながら、フィリアはアーシャ達と共にビル内部へと入り込む。

 その瞬間、両サイドの警備兵二人が発砲する。


「何だッ!?」


 フィリアは咄嗟にアーマーを展開し、アーシャ達も武器を構えた。

 しかし、もう彼女達が手を下す必要はない。


「……ほ、本当に、容赦無いですね」

「……言ったろ……てか、アイツ等、さっきまで私達の事つけ狙ってた奴じゃねぇか」

「ああ、ここ入った瞬間狙うとか、馬鹿なヒットマンだぜ」


 彼女達の目に入り込んで来たのは、本当にミンチにされたスーツ姿の武装した人物数名。

 呆気に取られていると、硝煙のたつ銃を構える警備兵の一人が話しかけて来る。


『お騒がせいたしました、こちらで対処いたしますので、傭兵の皆様は、ご心配なくお入りください』


 ボイスチェンジャーを使っているのか、機械的な声が耳に入り込む。

 おかげで、性別やどんな感情を抱いているのかさえ解らない。


「は、はい」


 警備兵の一人は無線で誰かに連絡をとりながら、淡々と死体の方へと向かっていった。

 彼の姿を横目に、フィリアは昔の記憶を脳裏に過ぎらせる。


「(今の感じ、まるで、私達強化人間……まさかな)」


 一抹の不安を感じながらも、フィリアはアーシャ達の後に続いて行く。



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