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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
序章 300年目の夜明け

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夜明け 前編

修正版です

 

 アーシャ達が地下へ突入してしばらくして。

 想定外の事態に焦るモンスーンは通信機に叫んでいた。


「緊急連絡!モンスーンよりスコールチーム!敵救援は予測より早い!応答しろ!敵の救援は予想より早い!聞こえるか!?」


 呼びかけを行うも、ヘルメットの通信機からは砂嵐しか聞こえてこない。

 何度呼びかけても結果は同じ、予定通りに行動していたら増援部隊と鉢合わせしてしまう。

 そんな最悪の事態を脳裏に過ぎらせ、思わず計器を殴りつけてしまう。


 ――――――


 同時刻。

 モンスーンの心配とは裏腹に、アーシャはケフュレスへと食い掛っていた。

 青髪少女の首に着けられた首輪を解除する為には鍵が必要だが、タイムリミットを考えると今は探している余裕はない。

 となると専門家に頼るしかなく、該当する人物の首を締めあげる。


「鍵って何だ!?作れるのか?お前は作れるんだよな!?」

「作れない事は無いけど、素材が無いね、有っても制作に半年かかるよ」

「ガッ……」


 流暢に告げられた現実に顔を真っ青にするアーシャは、ケフュレスを手放す。

 こうしている間にもタイムリミットは迫っている事実も変わらない。


「し、仕方ない、さっさと撤退だ!早くしろ!」


 諦めると共に落としていた機関銃を回収。

 撤退の為にエレベーターへと向かう。

 少し遅れて、サーバルと青髪の少女は合流する。

 ケフュレスとアーシャがもめている間に、少女の私物の回収に当たっていた。


「お、おい待て!これ結構重いんだよ!」

「すみません、手伝ってもらって」


 文句を垂れるサーバルは少女の私物の白い金属の箱を担ぎ、アーシャ達の後に続く。

 箱は少女が眠っていた棺桶とほとんど同じ大きさを誇っており、相当重いが着用しているメイジギアのおかげで何とか運べている。

 そそくさとエレベーターへと乗り込み、地上を目指していく中で少女は見つけた上着を握り締める。


「あ、あの、すみません、何か、お気に障る事をしてしまったようで」


 地上を目指すゴンドラ内で、フィリアは頭を下げた。

 先ほどからアーシャは機嫌を損ねたままとなっており、榴弾を乱暴に補充している。


「当然だ、クソ、何でこんなガキと主従契約何て(正夢だった以上にクソだ)」

「羨ましい」

「黙れ、私は子供が嫌いなんだ……ッ!?」


 不本意な状況に頭を抱えていると、アーシャの頭に電流が走ったような衝撃を受けた。

 間髪入れる事無く青髪の少女を守る様に三角状に展開する。

 先頭には盾と銃を構えるアーシャとサーバルが並び、ケフュレスは青髪の少女を後ろに配する。


「クソ、予定時間は過ぎてない筈だ、情報位正確にしやがれってんだ、何の為のブリーフィングだよ」


 予想よりも早い敵の到着にイラ立つアーシャは、スティック状の携帯食を頬張る、

 エレベーターが上にたどり着く前に全て水で流し込むと、ヘルメットのバイザーを下げる。


「シャー……規模はさっきと同じ位か……」

「え?」

「なら、AKもチラホラ来るな」

「普段なら何とかなる数だが、今は……」

「え?え?」


 首を傾げる少女の姿が視界の隅に映るが、今は彼女の事を気にしている余裕はない。

 子供嫌いのアーシャであっても、流石に目の前で死なれては食事が不味くなる。


「あの、敵襲、ですか?」

「ああ、そうだ、力の無い奴は下がっていろ」

「……ちから?」

「ガキはそう言う物だ(力がないから守られなければならず、自分の事だけで何時も精一杯、大人にとって足枷でしかない)」

「……」


 青髪の少女に対しては嫌悪感しか抱いていないアーシャは、両手に武器を構えて息を整える。

 感じ取れる気配によれば、敵は既にこのエレベーターを包囲するように展開している。

 他のメンバーもそれを認識。

 何時でも飛び出せるように準備を進める。


「この箱、置いとくぞ」

「あ、はい、ありがとうございます」

「とりあえず私はこの子守りながらここで狙撃するから、何時も通り前衛お願いね」

「分かっている、流石の私も目の前でガキが死んだら飯が不味くなる」

「(その感性持ってるならもっと優しく接しろよな)」


 サーバルの心のグチに気付かず、アーシャは戦闘態勢を終了。

 エレベーターの到着を前に、何時でも飛び出せる状態にする。


「……あの、マスター」

「何だ?」

「私は、戦闘には」

「うるさい、勝手にしていろ」

「……了解、こちらの自己判断で動きます」

「ああそうだ、そうしろ、死ななければ何してもいい」


 エレベーターは地上へ到着。

 アーシャとサーバルは間髪入れずに扉を蹴破る。


『ダラッシャー!!』


 掛け声と共に外へ出る。

 二人の目に飛び込んで来たアズカニダの正規兵達へ食い掛る。

 ケフュレスの援護を受けながら予想通りの数の敵兵を前に、二人は一気に駆けだす。


「さぁ、ぶっ壊してやるよ!!」

「来たぞ!ヴェイザー共だ!数で押しつぶせ!!」


 波のように迫りくる敵兵達へ、アーシャは肉薄。

 折角の遺跡で見つけたのは戦況を有利にする兵器では無く、ただの護衛対象だ。

 ケフュレスの負担を軽くするべく、三機のアーマードナイトの内一機へ手斧を繰り出す。


「こんの!」


 手っ取り早く倒したかったが、今回のアーマードナイトはアーシャの一撃を耐える。


「な!(こんな奴、今まで)」


 今までに無い敵にペースを乱され、ケフュレスへの援護が滞ってしまう。

 勝てない手応えはないものの、このノイズで敵機の内一機が防衛線を抜ける。


「あ、ケフュレス!一機そっちに行った!」


 ケフュレスへ警告するアーシャは、目を彼女達の方へ向ける。

 視界には迎撃を行うケフュレスを捉える。


「ちょ!こっち来ないでよ!」


 援護を中断したケフュレスは、狙いを接近してくる機体へ移行。

 しかし、相手はアーシャの一撃を防いだ機体。

 銃弾は全て弾かれ、弾丸も使い果たしてしまう。


「あ、弾無いなった!」


 ライフルを捨てたケフュレスは、マシンピストルで攻撃を開始。

 そのまま移動を行い、狙いを引き受ける。


「こっちだよ!こっちだって!でくの坊!!」


 豆鉄砲では効果が薄いのか、敵機はエレベーターに隠れる少女を狙う。

 振りかぶられた斧は、彼女へ向けられる。


「……自己防衛開始」


 まるで機械のようにセリフを述べる少女は首のチョーカーに触れ、金属のような液体を放出。

 液体が青髪少女を包み込み、徐々に白一色のアーマーを形成。

 最終的に顔もヘルメットで覆われる。


「あ、あの子」

「な!?」


 その姿に敵機体が固まった一瞬の隙に、少女はサーバルと持って来たボックスを倒す。

 スイッチを踏みつけてロックを解除。

 ハッチは解放され、ウェポンラックが起き上がる。

 ライフルとシールドを装備し、少女は迫って来るアーマードナイトを睨む。


「し、死ね!ヴェイザー!」


 振り下ろされた斧は少女の斧に阻まれ、押し返される。

 姿勢を崩した所を狙い、悪魔の唸り声のような銃声と共に青いビームを射出。

 動力部を破壊し、機体は爆散する。


「……排除完了」


 爆炎より現れ、地に足をつけた少女は、再度ライフルを構える。


「な、何だと……チ」


 一撃でアーマードナイトを破壊した。

 その事実もアーシャは一瞬動きを止めるも、すぐに我へと返って戦闘を再開する。


「(……使えるなら良い、けど)」

「あはは!良い腕だね!」

「……」


 ケフュレスの応援を聞き流しつつ、少女は銃撃を続ける。

 連射は行っていないが、おかげでアーシャ達の負担は軽減される。

 エレベーターのドアを蹴破ってからたった10分にも満たない時間で、四人は勝利を収めた。


「……はぁ、はぁ」


 肩で息をしながら死体を踏みつけにするアーシャは、脳裏に焼き付いた光景を思い返す。

 一撃で、アーマードナイトを破壊。

 アーシャ自身が欲する力の一例を見せられ、疑念と劣等感に襲われる。


「(私が、守られた?あんなガキに?)」


 守る対象だと思っていた存在に、守られた。

 それも、世界を滅ぼした技術を使って。

 腹の奥より嫉妬に息を荒くしながら、アーシャは敵兵の頭を踏みつぶす。



本日も続きを二本投稿します。

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