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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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ヴェイザーの流儀 後編

 月明かり照らす砂上の戦場を三台の装甲車は、砂塵をまき散らしながら爆走していた。

 町を囲う巨大な壁を伝うように、アーシャ達を移送している。

 その車内、最大人数詰め込んでいるおかげでかなり狭く暑苦しい環境で、アーシャはフィリアに通信を繋げる。


「言い忘れていた、何言われても逆上するなよ」

「え?(急に何?)」

『それはそうと、そのお嬢ちゃんは役に立つのか?』

『怖く成ったらいつでもこのお車に戻るんだよ、これから怖い人達が襲ってくるんだからね』

『嫌だったら、今すぐ船に戻ってミルクでも飲んでな』


 と、一部の隊員がフィリアを煽りだす。

 アーシャ達も通って来た道であるが、その時は乱闘になって全員レイブンの修正を受けた。


「(成程、よく有る奴か)」


 アーマーを装着したフィリアは、ナノマシンで感情をマスキングされている。

 痛みはもちろん、戸惑いも無ければ、怒りも無い。

 軽い嘲笑気味の空気であろうと、フィリアは人形のような無反応を貫く。

 反応しないフィリアに代わり、アーシャが名乗りを上げる。


『まぁちゃんと守ってやれよ、必要なら俺が子育てを手伝ってやる』

「テメェより、コイツの方が十億倍役に立つ」

『そうか!まぁ精々、守ってやるんだな!お母さん!』

「誰がお母さんだ」


 いじって来る仲間に向けて、アーシャは中指を立てる。

 それに続き、指揮官であるファインの言葉が通信機に入り込む。


『お喋りをしている余裕があるんなら気を引き締めろ!クズ共が!』

「押忍、曹長殿」

『解ったら降車の準備をしろ!レイン!クラウディ!貴様らは左右に展開!我々は中央に展開する!装甲車共はアーマードナイト隊と共に壁を作り、各隊を援護!脱出は常に行えるようにしておけ!!』

『押忍!』


 先ほどまで無駄話をしていた面々も含め、車内は緊張感で溢れ出す。

 それぞれ武器の最終チェックを行い、何時でも立ち上がれるように合図を待つ。


『立て!』


 ファインの掛け声を待っていたと言わんばかりに歩兵部隊は立ち上がり、同時に装甲車は展開を終了、車体後方のハッチが解放される。


『降車!!』

「行くぞ!」


 愛用の機関銃とグレネードランチャーを手にしたアーシャは、降車するなり盾を構えつつ周辺を警戒。

 すぐ近くで着弾した砲弾が炸裂して砂埃が舞う。

 ヘルメットが無ければ、アーシャの顔の器官はいくつか潰れていた。

 そんな事にホッとする事も無く、アーシャはすぐ敵陣へと銃撃を開始。

 彼女に続いて歩兵達も展開していき、フィリアもサーバルと共にアーシャに続く。


「(……一応、壁の方にも防衛設備は有るのか、けど、ほとんど壊されてる)」


 同じく展開したフィリアは周辺を見渡し、戦況をある程把握。

 防衛設備も守備隊も瓦解寸前、ヴェイザー達はその穴を埋めるように展開する。


『手の空いている奴は、負傷者を回収してやれ!前に居られても邪魔なだけだ!ヘイルチーム!援護しろ!』

『ヘイル1!マスターアームオン、援護する!負傷者は下がれ!!』

『ヘイル2!バトルシークエンス起動!歩兵は俺達を盾にしろ!!』

『ヘイル3、ミサイルを叩きこむ!』


 曹長ことファイン1の指示を受けたアーマードナイト隊『ヘイル』達は弾幕を形成、負傷兵たちの回収の手助けを開始する。

 作戦通りスマートに動く隊員達に感心するフィリアは、肩に流れ弾の衝撃を受けながら今の戦場を見渡す。


「(ッ、損傷無し……古い戦場だが、音も臭いはあまり変わらないな)」


 外れた銃弾の衝撃波や、狙いの逸れた砲撃の爆音がヘルメット越しに耳を叩く。

 物が焼けた異臭や立ち上る硝煙の臭いの一部が、ヘルメット内に入り込む。

 普通の人であれば顔をしかめるだろうが、たとえ人だった物を見ようと、フィリアは平然と銃を構える。


「(強化人間の居ない戦場、でも、やる事は変わらない)援護射撃、開始」

「おい、何ボーッとしてんだよ」

「え」

「私達はこっちだ、お前にはスコールの流儀を堪能させろって言われてるんでね」

「ッ」


 折角構えたライフルを下げられたフィリアはアーシャに連れられ、そのまま最前線へと移動する事となった。


「(正気か?敵陣に突っ込む何て)」


 最前列に立った事で、予想通りフィリア達への攻撃頻度は増している。

 アーシャとサーバルはシールドで身を守り、異常とも言える反応で攻撃を回避している。

 それでも、危険である事に変わりない。


『ガッ!こ、こちらヘイル2!片腕をやられた!』

『カバーしろ!!』

「(……後方のアーマードナイトでも安心できないってのに)」


 無線に入って来たアーマードナイトは、敵艦からの砲撃で片腕を吹き飛ばされた。

 これから向かうのは、そんな攻撃が雨のように降り注ぐ場所。

 そんな所に、感情をマスキングしていない二人が向かっている。


「(……そう言えば、初めて会った時も二人は殴り込んでたな)」


 一瞬驚いてもすぐにナノマシンで抑え込まれ、フィリアは冷静に頭を回した。

 二人の戦闘スタイルも思い出し、合わせるようにしてフィリアも行動する。


「(何時もと同じだ、的に狙いをつける、引き金を引く、それだけだ)」


 徐々に近づく最前列の敵部隊を前に、フィリアは安全装置を解除。

 すると、アーシャから通信が入る。


「フィリア!予定通り援護射撃!サーバルは先行しろ!援護する!」

「任せとけ!」

「押忍」


 意気揚々と駆けだしていくサーバルと異なり、フィリアは冷静に狙いを付ける。

 優先目標を割り出し、抵抗なく引き金を引く。


「排除開始」


 その冷淡な一言と共に、フィリアは敵兵の頭を撃ち抜いた。

 悲鳴の一つも上がる事無く、その兵士は崩れ落ちる。






申し訳ございません、リアルの都合でしばらく休載します。


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