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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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ヴェイザーの流儀 前編

 ケフュレスが厨房へと連行されてしばらくして。

 アーシャ達は同じ目に遭わないように食事は完食し、食堂を後にしていた。


「(ふぅ、姐さんは怖いが、味は本当に良いんだよな)」


 一般隊員の倍以上を平らげたアーシャは、満足そうにお腹をさする。

 この艦での数少ない楽しみに、表情を緩ませながら。


「美味かったか?姐さんの料理は」

「……」


 そして、未だに一緒に居るオセロットは、少しポッコリしたお腹をさするフィリアへ話しかけていた。


「あ、はい、食事でここまで満足したのは初めてです」

「そいつは良かった、姐さんも料理人冥利につきるだろうな」

「それなら良かったです……それで、結局、あの人置いて来て良かったんですか?」

「あー、自業自得だ、放っておけばいい」

「……はい」

「(姐さんの飯残してどっか行こうとしたからな)」


 背後で話すオセロットの言葉に頷いていると、フィリアが話しかけて来る。


「ご機嫌ですね、マスター」

「……まぁな」

「飯の時だけご機嫌なんだよ、コイツは」

「そうなんですね」


 全く弾まない会話の間をサーバルが取り持ってくれるも、結局はすぐに終わってしまう。

 この空気に耐えかねたサーバルは、深くため息をついてしまう。


「はぁ、お前らなぁ、これから仲良くしようって間柄なんだからよ、もうちょっと馴れ合ったらどうなんだ?戦いにも影響が出るぞ」

「仲良く、ね……」


 サーバルの叱責を受けて、アーシャは視線をゆっくりフィリアの方へ向けた。

 先ほどまでは普通の少女と錯覚していたが、サーバルの言葉で彼女は強化人間であると思い出す。


「(子供は嫌いだ、銃をぶっ放すなら、なおさら)」


 戦う意思と力があるのであれば、どんな種族であろうと関係なく入隊できる。

 それがヴェイザーのやり方ではあるものの、やはり未だにフィリアに対する嫌悪感は消えない。

 それでも、フィリアの持つ力には同じ位の魅力を感じている。


「そうだな、利用するなら、それも必要だ」

「たく、どうしてお前はそんなに」


 サーバルが修正の一発でも入れようと指を鳴らした時、艦内に非常ベルが鳴り響く。


「ッ、何だ!?」

「警報!?」


 耳を貫きそうな位うるさい警報に、緩んでいたアーシャ達の表情は強張り、フィリアは反射的にアーマーを展開。

 間髪入れる事も無く、この艦のオペレーターの一人のアナウンスが始まる。


『ベルガスシティからの緊急要請!アズカニダインダストリーの強襲艦隊を確認!戦闘部隊は直ちに出撃準備をお願いします!!』

「へ、ようやく来やがった!ヒャッフォウ!」


 軽くジャンプして喜ぶレッドは、真っ先に格納庫へと向かう。

 これから戦いだというのにやたらテンションの高い彼の姿に、フィリアは表情をひきつらせた。


「……ひ、ヒャッフォウって」

「ただのバカってだけだ、戦闘を何よりの楽しみにしてる」

「それもそれで怖いんですけど」


 他の変態達とはまた違うベクトルの恐怖に、フィリアは冷や汗を垂らした。

 そんな彼女を置いて行くように、状況は動く。


「元気な奴だ、行くぞ!」

「おう!」


 猛ダッシュで移動するレッドを追うように、同じ部隊のオセロット達も彼の後を追う。

 残されたアーシャも、戦闘班の一員として参戦しようと行動を開始する。


「私らも行くぞ」

「けど、ケフュレスが居ないぞ」

「狙撃なら大丈夫だ、フィリア、次も役に立ってもらうぞ(子供に背中を預けるのは正直癪だけどな)」

「え、あ、はい!」


 早めに脚を動かすアーシャとサーバルに続き、フィリアも二人の後を追いかけ始める。

 その道中、アーマーを展開して並走するフィリアは話しかけて来る。


「あの、敵は強襲艦隊とのことですが、この艦はちゃんと戦えるんですよね?」

「いや、行くのは私達だけだ、この艦はコストが高くておいそれと戦えないからな」

「てか、俺らもこの艦がマトモに戦ってる所見た事無いし」

「そ、それ、粒子兵器無しで、だ、大丈夫なんですか?仮にも相手は艦艇ですよね?」

「……」


 フィリアの疑問も当然の事。

 粒子兵器も持っていない歩兵や起動兵器だけで、艦艇を相手にする。

 かつてのアーシャでも、非常識でしかないとため息をついていた。


「(私も内部にさえ入り込めば壊せるが)」


 自分で言っておきながら、アーシャは劣等感で心を痛めた。

 アーシャ達スコールは、あくまでも展開している地上部隊が相手だ。

 敵艦を相手にするのは、オセロット達ライトニングの役割。

 それも中に入り込んでチマチマと、何て遠回りはしない。


「(アイツ等は、真正面から艦艇をぶっ壊す、私やサーバルの選択肢には無い)」

「あ、あの、マスター?」

「……まぁ見ておけ、艦隊相手だろうが、援護なしで叩き潰せるって所」


 また劣等感で寝込まないかと不安になりながらも、アーシャは格納庫にたどり着く。




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