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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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世界の歪み 中編

「何故、私をここに?」

「案内しろって言われたからな、戦闘員になりたいんなら、戦力云々は知っといた方が良いだろ?」

「……確かに、そうですね」


 目の前に佇む三百年前の骨とう品を前にしたアーシャは、その巨体を睨むように見上げて指がきしむ程の力で両手の拳を握り締め続ける。


「(クソ)」

「(あれ?なんか顔怖い……いや、前からそうだったか)」


 痺れる位眩しいボディに、目の前に居るだけで焼けそうなオーラ。

 ヴェイザー最強の戦力と言う言葉の響きにはアーシャは何度も惹かれ、そして目指してきたことも有ったが、自分達を陥れた存在でもあって複雑な感情が有る。


「(届かない、こんなに近いってのに、どんなに手を伸ばしても、私が欲する力は遠い、けど、アイツは憎むべき対象でもあるが、あの力が手に入れば)」


 アーシャの記憶によれば、TBサラマンダーはあらゆる物を焼き尽くす劫火その物と言われている。

 それだけの力を持つ目の前の遺物は、アーシャの欲する力の一例とも言える。

 だが反旗を翻す事を防止するべく、この機体はアーシャ達タイタン族が動かない様にセーフティがかかっている。

 厳密には機体の方では無く、彼女達の血に刻まれた例の呪いがそうさせているのだ。

 そのせいで機体のプログラムを変えても、アーシャには動かす事ができない仕様となっていた。


「私達タイタンは、他の魔族よりも大きく、強かった、メイジギア、アーマードナイトでも敵わなかったが故に作られた……コイツは、こいつ等は、私達を(乗れないんなら、何時か超えてやる)」

「そのお怒りも、ごもっともです」


 フィリアの目には確かに映った。

 アーシャの内側から湧き出て来る、怒りと憎しみの炎。

 その怒りはアーシャの魔力に作用し、無意識にオーラをまき散らしてしまう。


「知った気になりながら物を言うな」

「ッ、も、申し訳ございません(ん?)」


 軽率な発言で頭を下げたフィリアは、一瞬だけサラマンダーが動いたように見えた。

 すぐに頭を上げ、もう一度目にして見る。


「(あれ?今、一瞬動いたような、まさか、マスターの怒りに反応したのか?)」

「はぁ、はぁ、はぁ」


 怒りを抑え込むアーシャを横目に、フィリアは改めてサラマンダーを観察。

 少しポーズが変わっているように見えるが、それより気になる所が有る。


「そ、その、それで、動くんですか?これ、一応三百年前の機体ですが」

「動く、実際、もう一つの精鋭部隊のリーダーが、何度か運用テストもしている(私がパイロットになりたかったが)」

「そ、そうですか(粒子兵器運用できないくせに)」


 フィリアの中でまとめられていた疑問点は、更に大きくなった。

 携行式の粒子兵器は運用できないというのに、この大型艦の運用に加え、眼前の骨とう品の整備。

 かなり都合の良い具合に使用できる物とできない物が入り混じっており、そろそろ抑え込むのに限界が来た。


「それで、その、こう言った物の技術は、一体どこで?ほとんど失われていると言っていましたが」

「……多くはお前が居たような地下施設だ、今では総じて遺跡って呼ばれている、そこから技術やら何やらをな」

「(なるほど、それで技術に偏りが)」

「後は」

『乗船中の各員に通達、間もなく目的地に到着する、係の者は指定の準備を行え』


 何故こういった物の運用や整備を行えるのか、その質問に答えようとした所で流れたブリッジからのアナウンスに遮られた。

 だが、口頭で説明する手間が省けた。

 今頃一部の戦闘員とその他のスタッフ達が慌ただしく動いているだろうが、今のアーシャにはあまり関係はない。


「……その答えは甲板に上がってからだな」

「え?」


 フィリアからの質問に答えるべく、アーシャは近くのリフトへ搭乗。

 二人を乗せたゴンドラはゆっくりと上へと上がって行き、頭上のハッチが開かれた事で、暗くなった空が二人の頭上に出現し、そのまま外へと連れ出す。

 真珠をばらまいたように細かな星々が光り、そして六つある月が一際輝く夜空の元、甲板に出た二人は金属の床を踏みしめる。


「あれが、目的地、ですか?」

「ああ、ベルガスシティ、ウチのお得意様が統治している町だ」

「……町?」


 夜風に肌を撫でられ、髪を乱されるフィリアが目にしたのは巨大な壁。

 あまりに巨大すぎて町何て見えず首をかしげ、とりあえずスキャンを開始する。


「(成程、あれは城壁か、けど、なんか特殊な素材使ってるな、壁の奥まで見えない、てか、本当に何も解らない、ありえるのか?こんな事)」


 大きさ故の圧倒ではない。

 フィリア全てが解らない壁の構造に、サラマンダーを見た時とはまた違う恐ろしい物を感じ取った。




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