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転生勇者が世界を救って300年、世界は荒廃しました  作者: B・T
序章 300年目の夜明け

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スコールチーム 中編

『弾着……今!!』

「へ」


 アーシャの言葉が耳に入ると共に下唇を舐めたサーバルは、爆炎に包まれる敵陣へと駆け抜ける。

 奇襲は成功したらしく、生き残った敵の守備隊が慌ただしく戦闘態勢へと移行している。

 少しでも敵の攻撃を妨害するべく、サーバルが目を付けたのは敵の移設型砲台だ。


「(砲台は一門だけ無事か、まぁこの粒子濃度だ、誘導兵器はマトモに機能しないか)」


 大気中にまかれている特殊な粒子の影響で誘導兵器の精度に落ちており、砲台は一門だけ生き延びていた。

 後方で狙撃を行うケフュレスの安全を確保する目的で、生き残った砲台へと接近する。


「砲台には近づけさせんぞ!」

「退け!」


 砲台への接近を阻もうと敵兵が目の前に現れたが、休憩でもしていたのか、ノーヘルなうえにメイジギアの装着は不完全な状態。

 それに気づいたサーバルは、至近距離から頭部へショットガンを撃ち込んだ。

 一発で帰らぬ人となった敵を一蹴し、いつの間にか向けられていた砲門を前にする。

 既に照準は終えており、砲門からは爆炎と共に放出された砲弾が襲い掛かってきたが、紙一重の差で回避を行った。


「そんな攻撃が当たるかよ!」


 スラスターを器用に使って空中で体をよじったサーバルは左腕に仕込んでいたブレードを展開し、魔力生成した風の刃を纏わせた一撃によって砲身を切断した。

 切断された砲身は赤く熱を帯びながら転がり落ちる様子を尻目に、サーバルは身体に複数巻きつけているダガー状のナイフを引き抜き魔力を流し込むと、砲身内部へ投げ込んで炸裂させる事で最後に残った砲台を無力化する。


「おのれ!よくも!!」

「ケッ!」


 サーバルの居た場所に弾丸が降り注がれ、爆散した砲台を後にするサーバルは持ち前の脚力で飛び上がり、左肩より伸びるアームの保持する円形のシールドを前方へと展開して弾丸を防ぐ。

 一部は上空に居るサーバル、残りは機関銃を撃ちながら接近しているアーシャへの迎撃を行っている。

 とは言え、マトモに抵抗しているのは半数程度。

 残り半分はうろたえて当てずっぽうに銃を乱射する物や、銃の操作を理解していないのか弾が出ない事に怒る者も居る。


「(所詮最低ランク共の寄せ集めか)」


 上空での戦況把握を終えると、サーバルは背部のスラスターを魔法で強化して一気に加速。

 勇敢にも銃撃して来る兵士へと急接近し、シールドでタックルを放って踏みつぶす。

 そこから上手く受け身を取って着地し、モタモタする二人の兵士へ急接近しながらショットガンを構える。


「悪く思うなよ!」


 そんな言葉と共に至近距離から銃撃を行い、敵に巨大な穴を形成する。

 込められているのは十二ゲージの鉄鋼弾、それも散弾では無く一発の大きな弾丸を放つスラグ弾だ。

 本来なら巨大な猛獣を狩る物だが、魔力による強化を得た事で相手の装甲と身体を貫ける威力を実現している。

 その弾丸で周りの歩兵を制圧すると、サーバルに巨大な影が落ちる。


『このガキガアアア!』

「チッ!」


 いつの間にか背後に鉄の巨人が佇み、サーバルへと巨大な剣を叩き落して来た。

 舌打ちをしながらその攻撃を回避すると、即座に反撃の銃撃を叩き込む。


「誰がガキだ!?俺はこれでも十七だ!!」

『知るか!たかがMGごときで、俺のAKに勝てると思ってんのか!?』

「思ってるから来てんだよ!」


 背後に回っていたのは、アーマードナイトと呼ばれる全高八メートル程の大型スーツ。

 サーバルたちのメイジギアより大型だが、戦術や力さえ有れば勝てない相手ではない。

 だがショットガンの火力は乏しく、放ったはずのスラグ弾は装甲に食い込むだけで貫通まで至らなかった。

 その事実のせいで、敵アーマードナイトのパイロットは高笑ってしまう。


『ハハハ!!こう言う事だ!クソガキ!』


 巨大な剣が迫り、罵倒の言葉が耳に入ろうと、サーバルは取り乱さない。

 剣を回避すると共に、アーマードナイトの頭部センサーは破壊される。

 人間で言えば目を奪われた音を鋭敏な聴覚で捉えると、今度はサーバルが笑みを浮かべる。


『ヌア!?み、見えん!何故だ!?』

「こういう事だよ、クソジジイ!(ケフュレスの奴、相変わらずいい狙いしてやがるぜ、後は性格が良ければな)」


 敵機体の弱点であるセンサーを破壊したのは、遠方で狙撃による援護を続けるケフュレス。

 彼女は弱点さえ狙えば遠方からでもダメージを与えられる手持ち式の大口径対物ライフルを装備しており、更に専用のセンサーによる索敵で正確な狙撃を行っている。

 おかげで視界を塞がれた敵は、手持ちのマシンガンをデタラメな方向に放ち、剣も適当に振り回し始める。


『クソ!誰だ!?俺の機体を!!』

「たく」


 マシンガンを乱射する敵機体へ接近したサーバルは他の敵をブレードで斬り裂くと、砲台を破壊した際に使ったナイフを装備する。

 先ほどより魔力を大量に流し込み、装甲に守られていないむき出しのフレーム部分へ複数投げ込む。


「ちょっと黙ってな!」


 数本のナイフは膝の裏側のフレームに突き刺さり、込めた魔力は爆発、敵機体の右足を吹き飛ばす。


『ドワッ!クソ!!』


 情けなく倒れ込んだ敵の機体は立ち上がろうともがいている所へ、サーバルは一気に駆けだす。

 相手のコックピットブロックに狙いをつけ、左腕に展開した伸縮性の刃で斬り裂く。


「フシャアア!!」

『ヒッ!』


 魔力で強化された一撃で装甲は剥がされ、その奥のコックピットは火花を散らしながら斬り裂かれる。

 内部のパイロットの姿を目にするなり、その小さな隙間へとダガーナイフを投擲してパイロットを爆散させた。


「ま、こんなもんか」


 敵アーマードナイトを無力化したサーバルは、早速敵の狙いを変える。


 ――――――


 サーバルを追う形で戦線に突入したアーシャも戦闘を開始していた。

 右手の機銃掃射と左肩のシールドによる防御、そして左手に握られる手斧によって鬼神の如く戦いを見せつける。


「クソ!何なんだコイツ!?」

「撃て!撃て!所詮一人だ!」

「生憎、こっちには変態スナイパーがついてるんでね」


 近くの敵は手斧で叩き潰し、盾でぶん殴り、トドメと言わんばかりに瀕死の相手には強烈な蹴りを繰り出す。

 完全にパワー全振りと言える戦い方を支えるのは、後方に居るケフュレスの狙撃。

 私生活はどうであれ、戦闘面では彼女は本当に頼りになる。


「畜生!こんな依頼だなんて聞いてないぞ!!」

「朝まで護衛するだけの簡単な任務じゃないのか!?」

「(やっぱ駆け出し連中か)」


 聞こえて来る会話内容からして、一部は不特定多数へのばらまき依頼で集められた傭兵達だろう。

 捕まるのは基本的に駆け出しや名の売れていない雑魚位である為、先ほどから狙いや戦い方も素人感が強い。

 だがそんな相手であろうと、正規の護衛部隊であろうと、アーシャは容赦しない。


「悪いな、コイツは遊びじゃないんだ、力の無い奴に慈悲は無い」


 乱射される弾丸を掻い潜りつつ、機銃斉射を行いながら距離を詰めていく。

 サーバル程スピードは無いが、その分装甲とパワーは持っている。

 特にシールドは大型かつ堅牢に制作されており、歩兵の銃弾程度であればビクともしない。

 間合いに入り込んでは、重量とパワーに任せた手斧を敵へ叩きつけて敵を制圧していく。

 傍から見たその戦いぶりは恐怖を煽る物、次々と叩き潰されていく仲間の姿に敵達は下がって行く。


『貴様ら下がれ!チビ共は俺の援護だ!!』


 鬼神の如き戦いを見せるアーシャに対抗しようと出て来たのは、サーバルの前に出て来た物と同型のアーマードナイト。

 その機体を先頭に、アーシャを相手していた歩兵部隊は後方からの援護に回る。

 彼らの援護を受けつつ、敵の機体は装備している銃火器全てを使用する。


『くたばれ!メス犬が!!』


 アーシャの目の前に広がるのは、大量の銃弾にミサイルやグレネード。

 とてもアーシャ一人に使っていい弾幕ではないが、アーシャはそれらを全て退けていく。

 敵機体より流れてきた言葉に腹を立てながら、一気に間合いを詰めていく。


「くたばるのはそっちだ!」


 自らの間合いに敵の機体を捉えるなり、アーシャはコックピットの部分に戦斧の一撃を入れた。

 持ち前のパワーで外装部分を引きはがし、弾帯に残る弾丸全てを至近距離から叩き込む。

 魔力を表面にまとった三十口径弾頭は露出したパイロットを容赦なくハチの巣にし、機体は糸の切れた操り人形の如く倒れ込む。

 仰向けの敵機体の上から、敗北を悟って逃走する歩兵部隊を上から見下ろす。


「さて、後はっと」

「ち、畜生!後ちょっとだったのによ!」

「まだ返済してない借金が有るんだ!どうしてくれるんだよ!?」

「覚えてやがれ!クソ共が!!」


 などと捨て台詞を吐く駆け出し傭兵達であったが、その数秒後には全員頭を無くした。

 後方で控えているケフュレスの狙撃は、もれなく敗残兵の頭部を消し飛ばしたのだ。

 彼女の武装は五十口径を超えた対物兵器と言う事も有り、遠方からの攻撃でも人間相手には過剰火力もいい所だ。


「相変わらず狙撃は正確だな」

「……ああ、黙ってれば凄腕美人スナイパーだよな本当に」

『もうサーバルちゃん、美人だなんて、照れちゃうな~、私の隣は何時でも空いてるから、遠慮せずに来てね~』

「黙れババア」

『私ヒューム換算で十七歳!!』

「はいはい(もう通信切ろうかな?)」


 本当にうるさいと思いながら、アーシャ達はケフュレスの到着を待ちながら生き残りの確認を行う。

 今回の依頼は撃破数に応じて報酬は加算されていくため、出来る限り多くの敵を排除しておきたかった。


「(……ん?僅かに気配が)」

「グ、ゴホッ!ゴホッ!」

「お、しぶとい奴が居たな」


 死体の山が転がる中で、一人の兵士が立ち上がった。

 彼の手には一本のメイスが握られており、割れたヘルメットバイザーから殺意の籠った目が漏れ出ている。


「し、死ねない!お、俺、には、待ってる家族が居るんだ!!」


 ガシャガシャとボロボロになったメイジギアを着ながら走って来る相手に対し、アーシャは手斧を軽く弄び、全力で投擲する。

 アーシャの剛腕で投げ飛ばされた斧は弾丸並の速度で生き残りの兵士に直撃し、その勢いで兵士は身体を崩壊させながら倒れ込んだ。


「クソ、ヴェイ、ザー、め」

「……制圧完了」

「おーい!アーシャちゃぁん!サーバルちゃぁん!おまたせー!」

「アイツも来たな、うし、次の段階だな」

「ああ、ここのどこかに遺跡が有るって話だからな、ソイツを探す」


 倒れた最後の兵士から斧を回収し、三人は依頼を継続する。

 目標はこの近辺にある遺跡に潜伏しており、そこで今も救援を待機しているという事なので、弾丸の装填を行いながら捜索を続ける。



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