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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
序章 300年目の夜明け

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スコールチーム 中編

 

『弾着……今!!』

「へ」


 アーシャの言葉に下唇を舐めたサーバルは左腕のブレードを展開し、爆炎に包まれる敵陣へと駆ける。


「(砲台は一門だけ無事か、まぁこの粒子濃度だ、誘導兵器はマトモに機能しないか)」


 先ず狙うのはアーシャ達の攻撃を生き残った砲台。

 風を斬り裂く勢いで、砂上を爆走する。


「砲台には近づけさせんぞ!」

「退け!」


 中途半端にメイジギアをまとう兵士をショットガンの一撃で一蹴し、今度こそ砲台を狙う。

 その瞬間敵の砲門より火が吹き、サーバルの顔と同サイズの砲弾が迫る。


「そんな攻撃が当たるかよ!」


 スラスターを器用に使って空中で体をよじったサーバルはブレードを振り抜き、風の刃を放つ。

 両断された砲台の上に立ち、応戦の意思を示す敵兵達を見下す。


「(ばらまきに釣られた低ランク傭兵か、悪いな、こっちも生活かかってるんだ)」

「おのれ!よくも!!」

「ケッ!」


 円形のシールドを構えたサーバルは、敵からの反撃を跳躍で回避。

 小柄な体を盾で守りながら、メインのスラスターを魔法で強化して一気に加速。

 上手く受け身を取って着地し、モタモタする二人の兵士へショットガンを構える。


「悪く思うなよ!」


 そんな言葉と共に至近距離から銃撃を行い、敵に巨大な穴を形成する。

 込められているのは十二ゲージの鉄鋼弾、それも散弾では無く一発の大きな弾丸を放つスラグ弾。

 その弾丸で周りの歩兵を制圧すると、サーバルへ巨大な影が落ちる。


『このガキガアアア!』

「チ、デカブツか!」


 いつの間にか背後に鉄の巨人が佇み、鉄塊とも言える巨大な剣を叩き落して来る。

 事前に攻撃を察知し、自慢の跳躍で攻撃を回避する。


「誰がガキだ!?俺はこれでも十七だ!!」

『知るか!たかがMGごときで、俺のAKに勝てると思ってんのか!?』

「思ってるから来てんだよ!!」


 背後に回っていたのは、アーマードナイトと呼ばれる全高八メートル程の大型スーツ。

 臆する事無く即座に反撃の銃撃を叩き込むも火力は乏しく、弾は装甲に食い込むだけで貫通まで至らなかった。


『ハハハ!!こう言う事だ!クソガキ!』


 巨大な剣が迫り、罵倒の言葉が耳に入ろうと、サーバルは取り乱さない。

 剣を回避すると共に、アーマードナイトの頭部センサーは破壊される。


『ヌア!?み、見えん!何故だ!?』

「(ケフュレスの奴、相変わらずいい狙いしてやがるぜ、後は性格が良ければな)」


 ケフュレスからの狙撃で敵機体は視界を失い、マシンガンと剣でデタラメに攻撃を開始。

 その隙を狙い、サーバルは敵の背後へ回る。

 ブレードをしまい、代わりに魔力を込めたダガーナイフを装備。

 背後の装甲に守られていない、むき出しのフレーム部分へ複数投げ込む。


「ちょっと黙ってな!」


 数本のナイフは膝の裏側のフレームに突き刺さり、込めた魔力は爆発、敵機体の右足を吹き飛ばす。


『ドワッ!クソ!!』


 情けなく倒れ込んだ敵の機体は立ち上がろうともがいている所へ、サーバルは一気に駆けだす。


「フシャアア!!」

『ヒッ!』


 ブレードの一撃によってコックピットを破壊、内部がむき出しになる。

 内部のパイロットへショットガンを撃ち込み、無力化した。


「ま、こんなもんか(兄貴なら、もっと手早くやれたんだろうけど)」


 敵アーマードナイトを足蹴にするサーバルは、憧れの兄と自分を比べてしまう。

 幼少期から何時もカッコイイと後ろから見ていた背中を追いかけるべく、サーバルは残った敵へ狙いを定める。


 ――――――


 サーバルがアーマードナイトを仕留めた直後。

 サーバルと同じく前線へ突入したアーシャも戦闘を行い、あらかた制圧を終えていた。


「(……サーバル)」


 多くの歩兵を戦斧で潰し、砕き、アーマードナイトも叩き壊した。

 死屍累々とする惨状の上に立つアーシャは、サーバルへと憧れの目を向ける。


「(私と同期だってのに、もうあんな魔法を使いこなして)」


 一歳年上で同期のサーバル。

 力任せに戦う事しかできない自分と違い、サーバルは魔法でスマートに戦っている。

 同じ師に学び。

 肩を並べて走って来た。

 その筈が、いつの間にか差を付けられた気になる。


「(クソ)」

「ガハッ!」


 握っていた敵兵の首を握り潰した。

 滴る血を手に浴びながら、アーシャは地面を睨みつける。

 未発見に近い遺跡であれば、目的に一歩近づける何かがあるに違いない。

 そんな淡い希望にすがってしまう。


「(私は強くなりたいんだ、誰にも守られなくて良いように、自分の力だけで生きられるように)」


 握り潰した敵兵をその辺に捨て、スクラップとなったアーマードナイトの上を移動。

 見晴らしのいい場所に立ち、敗北を悟って逃走する歩兵部隊を上から見下ろす。


「さて、後はっと」

「ち、畜生!後ちょっとだったのによ!」

「まだ返済してない借金が有るんだ!どうしてくれるんだよ!?」


 などと捨て台詞を吐く駆け出し傭兵達であったが、その数秒後には全員頭を無くした。

 後方で控えているケフュレスの狙撃は、もれなく敗残兵の頭部を消し飛ばしたのだ。

 彼女の武装は五十口径を超えた対物兵器と言う事も有り、遠方からの攻撃でも人間相手には過剰火力もいい所だ。


「相変わらず狙撃は正確だな」

「……ああ、黙ってれば凄腕美人スナイパーだよな本当に」

『もうサーバルちゃん、美人だなんて、照れちゃうな~、私の隣は何時でも空いてるから、遠慮せずに来てね~』

「黙れババア」

『私ヒューム換算で十七歳!!』

「はいはい(もう通信切ろうかな?)」


 本当にうるさいと思いながら、アーシャ達は生き残りの捜索を開始する。


「さて、アイツが来るまで残党探そうぜ」

「ああ、今回は撃破人数で報酬が増えるからな」


 報酬の乗算を目的に、二人は意識を集中。

 生き残りの気配を探りだす。


「(……ん?僅かに気配が)」

「グ、ゴホッ!ゴホッ!」

「お、しぶとい奴が居たな」


 死体の山が転がる中で、一人の兵士が立ち上がった。

 メイスを握り締め、殺意の籠った目を向けて来る。


「し、死ね、ない!お、俺、には、待ってる家族が居るんだ!!」

「……」


 緩慢な動きで襲ってくる残党を前に、アーシャは少し身をすくめた。

 これから、彼の全てを奪う。

 戦斧を軽く弄び、冷たい目を向ける。


「(過去に私から全てを奪った傭兵と同じ事をする、解っている、それでも、私は)」


 早まる鼓動と冷や汗を流しながら、アーシャは斧を投擲。

 弾丸以上の速さを叩き出した斧は、相手の身体へ命中する。


「ヴェイ、ザー、め」

「……制圧完了」


 崩れ落ちていく残党を眺めながら、そう呟いた。


「おーい!アーシャちゃぁん!サーバルちゃぁん!おまたせー!」

「アイツも来たな、うし、次の段階だな」

「ああ、ここのどこかに遺跡が有るって話だからな、ソイツを探す」


 倒れた最後の兵士から斧を回収し、三人は依頼を継続する。


 ――――――


 同時刻。

 アーシャ達の目標、敵司令官であるロンリューは棺桶のような物を前にしていた。


「クソ!役立たず共め、貴様らの役目は、私の命を守る事だろ!!」


 地上の部隊の壊滅を知り、少女の姿が描かれたコンソールを殴りつける。


「強化人間、コイツさえ起動すれば勝てたんだ!なのに何故起きん!?」


 歯ぎしりをしながら棺桶型のカプセルを睨みつける。

 この遺跡で長年眠り続けていた兵器の目覚めを何度も試みたが、結果はこの通り。

 窮地に立たされるロンリューの耳に、エレベーターの起動音が入り込む。


「ッ!クソ、もう頼らん!!」


 見切りをつけたロンリューは、自分のメイジギアを装着した。

 後ろのコンソールに

『タイタンの接近を確認、再起動開始』

 の表記が現れた事に気付かず。



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