悪夢 前編
あけましておめでとうございます、今年も活動を続けていきますので、よろしくお願いします。
魔法の基礎を成功させたアーシャは、もう一度練習を行おうとする。
「と言う訳で、お礼は貴女の身体って事で!!」
「チ!」
キス顔になりながら迫って来るケフュレスが目の前に居た。
予想はしていたので、用意していた魔力の塊をケフュレスへぶつける。
「フン!」
「おぼ!」
威力は低いものの、魔力はケフュレスの額へ命中し、仰向けになって倒れ込む。
「あのな!練習に付き合ってくれた事には感謝するが!それ位で私の身体を好きにできると思うな!」
「ふ、ふふふ、確かにね、でも、所詮は付け焼刃のにわか仕込み、止めたかったら、私の教えた事をもっと活かす事だよ!!」
「チ!」
額を真っ赤にするケフュレスは、性懲りも無く襲い掛かる。
次は物理で制圧するべく、アーシャは構える。
「ニャガ!!」
「ッ!」
ケフュレスのわき腹に風の弾丸と呼べるような物が命中。
その余波と呼べる風がアーシャへと降り注ぐ。
横からの攻撃を受けた彼女は吹き飛び、壁に叩きつけられてそのままめり込んだ。
乱れた髪を直すアーシャは、発射ポイントへ目を向ける。
「……ウイングショット、か」
「……うみゃ、うるせぇんだよ、人が寝てんだから静かにしろ、ふぁ、あ~」
先の魔法を撃ったのは寝ていた筈のサーバル。
文句と攻撃を終えたサーバルはベッドに備え付けられているカーテンを閉じ、再び眠りについた。
だが、アーシャの内心は穏やかでは無かった。
「クソ!(殺傷用の魔法、ソイツを寝起きであの威力まで抑えるなんて)」
ようやく一歩踏み出せたと思ったら、また先の見えない道に直面した。
その焦りは、燃費を余計に悪くしてしまう。
「グ、ウ……(こんな初歩で躓いてばかりじゃ、いつまで経っても)」
運動に置き換えてみれば、軽いジョギングで回るコースを全力疾走で走破しようとしているような状態。
無駄に魔力は消費され、言い知れぬ疲労感とダルさに襲われだす。
「あ、う、少しペースを上げ過ぎた」
突然上から見えない誰かに肩から上を押さえつけられているかのような重量感を身に受けながら、アーシャは自分のベッドに転がる。
「身体重、こ、こんな事で……」
肩で息をするアーシャは、自腹で用意した時計を手に取って目を通す。
非番でも食堂を利用できる時間は決まっていて、時間を過ぎたら利用できなくなってしまう。
それでも、次の時間までの間休める。
「(……とりあえず、寝落ちように、アラームセットしてっと)」
目覚ましをセットした時計を置くと、アーシャは天井へと目を向ける。
睡眠を行おうとは思えないので、ただ上をじっと見つめる。
「……はぁ」
ケフュレスに助けられて間もない頃は、悪夢に何度も苛まれた。
それ以来、眠るのは怖くなってしまった。
最近は治まっているが、恐怖はまだぬぐえていない。
「(力を、もっと力を……じゃないと、また)」
不意に過去の記憶が蘇り、アーシャは身体を震わせた。
沸き上がる不安と恐怖で、動悸が起こり、呼吸も僅かに早くなる。
「……ちくしょう」
ケフュレスに放った一撃も、とても実戦で使える物ではない。
付け焼刃程度の物だったとは言え、人一人制圧する事もできなかった。
おかげで、先のケフュレスの言動に毒を感じとってしまう。
「(遠い、一歩ずつ進んでるはずなのに……)」
強化人間、魔法。
いずれも遠い。
せめて、タイタンを象徴とする能力を扱えるようになれれば。
他の誰も持っていないアドバンテージを得られ、アーシャの望みは叶う。
「(何かにすがるしかないなんて)」
目から雫をこぼしたアーシャは、痛む胸を抑えながら眠りについた。
うずく右腕を抑え、全身の古傷に熱を感じながら。
「……ッ!」
次にアーシャが捉えたのは、炎に包まれる自分の右腕だった。
焼ける痛みと共に恐怖が襲い掛かり、アーシャは絶叫する。
今回は続きを二本投稿します。




