第045話-5 収穫・秋祭り 夕食
転けたセイラを回収してじいちゃんの家に帰ってきた。
畑の様子をじいちゃんに話してから、夕食と明日の朝食の準備を始めた。
夕食のぼたん鍋は猪肉と白菜、ネギ、椎茸等具材を切って鍋に入れて、つゆで煮ればOK。味変用に大根おろしを食べる前に、3人に作らせればいいだろう。
朝食の方は鶏肉を細かく切ったものの照り焼きとポテサラは作ってタッパーに入れて冷蔵庫に保管しておいた。他の野菜はカットして保管しておく。
後は牛乳、卵、生クリーム、砂糖で作った卵液に、スライスしたバゲットを浸して、これも冷蔵庫に保管しておく。多めに作っておいたがセイラが食べきるはずだ。
これで一通り準備が終わった。
エリーSide
お祖父様の家に戻ってきて、ヤマトは食事の準備を始めた。
私達はお祖母様に呼ばれて話をする事に。
お茶とお菓子が準備されてたので、待ってらしたのでしょう。そばにいたお祖父様を追っ払って、私達女性だけで話したいみたいです。
「ヤマトは家でどうなんだい?偉そうにしてたりしないかい?」
「大丈夫だよ。いつもヤマトが全部やってくれる」
「セイラは少し自分で出来るようになった方がいいと思うわよ?でも実際そうですね。料理もいろいろな事もヤマトが大体やってますね。これでいいのかなってくらいです」
「そうそう。料理に専念してる間に私達で掃除をちょっとするくらい。いつも綺麗にしてるから、やる事がほとんどないです」
「そうかい?あんた達的にはそれで良いのか微妙だけどね」
「「……はい……」」「??」
確かに女としてと言ってしまうと前時代的と言われてしまうけど、ほとんど何もしないというのはお嫁さんとしてはどうかと思います。
ただ、ヤマトに隙がないからなかなか何かしてあげられない。
どうしましょうか……
「なら、自主的に役割分担の話でもしたらどうだい?出来るところを任せてもらえばいいだろう?
まぁ、ヤマトも好きでやってるんだから任せてくれるかは分からんけどね」
「そうですね。特にセイラの世話はヤマトの生きがいみたいなところがありますね」
「「確かに……」」「??」
セイラはよく分かってないようですけど……
でも、まだ学生だからある程度時間があって出来る事かもしれない。でも卒業したらいろいろ分担しないといけないですね。
「まぁ、この件はいいとして……
エリーちゃんはヤマトの事がいつから好きだったんだい?」
「それ、私も聞きたかった!」「私も」
「え?言うんですか?恥ずかしいのですけど。ここにいる人だけですよ?
もう学校に通うようになる前には好きだったと思います。
お父様の会社のパーティーに連れていかれた時に会ってたんですけど、いつもヤマトが面倒見てくれて……」
「「それでそれで?」」
「それが学校に通う直前にはほとんど来なくなって……」
「ごめん、それ私のせい。私の面倒見てたから」
「うん、知ってる。それでその間に想いが募っちゃって……」
私だけのヤマトだったの。だから、一緒にいられると思ってたけど、違うんだと思ったらヤマトに会いたい、好きなんだって。
「ヤマトがいなくなったら会いたくなって。会えないからすごく会いたくなって……
そういう事が続いて、そうしたら気付いたんです。ヤマトが好きって。単純ですけど」
「おやまぁ、ヤマトが意図的したわけじゃないにしても、罪作りだねぇ。
でも、学校に行くようになれば他にも男子がいただろう?」
「ええ、でもヤマトもいたから。それにセイラを面倒見てるヤマトを見てると小さい頃を思い出してしまって素敵に見えたんです」
「「かわいい!」」
「ああ……うん……なんというか、刷り込まれた結果かねぇ」
確かに、そんな感じも無くはないですが。
でも優しい「ヤマト」が好きなんです。
「まぁ、孫だからということを除いても、ヤマトは悪い物件ではないね。最良とは言わないが、結構何でも出来るし成績も悪くない。人当たりもいいし、礼儀も身に付いてる。
3人を幸せに出来るかはみんなの努力次第かね。ヤマトだけでは厳しいよ?」
「「「はい!」」」
お祖母様がヤマトを褒めてくれて、私達の事を応援してくれた。ヤマトにおんぶにだっこというわけには私もいかないと思ってる。だからみんなで頑張らないと。
みんな全員で農業をするか、何人かメタバースで働く方法もある。時間があれば手伝えばいい。
子供が出来たら、それこそみんなで面倒見れば仕事に早く復帰出来るし。といっても今は産休制度がしっかりしてるから、急いでということもないけど。
「エリーがそんなに昔からヤマトを好きだったとは思わなかった。なんかごめん、面倒もかけたし」
「いいのよ、あなたの面倒を見てればヤマトの近くにいれるしね。それに、あなたがいろいろやらかすから放っておけなかったのよ」
「ますますごめん」
「ハハハハハ」
アリーシャがツボに入ったのか大笑いしてる。
普通なら恋敵ですからね。その子の面倒を見ようとかしないし、嫌がらせしてしまうわよね?一応プライドもあるからしないけど。
仲良くしてて楽しかったわ。
だから、これからもみんなで仲良くやっていきたいね。
ヤマトSide
夕食と朝食の準備が終わった。
夕食のぼたん鍋は、火にかけて煮えるのを待ってる最中。
猪肉はしっかり火を通さないと。
まだ時間がかかるから別に作っておいた小鉢を出して食べててもらって、居間のテーブルにガスコンロを置いた。
肉はたっぷり入ってるし、味変用の大根おろしは今セイラにおろさせている。大量に作っておいてくれ。
後は夕食の時間まで鍋を煮て待てばいい。
俺も居間に戻って、ばあちゃんとエリー達3人が話してるのを聞いている。台所にいた時は「はい!」とかアリーシャの大笑いが聞こえたけど、今は普通に話をしている。
何か俺に聞かせたくない話をしていたのか?
聞かれると恥ずかしい話なら仕方ないけどな。
セイラが折れた大根の大丈夫な所全部を大根おろしにしたところで、夕食の催促をしてくる。しかも腹の音付きで。
昔も来たこともあるから一番自然体だ。俺以上にここでゴロゴロしてる。
アリーシャとエリーはまだ緊張してる感じだな。ばあちゃんも馴染んでもらおうといろいろしてるみたいだけどね。
「じゃあ、夕食にするか。じいちゃん、呼んでくる」
「「「は〜い」」」
「私、付いて行っていいかしら?」
「ああ、いいよ。他の小屋とか案内しよう」
アリーシャは前回来た時に見て回ったから、エリーだけ案内する。そんなに広い所じゃないから案内ってほどでもない。
それでもエリーの家とは全然違うから面白いようだ。
農家の納屋や農機具置き場、昔の五右衛門風呂の跡とか、エリーの身内の家では見たことがないから。
「アリーシャが大笑いしてたけど、何の話をしてたんだ?」
「乙女の秘密の恋バナよ」
「それって俺に関係ある話だろ?秘密って」
「そうだとしても秘密の部分があるのよ、ヤマトにはっきり言えない部分が」
親しくても婚約者でも奥さんでも言えない恋の秘密というものはあるらしい。普通に言えない隠し事あるだろうしな。そんなのはかわいいもんだ。
そんな事は俺にもある。E.G.G.内の事は今の所秘密だ。みんな自分の事はバラさないことにしてるしな。
ようやくじいちゃんを見つけて、夕食にするって伝えた。
片付けたら戻るから先に食べてろって。でも、戻ってきたら肉が無くなってるかもしれないからな。
居間に戻って夕食、ぼたん鍋を食べ始めた。
近所の農家さんの所の罠に引っかかった猪を解体したのをもらったらしい。それと白菜、大根、ネギ、椎茸、豆腐を味噌ベースのつゆで煮たものだ。
それをみんなの器に盛り付けて食べた。
白菜や大根はしっかり味が染みていて美味かった。猪肉も美味かった。山の恵みを食べ、更に畑の野菜も食べただろう猪はしっかり旨味を蓄えていた。
「うまうま」
「セイラ、味わって食べろよ。次はいつ食べられるか分からないからな」
「うん」
「ヤマト、白菜も大根も美味しいよ。自分で収穫した分特に美味しい」
「そうですね。自分で収穫した野菜を食べるのは格別ですね」
「そうだな。俺も初めて収穫した野菜は嫌いな野菜も美味かった」
それからは話が弾まず、皆食べる事に集中していた。それをばあちゃんが微笑ましそうに見てた。
ようやくじいちゃんが戻って来て食べ始めるが、もう肉が少ない。その肉と野菜を盛ってじいちゃんに渡す。
「まだ肉はあっただろ?ヤマト、もっと出せ」
「出してもいいけど、またセイラに食べられるぞ?」
「いい、どんどん食え。セイラちゃんも満足するだけ食べな」
「お祖父様もセイラに甘いんですね、フフフ」
その後、味変のための大根おろしを入れる前に猪肉を入れてから大根おろしを投入ししばらく待つ。
肉も煮え、大根おろしも温まったところで、皆の器にまた盛り付けていく。大根おろしの酵素でいくらか猪肉がやわらかくなってるといいが。
だが、気にしなくてもみんな美味しそうに食べてた。
美味しいならいいか。
俺ももっと食べよう。
### 続く ###




