第040話-3 旅行 散策から夕食、そして
話とお菓子が尽きて夕食にはまだ時間があるので、この周辺を散策することにした。
エントランスで女将にお見送りされた。その際、「両国様から聞いてます。夜は頑張ってくださいね」とこっそり言われた。母さん、何言ってんの?
先ずは旅館の庭園の方へ回ってみる。
旅館に合わせた日本庭園に、その向こうに海が見えるようになっている。
植えられた楓が真っ赤に紅葉し、他の植物も赤や黄色になって庭を彩っていた。今の時期が一番華やかなのかもしれない。
アリーシャは小さいながらも作られていた枯山水に気を引かれ眺めていた。エリーはそのアリーシャにいろいろ説明しながら一緒に見ていた。
セイラは俺が隠しておいたお菓子を勝手に持ち出し、パリパリと食べていた。俺も食べたかったのに。俺もそのお菓子の袋に手を突っ込んで食べる事にした。
「むぅ~」
「俺が食べたくて買ったんだからな。俺も食べる」
アリーシャとエリーが向こうで俺とセイラのやり取りを見て笑っていた。
こういう穏やかな時間が心地良い。エリーはどうなるか分からないが長く続くと良いな。
この庭園夜もライトアップしてるということなので、また観に来ることにした。
また海の方や土産物屋の方をゆっくり回る。
巨乳美少女3人に囲まれてる俺を見て、年配の方達は微笑ましそうに見てくれるが、若い野郎共は羨ましそうだったり呪い殺してやろうかというような目で俺を見ていた。
俺としては今更の事なので気にしない。3人と仲良く買い物や散策していく。砂浜を歩き、夕方になり少し寒くなってきたので、4人べったりくっついて大鳥居を眺めていた。
日が暮れていくと人が少なくなり、砂浜には俺達と鹿くらいしかいなくなった。
静かになり波の音がよく聞こえるようになってきた。対岸も家の明かりが見え、星や灯火のように見えてくる。
そのまましばらくたたずんでいると回りがが薄暗くなった。するとセイラとアリーシャが更にべったりとくっついてきて、キスをねだってきた。回りに人がいると恥ずかしいらしい。
2人とキスをしたところでそろそろ帰るとしようか。
「そろそろ旅館に戻ろうか。夕食の時間になるし」
「ヤマト、私にはキスしてくれないんですか?」
「エリーとは付き合ってるわけでも結婚するわけでもないだろ?お気楽にキスとかはしねぇよ」
「遺伝子をもらうっていうことはもう結婚するようなものじゃないですか?ねぇ?」「「そうだそうだ」」
「セイラとアリーシャはお静かに。エリーも一緒となると2人を可愛がる時間が減っちゃうよ?いい?」
「みんな一緒ならいいよ、ねぇセイラ」
「うんうん。みんなで楽しめばいいんだよ」
本当にいいのか?俺、大変になっちゃうんだけど。
まぁいいか。エリーにも……キスをした。これで3人を平等に可愛がらないといけないんだろうな、とりあえず旅行中に限り。
しかし、母さんも何を考えてエリーも一緒に泊まるようにしたのかね?
本格的に日も暮れたのでかなり暗くなった。照明があるとはいえ早く戻ろう。
夕食は豪勢だと聞いてるから楽しみだ。
旅館までの道はライトアップされ、道の両側の紅葉した楓も綺麗だ。帰り道もいい雰囲気だ。
「紅葉綺麗だね。前いた所はこういう木がなかったから、こんな色の葉っぱで季節を感じるなんてなかったよ」
「向こうはそんなに季節がはっきり分かれてないもんな。あまり寒くもないんだろ?こういうのはその土地々々の特徴だからな」
「そうですよ。この辺は今の時期観れますが、南に行くともっと遅いですからね」
「日本は季節で観え方が変わるから、また別の時期に来るのもいいぞ」
「美味しい物もその時期によって変わるから楽しいよ、アリーシャ」
「じゃあまた来たいね」
美味しい物を食べるのも旅行の楽しみだしな。風景だけじゃなくて楽しみ方は色々ある。旅行は何回行っても良い。
農業を始めると旅行はほとんど行けなくなるから、学生のうちにみんなでいろんなとこに行こう。
美味しい物も食べたいからな。
旅館に戻ると間もなく夕食を運んでくれるというので、のんびり待つことにする。
セイラは俺の膝に頭を乗せ横になって寝て、アリーシャは俺に寄りかかってゆっくりしてた。エリーはそれをほのぼのとした表情で見ていた。
穏やか時間だった。割とすぐに終わったけど。
夕食が運び込まれテーブルに並べられていく。
魚や海老、貝の海の幸、お肉や野菜、茸の山の幸がテーブルにいっぱいだ。
セイラはこれらの料理に目を輝かせていた。まあ、確かに美味しそうだ。
海の幸は素材を活かした調理に、山の幸は素材を活かしつつ手の込んだ調理がされていた。
「凄く美味しそう。ねぇ、ヤマト、早く食べよう!」
「ちょっと待てって。美味しそうだからって急いで食べて喉に詰まらせるなよ。
いただきます」
「「「いただきます」」」
先ずは松茸の土瓶蒸しを。スープも美味いし松茸も美味い。
刺身も赤身3種白身2種と違う魚が味わえる。ちょうど時期のハゼの刺身もある。こういうところでは出さないと思ってたけど、旬で脂が乗ってて美味しい。
「ヤマト、天ぷらが美味しいよ。この魚は?」
「ハゼじゃないか?刺身もあるけど、旬で脂が乗ってるから美味い。大きいのが捕れたみたいだな」
「『旬』?」
「その食材が美味しい時期の事ですよ。今は年中食べれますけど、やっぱり美味しい時期があるんですよ」
高級旅館とかだと美味しい時期の物を出してくれる。高級食材ばかりでないのが好感が持てる。
時期の外れた高級食材よりも、美味い時期の安価な食材の方が美味い事もあるからな。
他の料理も食べながらいろいろ料理の話をしていた。
学校もクラスが同じだから話すことも限られるし、家のことだと俺達は愛し合ってる時のことが多くなってしまう。
そう話をしてるとエリーが俺に……
「ヤマト、あ〜~ん」
「あ〜~ん」
「ヤマト今度は私にお願いします」
「ほれ、エリー、あ〜~ん」
「あ〜~ん」
家でやらない「あ〜〜ん」をやるのはちょっと恥ずかしい。
ただ、それを見ていたアリーシャも真似して「あ〜〜ん」をしてきた。食べさせてもらって、俺からもお返しをする。
すると、セイラが「あ〜〜ん」と口を開けて待ってるから、豚肉の味噌漬けを一切れ口に入れてやる。
「セイラ、ほれ、あ〜〜ん」
「うまうま」
「ったく、もう。人参の天ぷらも食え。あ〜〜ん」
「いやぁ、人参嫌い」
「この人参は天ぷら用の人参だぞ。芋やかぼちゃみたいにホクホクして美味いぞ」
「本当?あ〜〜ん。ほんとだ、美味しい」
「「フフフ、セイラはもう」」
その後はみんなで「あ〜〜ん」をして食べさせあった。
食事も終わり、部屋の窓から庭のライトアップを眺めつつ、まったりとした時間を過ごす。ここからも見える対岸のまばらな灯りがホタルかのようで綺麗だ。
さて、本来なら3人でお風呂に入り準備運動をしてから、夜の可愛がりの時間に突入する予定だったのだが……エリーが来た以上流石にまずいだろう。
いくらいずれ遺伝子をもらうと宣言しているエリーでも、まだ学生の今、遺伝子をあげて子供が出来たりするのはまずい。俺でもそのくらいの分別は……一応ある。
その割にセイラとアリーシャとは避妊しているとはいえ、子供が出来てもおかしくないくらいしてるけどな。
「ヤマト、これ、うちのお父様から」
「伯父さんから?えっと……はあ?何それ。しかも、父さんも母さんもグルだったのか?」
「「ヤマトどうしたの?」」
「手紙には『エリーをよろしく』だって。しかも『早く孫の顔を見せろ』とか書いてる。俺達の両親達と同じ事を言ってやがる。
更に俺達が旅行に行ってる間に、エリーの荷物が家に運び込まれてるらしい。このまま家に来て住むんだと。マジか」
「「いいんじゃない?大歓迎だよ」」
伯父さん、いいのかよ。エリーがいなくなったら寂しいだろ。
しかも、旅行に行くのだって2週間くらい前に決まったばかりなのに、いつの間にエリーがうちに住むことが決まったんだよ?
どうするかなぁ。
「「ヤマトはエリーの事、嫌いなの?」」
セイラとアリーシャがこてんと首を傾げながら聞いてきたが、その仕草が可愛らしくすぐに答えられなかった。
3人目とかじいちゃん達になんて言えばいいんだよ。まだまだ増えるのか?
「……嫌いではない。
でも、このままどんどん増えていって大丈夫なのか心配になる。
流石にエリーまでだ」
「「やった!良かったね、エリー」」
「嬉しいですけど、確かに今後が心配ですよね」
「ほんとにそうだ。もうないからな。
これでまた学校で吊し上げを喰らいそうだ。どうするよ?」
伯父さんに確認の連絡をしないと。手紙が偽物だったら洒落にならないからな。
いろいろ話し込んでいる3人を残して、一旦部屋から出て伯父さんに連絡を取る。手紙の事を確認したけど本当に事だった。
もう一度確認したけど、よろしく頼むと言われた。エリーにはいろいろ寂しい思いをさせた事の罪滅ぼしのつもりらしい。俺は面と向かって言われてないが、俺の事が好きだと家では言っていたらしい。
なら、ちゃんとこっちに言ってくれよ。そうすればもっと覚悟が早く決まったのに。
伯父さんに頑張って幸せにする事を伝え、話を終わらせた。
### 続く ###




