第039話-2 文化祭
準備も終わり文化祭当日。
今日は学校内に一般の人達が入れるようになっている。当然問題のある人達はブロックされるが。
俺達はいつもより少し早く学校に行き準備を始める。
既に設定は出来ているので作ったパッケージを起動し、設定の確認を始める。
部屋のレイアウトやテクスチャ、おばけ役の衣装2パターン、ストーリー、教室の外装を確認していった。
「とりあえず問題はなさそうだな。衣装の方も問題ないか?」
「「「うん、大丈夫」」」
「トキオ、ダグ。スタッフで休んでる人や具合の悪い人はいるか?」
「「いや、いないぞ」」
「なら大丈夫だな」
これならいつでも大丈夫だな。
準備を一通り終えて、開場の時間まで皆自由に話をしていた。
セイラとアリーシャ、エリーは女子達に囲まれて話をしているようだ。お化け屋敷の衣装のことを聞かれているようだ。
俺達はそのまま話をお化け屋敷の男のスタッフと話をする。
「どのくらい客が来ると思う?」
「う~~ん、セイラ嬢達目当てならかなり来るとは思うけど、あの衣装だとどれほど来るかな?ダグ」
「最初はかなり来ると思うけど、露出もあまりないしある程度時間が経てば落ち着くんじゃないか?」
「「「「「「「そうだよな。あの3人の一番いいところが出ていない」」」」」」
「当然だ。そうなるようにしたんだから。触れはしないが見せもしないんだよ」
「「「「「「「え〜〜」」」」」」
そういう客が来ても後で揉め事が起きそうだし面倒だ。純粋に楽しんでもらうためにそういう所は見せない。
セイラは貞子なんだから這いずっていて、胸も見せないような感じにしてるんだからな。
怖いのが好きな人が来てくれればいい。
その後も客の予想をしながら開場の時間を待つ……
さあ、開場だ。皆が配置に着いた。俺は状況の監視に入る。
みんなの予想通り最初はうちの生徒が押し寄せてきた。
単独より友達グループ単位で来ているので、その単位で中に放り込む。
入り口の鬼太郎の説明は意外に好評だった。かなり怪しい雰囲気を作ったためか大人しく聞いてくれている。
中には古いマンガを知っている奴もいて、回りにうんちくを語っていた。
つかみはまあまあだと思う。
次の「トイレの花子さん」へ移動する。
ここで追加の指示をしている。
若い男が来た場合、「花子さん」ではなく「花子くんズ」に入れ替わり、スタッフに手を出さないように釘を刺すことになっている。
一応スタッフに触れないように設定はしているけど、流石に女子がトイレに引きずり込んだ後何かあるといけないという事で変更となった。
これが女子に受けたのは言うまでもない。特に「花子くんズ」が。
『『『ひぃぃぃ、やめてくれぇぇ』』』
中の悲鳴とかは教室の外にも聞こえるようにしてある。これで怖い物好きな人は引き寄せられるはず……
ちなみに女子が入った時には紳士的に対応しているため、適度に怖がりながらも楽しんでもらっている。
さあさあ、次々。
さっきの警告がまだ効いているのか、リビングに入ってもビクビクしている。そこへ照明が点滅を繰り返した後暗くなった。
男の客はビックンと動揺したいた。
そのタイミングで予定通りメッセージが表示されていく。みんな回りをソワソワしながら見ている。
そして、ついに最後のメッセージが……
その直後背後のテレビが表示された。
どこかの廃屋の内部が映っていたが、そこに長い髪の毛を振り乱した人影が現れる。
そして、自分達の方に近づいて来て…………テレビから出てきた。
ドックンッ
『『『ぎゃあああぁぁぁ』』』
出てきたのは、たぶん君達が会いたかったはずのうちのセイラなんだけど。
ぎゃあああとか言って大丈夫?
元々なんとも思われてないから関係ないか。
しかし、セイラの演技がすごく良くなった。知らなければ俺でも怖いと思うくらいだ。背後のテレビに映る映像も工夫したし、雰囲気が更に怖くなったのが良かったんだと思う。
ここでは女子も平等に怖がってもらうことになっている。そのためかなりの悲鳴があがることになった……
その後はお菊&貞子2だ。
ここはまぁマイルドな所なんで男の客も落ち着けるだろう、たぶん。
お屋敷の庭に出ると井戸が見える。それ以外は植木や塀が見えるだけだ。
当然井戸に視線が集中するだろう。案の定、そこから目が離せないようだった。
しばらくすると数を数える声が聞こえ始める。そうするとお菊が姿を現してくる。
男の客はエリーの姿に見惚れているようだった。まだ、横顔しか見せていないけど。
数が9枚になり全身を見せ、最後の一言を言った時にお客に顔を向けた。
口元から血が垂れていたが…………表情が……表情が冷たかった。絶対零度くらいに。ひゃあああ。
『『『…………』』』
みんな冷え切ってる冷え切ってる。
エリーのあまりの冷たい視線が震え上がらせていた。
しかし、これだけではないんだよ。
仕上げとして貞子が再登場。井戸から出て這いずって近寄って来た。
エリーの絶対零度の視線で動きが止まっていたため、貞子2が近付いて来るまで気付かなかった。
足元に来て始めて気付いた。
『『『ぎゃあああ』』』
2度目なんだから少しは慣れろよ。
せっかくエリーの姿を眺められたのに、貞子を演じてる女子のなかなか迫真の演技のせいで記憶から飛んでるかもしれない。
ちなみに女子には絶対零度の視線はなく、優しい慈愛に満ちた視線にうっとりしていた。
最後に男の客が吸血鬼の地下室に入り込む。
部屋の中央に棺桶があるわけで、開けようかという話になっていた。
エリーはいたから、棺桶の中にはセイラかアリーシャのどちらかがいると思っているのだろう。2人のどちらかを期待しているはずだ。
棺桶の蓋を開けるとそこには……どちらもいなかった……
中にはコウモリがいるだけで、フタを開けた途端逃げていった。
『『『……いない……なんで?』』』
男達は目に見えてがっかりしていた。ざまぁということでこのまま終わりにしてもいいんだけど、それも可哀想か。
仕方がない。見せてやるか。
コウモリが一箇所に集まり人型を取り始める。
そして、吸血鬼が顕現した。
『『『おおおお』』』
姿を現した吸血鬼はアリーシャが男装しているわけだが、こっちのバージョンは胸もお尻も完全に潰しているので女性らしいスタイルではない。
君達の期待を裏切ったと思うがね。
『『『はああああ、せっかくの巨乳がぁぁぁ』』』
「はぁ?」
予定通りムチでイジメる事にしたようだ。
ビシッ ビシッ ビシッ
とはいっても実際に鞭打ったりはしない。ただ雰囲気を出しているだけ。
それでも雰囲気に飲まれた男の客は、何か微妙な感じにハァハァ言いながら覚醒め始めたようだった。
アウト!
ヤバくなったので強制退場にした。
男のスタッフが部屋に入って連れ出し、教室の外に座らせた。
ちなみに女子には格好良く紳士的首筋にキスをして、中にはアリーシャにとろける娘もいたようだ。
最後外に連れ出された奴等が、気になったのだろうセイラの事を聞いてきた
「おい、セイラさんはどこにいたんだよ?」
「そうだ。いるって話だよな?いるとかいって隠してたんじゃないのか?」
「いただろ、リビングの所に」
「あのメッセージがそうだとかいうのか?」
「いやいや、ちゃんとテレビから出て来ただろ?見なかったのか?」
「「「は?貞子がそうだったのか?嘘だろ、全然見てねぇ!」」」
セイラの演技が良くなってかなり怖がらせられるようになった。
それにエリーのあの視線は心も凍りそうだよな。
アリーシャの方はちょっと怖くもないが仕方がないか。吸血鬼自体怖がらせる要素が少ないから。
最初の客達からいい悲鳴を頂いたので、その後もセイラ達の人気も相まって客足は途絶えなかった。
それでも1時間毎に子供向けと替わり、子供達にもハロウィンの予行演習という感じで楽しんでもらえた。動物園で会った女の子も偶然来ていて、中でセイラとアリーシャとキャッキャ遊んでたそうだ。
閉会時間までなんとか乗り切って初日が終わった。
これだけ盛況なら明日も大丈夫だろう。途中セイラ達が交代しても特に不満を言われることもなかったし。
それでもあった苦情は男共からで、もっと露出の多い衣装にしろとか言うやつだった。これは女子全員と俺が黙殺した。クラスの男子も女子の前では異論の声を上げられず沈黙するしかなかった。
これで明日も忙しい事が確定だ。
交代してセイラ達と他のクラスをもっと回りたいところだけど難しそうだ。
まあ、楽しんでくれる人がいるから頑張るか。




