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TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


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第039話-1 文化祭

 競技大会も中盤前半戦が終了し、しばらく休養のために時間が取られクサナギのメンテナンス中。

 ケスカにも小型軽量タイプのパーツを渡し終え、E.G.G.の方はしばらくお休みだ。

 学校の方の文化祭があるから、しばらくそちらに集中する。




 学校といってもメタバース内なのでリアルのように資材を準備したりはない。

 基本的なイベントパッケージがあるためだ。

 迷路やお化け屋敷はレイアウトを作り教室内にパーテーションのようなもので仕切り、テクスチャを貼り付ければ通路が完成する。

 メイド喫茶や執事喫茶のようなコンカフェも学校の机を使うのではなく、いろいろな形状や大きさのテーブルオブジェクトを設置し様々なテーブルクロスを被せることも出来る。

 机の片付けはしなくていいし、教室の広さもある程度自由に変更でき便利だ。

 衣装もいくつかのパッケージが準備されていて、カスタマイズも可能。フリルを増やしたり、露出を調整したり出来る。

 こういったものがパッケージになっていて、比較的簡単に会場設営ができるようになっている。


 他にも演劇や自主映画上映、展示など簡単な会場だけのパッケージやゲームセンターや屋台のような機材込のパッケージもある。

 その他別の学校にあるパッケージも手配できるので結構何でも出来るようにはなっている。



 今日は午後の授業をホームルームにあてて、文化祭の話し合いをする事になった。毎年この時期新しいクラスメイトとの親睦を深める意味もあって文化祭が催される。

 今日は何をやるかと役割分担を決める。何がいいかなぁ?


「なぁ、ヤマト何やる?」

「なるべく時間がかからないのがいいな。夕食作らなきゃいけないし」

「お前は主婦か!ん~~、コンカフェなんかは手間かからないんじゃね?」

「でもあれは実際飲食出来るわけじゃないからなぁ。衣装だけだからあまり人気がないんだよな。

 ただ、セイラやアリーシャ、エリーがメイド服着たら客が来るだろうけど、露出が多いのは着させないからな?」


 これまでもコンカフェをやってるクラスは見たけど、衣装が露出が多すぎて。ただでさえ巨乳美少女だのと言われてる3人にそんなのを着せたら客が押し寄せるのは目に見えてる。

 そんな所で3人を見世物には出来ない。

 スカート丈も袖も長いクラシカルメイドならまだいいか……いやダメだ。


「ならどうするよ?」

「ヤマト、お化け屋敷とかは?」

「衣装次第だな。白装束とかなら問題はないかな。衣装もカスタマイズすればいいからそれならいいんじゃね?」


 あとは、どさくさに紛れて触ろうとする奴の対策をすればいいだろう。

 暗いから何もないとセイラやアリーシャ達女子に触ろうとするだろうから。

 衣装もカスタマイズして露出を減らせばいい。


「お化け屋敷をするにしても、子供が来ても大丈夫な可愛いおばけの時間帯と超怖い本格的な時間帯と分けてやったりってのは?

 子供も来るけど泣かせて帰すのも悪いし」

「そうだな。委員長、お化け屋敷で今ヤマトが言ったみたいなコンセプトでやらね?」

「そうね。それなら2回楽しめるし、子供を泣かせなくていいわね。せっかくなら楽しんでいって欲しいものね。

 お化け屋敷のほかに提案はない?」


 結局お化け屋敷に決定となった。

 演劇や自主映画は面倒だし、展示も何を展示するかで手間がかかり過ぎる。屋台はパッケージがしっかりしてるから楽だけど、他でもやるようなら差別化が出来ないということで却下となった。




 提案者ということで、俺がプロジェクトリーダーをすることになってしまった。

 それはまあいいとして、客を呼び込むためにセイラ、アリーシャ、エリーはおばけ役決定となった。

 通路のレイアウトやおばけの衣装のデザインチームを決め、衣装の方はおばけ役も参加してデザインする。ただし、最終決定は俺だから露出の多いのは却下する。

 教室の外のデザインもしないといけないので人の割り振りをする。ベースのデザインはパッケージにあるから修正して飾りを追加してもらう。


 おばけの配役は、セイラが「貞子」、エリーがお菊、アリーシャが吸血鬼だそうだ。

 後は鬼太郎や猫娘とかメリーさん、トイレの花子さんなどが出てくることになった。おばけと言うより都市伝説っぽいのが紛れているが。

 パッケージにも入っていた「貞子」はテレビから出てきて呪う心霊だそうだ。お菊は江戸時代の古典怪談「番町皿屋敷」から。お化け屋敷の定番キャラだ。吸血鬼は西洋妖怪のメジャーキャラだ。


 おばけの配役に合わせて教室内のレイアウトを決めていく。


「どういう感じにしようか?」

「あまり人を多く配置しない方が楽だよな?ダグ、他の所も見て回りたいだろうし」

「そうだな。彼女と見て回りたいな」

「それなら人を多く配置しよう……特に彼女持ちの奴を優先的に配置しよう。な、ヤマト」

「「そんな事しても寂しいだけだぞ」」

「うっ」


 なるべく多く人を配置しないように、通路での怖がらせ行為はなしにする方向で。

 あと、各部屋で怖がらせることを完結させることにする

 入口すぐに案内役の鬼太郎を配置して、お化け屋敷の説明をしてもらおう。その後は反時計回りに、学校のトイレ、リビング、井戸のある庭、地下室の4つの部屋を配置。

 各部屋を通路で繋いで、最後に出口へ。出口では猫娘が案内して終了というコースになる。

 各部屋のデザインはパッケージにある普通のデザインのを使い、それぞれ配置されるおばけが怖がらせるストーリーを作る。

 通路は繋がる先の部屋に合わせたテクスチャを貼り、先の部屋が見えないように靄が漂うようエフェクトを入れるようする。


「トレの花子さんは、トイレを3カ所以上作って3番目のドアをノックさせたいな?」

「引きずり込むのもやる?」


「メリーさんはやっぱりリビングの電話は突然鳴って何回もやりとりするようでないとダメだろ?」

「背後に出るのはテレビから貞子?」


「お菊はシンプルに井戸から声が聞こえてきて出てくるパターンだよな」

「ついでに貞子も再登場する?」

「「「「「「「いいね」」」」」」


「吸血鬼……どうする?棺桶が開いて出てくるだけ?寂しくね?」

「一応エフェクトでコウモリから吸血鬼になるのがあるけど」

「ちょっと弱いよな。女の子が来たら血を吸わせる?男の場合はムチでぶったりするか?」

「ヤバイ方向に目覚めそうで怖いけどな」


 各部屋の簡単な流れを考えてみる。最終的には各部屋のおばけ役と何人かで調整してもらおう。

 貞子は2人手配が必要だな。

 とにかく雰囲気で怖がらせるストーリーを作ろう。


「子供が泣かないバージョンはどうする?」

「ハロウィーンみたいな感じでいいんじゃない?お菓子のギフトをあげる感じで」

「大人とかも来そうだよな?」

「お菓子のギフトは子供限定でな?」


「ヤマトくん、衣装の方はどうする?」

「少し可愛い感じでアレンジしてもらっていいよ。どれも衣装的には怖いって感じはないんだけど」


 衣装についてはパッケージにある標準タイプと子供を泣かさないバージョンの2タイプ準備する。

 子供が泣かないバージョン向けの衣装のアレンジも、各部屋のおばけ役と女子何人かで決めてもらっていいかな。

 女子が決める方が可愛い感じになると思うけど。必要によっては男に声をかけて相談してくれていいし。


 出入口の鬼太郎と猫娘はパッケージのをそのまま使用で、どちらのバージョンもそれでいいだろう。

 昔から子供に人気のヒーローだし……




 それから数日、各部屋のストーリー作りや各テクスチャの調整、衣装のアレンジ、等などいろいろデータの作り込みをみんなで行い完成させる。

 各部屋のストーリーや衣装は何度かみんなでチェックを入れ、いい物に仕上がったと思う。子供が泣かないバージョンは衣装が結構可愛くなった。


 最後に実際の演技を確認するのにみんなで体験する事になった。


 先ずトイレの花子さん……お客さんは肝試しという設定で「学校のトイレ」に設定した部屋に入る。

 トイレは照明が付いているが薄暗く、トイレのドアも薄汚れ表面や角が削れボロボロになっている。更に外は雨が降り雷も鳴っている。

 この部屋に入ると「肝試しのために学校のトイレに来ている」事が告げられる。更にトイレのドアを順番にノックし、「花子さんいらっしゃいますか?」と声をかける事を指示される。

 入口側から1番目……2番目……3番目、ドアをノックし「花子さんいらっしゃいますか?」と声をかけると……かすかな声で「はい」返事があり、ドアを開けると花子さんがいてトイレに引きずり込まれる。


 花子さんはこんな感じでいいだろう。

 子供が泣かないバージョンは、ドアを開けた所でお菓子をあげる事になる。




 次のメリーさん&貞子の部屋は……リビングを模した部屋になる。部屋に入ってくつろいでもらう。

 突然部屋が暗くなり電話が鳴る。問題は電話機というものがなくなって幾年月、使い方が分かるのだろうか……

 現状に合わせたアレンジを加えるべきだろう。


 メッセージが届き、知らないメリーさんがこれから来るらしい。

 今、近所のスーパーの前にいるらしい。

 今、家の近くの門を曲がったらしい。

 今、玄関前にいるらしい。

 どんどん家に近付いてきた。家には入れないはず。

 しかし……

 今、玄関に入って来たらしい。

 今、玄関から入って来たらしい。

 今、リビングの扉の前に来たらしい。

 今……真後に居る…………

 振り向いた途端にテレビの電源が入り、中から貞子が出てくる。

  ズルリ ズルリ

 床を這いずって近付いて来た。


「セイラ、もうちょっとゆっくりズルズルやってくれ」

「ん、やってみる」


 子供が泣かないバージョンはメリーさんは遊びに来る設定で、貞子も可愛い魔法少女的な衣装でテレビに現れて中から出てくる。ズルズルとはしない。




 次はお菊&貞子の部屋だ。ここは古い日本家屋の庭だ、井戸のある。

 暗くなったよるの庭で井戸から微かに数を数える声が……


『1枚……2枚……3枚……4枚……5枚……6枚……7枚……8枚……9枚…………

 1枚足りない』


 定番の効果音を流し、井戸から泣きながらお菊が姿を現す。お菊は血糊とかで怖がらせるメイクする程度。

 しかし、これで終わりではない。

 この後、更に井戸から貞子が現れ、『皿を出せ……皿を返せ……』と叫びながら這い寄ってくる。

 貞子はセイラではなく別の女子にやってもらうが、凄く上手かった。分かっていても怖かった。


 子供が泣かないバージョンは、お菊が子供にお菓子を9個数えながらあげる形だ。メイクも効果音もなしで。




 最期に吸血鬼の部屋だが、通路は階段に変わる。

 降りていくと地下室があり、中央に棺桶が置いてある。

 ここでの設定としてお客さんは吸血鬼退治に来ていることになっている。

 棺桶を開けると中からたくさんのコウモリが出てくる。そのコウモリが1箇所に集まり、姿が変わり吸血鬼になる。

 男装の貴族のような格好をしたアリーシャが登場。

 コウモリに戻ってお客さんの背後でまた人型に戻ったりする。

 女性のお客さんの場合は背後から首筋に噛みつき、男の場合は鞭で攻撃だ。

 適当なタイミングで吸血鬼が撤退して終了となる。


 子供が泣かないバージョンは、女性バージョンの吸血鬼でスカートにレギンスで肌の露出はなし。可愛くということでたくさんのフリルで飾ったものになっている。


「アリーシャ、女性客は惚れさせるくらい格好いい感じにしてくれ。男には適当でいい」

「ヤマト、それはどうかと思うぞ!」

「女性客と子供が来ればいいんだ。男はいらん」

「ひでぇ」



 まあ、こんな感じかな。交代する女子も大体分かってくれたと思うので、後は各々演技と雰囲気作りを頑張ってもらおう。

 子供に配るお菓子についてはその場では食べれないが、ギフトなので使えば家に届くようにしてある。これはエリーの家の京極家が支援してくれることになっている。

 メタバースで食事とか出来るようになればいいのだが、味覚や嗅覚はまだ完全に再現出来ないためだ。いつか出来るようになればいいけど、食べた時お腹に入る物がどういうものなのか気になる。


 準備はほぼ終わり、後は明後日の当日までブラッシュアップしていくだけ。

 データのバックアップもきちんとしておいたから問題は起きないだろう。

 お客さんはどのくらい来るかな?


### 続く ###


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