第037話-8 競技大会中盤前半戦 12回戦目1
今日は中盤前半戦6回戦の12回戦目だ。
前回はジャンプしまくって、射撃戦・格闘戦だった。終わってメンテナンスをしたら、脚部のフレームに若干疲労が見つかった。これは宇宙戦艦の方でメンテナンスすれば修復できる程度だが、重量級になってきたクサナギ<改>も脚回り不具合のチェックはしっかりしなければいけなくなった。
構成の変更は特になく、そのまま出撃する。
武装はいつものアサルトライフル、超高硬度ヒートソード、スナイパーライフル、これまで使ってない大型ビームサーベルだ。
前回、顧菟がグレネードを使っていたが、追い詰めるには意外に便利そうだったが、大会中はそれより強力な銃火器を使う方が手っ取り早いと思ってしまう。
いずれ検討して使ってみるのもいいかと考えてる。
でも、今大会では使わないけど。
時間もまだあるし、ラウンジで暇を潰す事に。
中盤前半戦最終日なので観戦者が多い。
ということはアレがいるのか?いないよな?
居たらさっさとメンテブースに戻る。
「ふぅ~、今の所居ないか……」
「タケル!勝ったぞ。前半戦クリアした!初めて中盤後半戦に行ける!!」
「良かったな、ヴァルトラウテ。俺はまだこれからなんだが」
「今回ももらった大剣一閃で終わった」
「そうか。勝ったのは良かったが、大剣の性能任せで勝って今後の対戦は大丈夫なのか?」
これから先、次の後半戦はもっと強い対戦相手が出てくるのに、炎の大剣頼りでは必ず負ける。俺に当たったら確実に負ける。
ちゃんと射撃戦の訓練や対策が出来てるか心配だ。
顧菟と対戦してたら、負けなかったとしてもかなりダメージを食らってたはず。
「大丈夫。攻撃を食らう前に斬り捨てればいいんだ。勝てる勝てる」
「遠距離や逃げながら撃ってくるようなプレーヤーに勝てるのか?
ヒートソードが届かないんだぞ?」
「うっ。でも、近付けばいいんだよ。そうすれば大丈夫」
「届かない所に逃げるんだけど。ピアレイより速かったら追い付けないんだぞ?」
難しい顔をしてヴァルトラウテが悩んでいる。
一度顧菟やケスカと対戦させてみたいよ。そうすればちゃんと理解できるはずなんだけど。
ヴァルトラウテは経験しないと身に付かないタイプだと思うから。
「まぁ、いいけどな。後半戦で嫌になるほど分かるだろうから」
「え?」
「さて、そろそろ時間だ。またな」
「え?もう行っちゃうの?」
「ああ、もうすぐ対戦の時間だ。不戦敗になりたくない」
これでとりあえず話を終了させ、メンテブースに戻る。
最終確認をして、クサナギ<改>に手をついて独り言ちた。
「頼むな」
コクピットに潜り込み、精神集中して待つ。
中盤前半戦最後の対戦が始まる。
<<<Battle Start>>>
転送された。
今回は岩山ステージだ。山岳ステージより傾斜が急になっていて、山肌が岩の上細かい砂利が散乱しているため滑りやすい。下手をすると谷底に落ち対戦終了となる。
しかし、このステージ斜度がきつ過ぎるだろ。山岳ステージの倍以上に斜度だ。機体の重量がネックになっていて速度が出ない。
戦うなら上の方が有利だろう。滑り落とす事も出来るし。
この厳しいステージで戦うのはジャイロディーンというアーマードギアだ。
過去の対戦を見る限りは古参のプレーヤーで、ここ数年構成は変わっていない。完成した機体のようだ。内部の調整とかはしているのだろうが。
機体の大きさはクサナギ<改>と然程変わらず、それでいて動きが速い。いつの間にか背後に回っている事が多い。相手が弱かったというのもあるだろうが、間合いの取り方が絶妙で相手に反応させないようにしている感じだ。
それをこの斜度の大きい斜面で出来るかは不明だが。
攻撃は日本刀のようなヒートソードを使っての格闘戦がメイン。牽制にガトリングガンを使ってる場面があったが、それもほとんど使わない。
少し大きめの盾を持ち敵機の攻撃をそれで受け壊れるからか、対戦で違う事が多かった。これにはこだわりがないのだろう。
転送された場所はステージ内で中間の高さの所だ。崖まで距離がまだあって余裕がある。余程追い詰められるような事にならなければ落ちはしない。
とりあえず上の方に移動しながら索敵しよう。でかい岩や出っ張りがあって意外に見通せない。レーダーでも確認できる範囲には今のところ居ない。
しかし、移動がしにくい。
歩かせれば滑るし、ホバーリングで登るにしても機体重量や斜度の問題で速度が落ちる。ジャンプすれば着地が不安定で滑りかねない。
相手も同じはずだが、ベテランと言っていいだろうジャイロディーンならこちらより上手く動けるのかもしれない。
どんどん中央の上の方に向けて進む。
まだ対戦相手は確認出来ないが、適当なでかい岩場があったのでそこで一旦停止して周辺を警戒する。
岩場などで見通せない所もあるが……と思ってたら、向こうも同じような岩場の上でこちらを確認したようだ。
休憩もほどほどに、敵機の上に位置取るように移動を再開する。
やはりなかなかスピードが出ずゆっくりと上り、下ればスピードが落ちなさそうだ。
ジャイロディーンの方を見ればホイホイと登って行くのが見える。
流石にベテランという所か……こういう所を登り慣れていないこちらより先に上に辿り着きそうだ。
こういうときファントムの飛行性能を使いたいと思う。でも使えば目立つのは確実だ。まだ使えない。
ひたすら登っていくと斜め上の方にジャイロディーンがアサルトライフルの射程に入るようになった。
とりあえず先制攻撃を仕掛けておく。これで滑り落ちでもしてくれれば儲けもの。
ダダダッ ダダダッ ダダダッ
敵機は素早く回避するが、足取りは危なげなく岩山の滑りやすい斜面を動いていく。
……素晴らしい……
こんな急斜面の場所であんな動きが出来るとは思わなかった。
まだE.G.G.に参戦して3年くらいの俺には、このような岩山での戦闘経験が足りない。盗賊団討伐や大会中に戦った夢幻とのステージくらいの所でしか戦闘経験が無い。
とにかく先ずは敵機に接近しないと話にならない。更に加速させ岩山を登っていく。
そのままアサルトライフルの射撃を続けつつ接近を試みる。
アサルトライフルの射撃は皆見事に回避されてしまう。でも、向こうの牽制もなく接近できそうだ。
でもよくよく見ると、向こうはアサルトライフルのような銃器を持っていない。銃撃戦は元からほぼ考えてないプレーヤーなのだろう。
ようやくこちらもジャイロディーンに手が届く位置にまで来た。
ふう、ようやく辿り着いた。向こうはこちらを待っていた感じだ。舐められていると言うより戦闘したいという事なのだろう。いいプレーヤーだ。
さて、向こうの希望もあるし、こちらも勝ちたい。
さあ、戦闘に入ろうか。
アサルトライフルを斉射しながら、一気にジャイロディーンとの距離を詰める。
ジャイロディーンが回避するのは織り込み済み。ヒートソードを右手に持ち換え振り下ろす。
敵機は更にヒートソードもひらりと回避しこちらの背後に回り込む。こちらは背後に向けてヒートソードを横一閃するが、剣の軌道を読み後ろに下がって避けた。
くそぉ、当たらない。ほとんど見切ってるように見える。
もっと接近して高速な連撃で攻めようか。
更に加速して間合いを詰め、今度は大振りをせず小振りですぐに斬り返したり、更に打突を混ぜ、その分手数を増やして攻撃する。
ただ、ジャイロディーンの意表は突けず、掠りもしない。
まだ相手からの攻撃もないからやってられるが、攻撃も追加されれば対応は難しくなる。こちらの装甲を貫けるか次第で負けが決まる。
また加速し攻める。ヒートソードを突き、振るい、アサルトライフルを撃ち込み攻め立てる。休む間もなくジャイロディーンを攻撃するが当たらない。
攻撃するスピードを上げる。上げる。まだ当たらない。
一旦離れ考える。どうすれば攻撃を当てられるか……を。
次はヒートソードの剣戟に緩急を付け、アサルトライフルの射撃は敵機を狙うのではなく未来位置を予測し撃ち込む。
今までとは攻撃のタイミングや場所がバラバラになったが、これまでよりは当たりそうにはなった。何度か掠ったりもしもう少しでどうにかなりそうな気がする。
### 続く ###




