第037話-7 競技大会中盤前半戦 11回戦目2
タケルSide
顧菟が早くビル群の方に行きたがってる。
流石に隠れやすいビル群の方に行かせたくはない。手前の道路の所で戦えるのがベストだ。
アサルトライフルで牽制しつつ、ヒートソードでの攻撃に切り替える。
加速して顧菟を追い抜き、ビル群を背に対峙し押し戻すように戦う。
向こうがジャンプすればその鼻っ柱に向けアサルトライフルを撃ち込み、横を抜けて行こうとすれば機体で塞ぎヒートソードで斬りつける。
しかし、クサナギ1機でいつまでも塞ぎきれるわけもなく、顧菟は公園外周の通りへ逃げ、通り沿いに移動を始めた。
う〜~ん、この場所で逃げられたら、ビルが邪魔で回り込むとか出来ないよな。
それならもう相手の都合の良い所で戦って、逃げる気が起きない間に脚部にダメージを与えた方が楽だろう。
とにかくまた見失わないうちに追いかけるか。
先にビル群に入らせてクサナギを待ち構える状態にさせよう。
顧菟Side
すぐに追いかけてこない。見逃してくれたのかな?
いやいや、大会で対戦してるのに見逃すとかないでしょ。何かを狙ってるんだよね?
でも、ビルがいっぱいある所に入れば、ビルを利用して隠れたり攻撃したり出来る。顧菟のジャンプ力を活かした戦闘が出来るよ。
とにかく自分に有利な戦場にで戦わないと。
タケルSide
アクティブスキャンしながら顧菟を見失わないように追いかける。
アサルトライフルの射程外ギリギリくらいの距離を空けて追う。
落ち着いて自分に都合の良い場所が探せるだろう。
それまでちょっと嫌がらせでアサルトライフルを撃つ。射程外だから当たらないが。
こちらに攻撃の意思がないと思われるのも、何か狙ってるぞととか勘繰られて良くないし、いつまでも戦闘場所を探させてる時間はない。
今日も夕食を作らないといけないんだから。
顧菟Side
わぁ、やっぱり撃ってきた。どこかのビルの間に逃げ込まないと。
そこの通りを右に入って、次の十字路で戦おう。ここで決戦だ。
そう思わないと戦えないよ。
タケルSide
顧菟が入り込んだ通りを進んだが見当たらない。アクティブスキャンの反応はあるのだが。
この通りのビルの裏側にいるのが分かっているんだよな。
さて、どうしよう?
そうだな、ビームキャノンでビルを壊してしまおう。
ファイヤー!
顧菟のいる方のビルにビームキャノンを撃ち込み横に薙ぎ払った!
顧菟Side
ビルの向こうにクサナギがいる反応がある。
さて仕掛けようか。
んん?目の前のビルの表面が赤くなってきてるんだけど?
うわぁぁ!?溶け始めてる!逃げろ!!
顧菟を後方に大きくジャンプさせた。
次の瞬間、溶け落ちた所からビームが撃ち出された。
何?クサナギってビーム兵器を使えるの?
もうダメだ!吶喊だ!
タケルSide
よしよし、顧菟に反応があったようだな。出てくるか。
ビームキャノンを撃ち込んだ場所から少し離れた所からジャンプして飛び出してきた。同時にこちらにアサルトライフルを連射しつつ、グレネードを投げん込んできた。
俺もアサルトライフルを掃射しつつ、クサナギを後退させグレネードの範囲外に逃げた。
グレネードが炸裂し辺りが爆煙に包まれ、顧菟の姿が見えない。
しかし、顧菟はアサルトライフルを掃射しながらジャンプして、爆煙から飛び出してくる。こちらとしては都合がいい。
俺もクサナギをジャンプさせ、顧菟に突っ込ませる。
アサルトライフルの射撃に加えて、ヒートソードを叩きつける。
流石に顧菟の方が空中戦の経験の分、簡単にヒートソードを回避されてしまった。
それでも接近してでの射撃はいくらか当たり、軽くダメージを与えた。
クサナギの方はシールドバインダーでほとんどを弾き、胴体や右腕にかすり傷を負った程度だった。
ビルの上に降り立った顧菟は更にジャンプして、クサナギの背後に回り込みながらグレネードを投げてきた。
俺はクサナギをジャンプさせ、更にバーニアを吹かして顧菟の上に飛び上がった。
『なっ?』
顧菟がこちらを見て驚いてる感じだ。自分より高く飛ぶとは思わなかったんだろう。
そのまま上からアサルトライフルを撃ち込んだ。
『きゃあぁぁぁ』
顧菟はもろに銃弾を受け、道路に叩きつけられた。どこまでダメージを与えたか分からないが、手応えは有った。すぐには立ち上がってこない。
顧菟から少し離れた場所に着地し様子を見る。
これで終わりなら楽なんだが、終わるわけもない。
やはり終わりではなかった。
顧菟は四つん這いになったかと思えば、そこから脱兎の如く走り出し一気にジャンプし別の通りに逃げた。そしてまたジャンプし別の通りへと逃げた。
元気なようだ。これなら次で墜とそう。
こちらもジャンプして顧菟を追いかけた。
顧菟Side
ダメェ。勝てそうにないかも。
あの大きさの機体で私より高く飛ぶなんて、しかもこっちはビルを踏み台にしたのに。
一旦体勢を立て直してって思ったけど、もう追いかけてきた。
こっちより高くジャンプしてアサルトライフルで撃ってくるんだけど。
え〜~い、やけだ。また、空中戦で勝負だ。
タケルSide
ファントムなら空中を飛べるんだけど、バックパックはクサナギのままでは飛べない。ジャンプしながら追いかけつつ、アサルトライフルで攻撃する。今度は容赦なくだ。
それでも顧菟よりはジャンプしながらでも高速に移動出来、もうすぐ追い付く。
ヒートソードを準備し接近戦に入る。
と、その直後顧菟が向きを変え、こちらに向かってきた。覚悟を決めたらしい。
ガキッ
互いのヒートソードがぶつかり合う。ジャンプしながらの斬り合いだからとどまっていられない。剣のぶつかる反動で後ろに押し戻される。
またジャンプした勢いをヒートソードに乗せて相手に打ち付ける。
何度も打ち付け合ううちに顧菟の剣には勢いがなくなってきた。衝撃で腕にダメージだ蓄積されたのだろう。ついにこちらの勢いが勝ち、クサナギごと顧菟をビルに叩きつけた。
グシャッ
ビルが崩れ、顧菟がその中に埋まり、クサナギの重量も合わせた衝撃で動けなくなったようだ。
これで最期だ。顧菟のコクピットにヒートソードを突き立てた……
<<<Battle End>>>
よしっ、勝った。
とはいえ、毎回のように対戦相手の都合に合わせて戦うのは疲れる。
まだファントムのパーツの性能頼りの状態で勝ってるだけだ。俺の戦闘スキルで勝てたわけじゃない。
上位プレーヤーと戦えばどうなるか、だ。
全ての上位プレーヤーに負けるとは思わないが、同じ機体なら勝てるというイメージも湧かない。自分に自信はまだない。
もっと自分に有利な戦闘状況に持ち込めるようになりたい。
ラウンジに戻ると、まだだん吉とマッカーサーが居た。対戦を観ていたらしい。
「勝ったな?タケル。にしても、クサナギの装甲は硬いな?」
「普通のアサルトライフルやヒートソードだとシールドバインダーを破壊出来ねぇだろ。
当たるに任せて戦ってるけど、回避がいい加減になってると痛い目見るぞ」
「ああ、分かってる。今はパーツの限界も見極めたいのもあるから」
「分かってるならいいけどな?」
「でも、他の事は分かってないな」
何の事なんだか知らないが、ゲームをしてるんだからそれ以外は別に放っておけばいい。
それにこいつらがからかい半分で言ってるんだろうし、リアルに大事な2人が居るんだから余計な事に手を出してはいられない。
「まぁ、戦闘内容は悪くはないけどな」
「もっと楽に勝てそうだけどな?卑怯というかずる賢く戦ってもいいと思うぞ」
「それは分かってるけど、そんな戦い方が思い浮かばない」
「タケルはお人好しだもんな。それで負けなきゃいいんだけどよ。
まあ、頑張れよ」
気にしている事の一部を言われ考え込んでいた。
その間に2人は落ちたようだ。気付いたらいなくなっていた。
今これ以上考えてる時間はないし、俺も落ちよう。
### 続く ###




