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TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


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第037話-5 競技大会中盤前半戦 10回戦目

 一昨日ケスカとの対戦で、いくらかフレームに疲労が見られるだけで特に問題はないようだ。

 パーツの調整とチェックに時間を費やしただけだった。

 その間に宇宙戦艦のサポートAIに、小型軽量タイプのパーツと強化パーツのリストアップを頼んでおいた。



 その後はリアルでゆっくり夕食の準備をし、いつもより手間のかかるものを準備したらセイラとアリーシャが喜んでくれた。

 大会中は対戦に集中していてあまり2人のために時間が取れないから、中盤前半戦が終わったらどこかに行きたいなぁと思っているところ。


「セイラとアリーシャ、ゲームの方の大会が一段落したらどこか出かけないか?」

「「うんうん、出かけたい」」

「どこがいいかなぁ、秋の行楽シーズンって言うくらいだから紅葉も綺麗だし。

 あと、文化祭の代休で3日間休みがあるから、泊まりで出かけられるけど?」

「『こうよう』?」

「秋になって冷え込んでくると葉っぱが赤とかオレンジ色になる種類の木があるんだよ。

 葉っぱがそういう色になる時期を『紅葉』って言って、山が全部真っ赤になるところもあるんだって。

 メタバースでも時期が来ると色が変わるけど、実物の方が綺麗だと思うけどな」

「凄いね。観てみたい」


 この辺りで風景とアリーシャが楽しめる古い建物のある場所なんかがいいかな?

 俺とセイラは行った事があるけど。


「あと、秋だから美味しいものも多いよ。甘いものだけじゃなくて料理も」

「そうだな。海のものも山のものも美味しいものが多い時期だよな。セイラはそういうのがあるところがいいよな?」

「うん。美味しいものをいっぱい食べたい」


 食べ歩きも出来るといいな。

 海に近くても瀬戸内なら山にも近いし、旅館とかなら大体両方の食材を使った料理を出してくれるよな。


「じゃあ、宮島なんかどう?厳島神社がある所。セイラ、もみじ饅頭もあるぞ?」




 リアルで鋭気を養うための約束を2人と取り付けて、今日は中盤戦4回戦の10回戦目だ。

 対戦相手は二刀流のヒートソードでの格闘重視のプレーヤー。

 両肩にシールドを取り付けているため、鎧武者風のアーマードギアになっている。高速移動で一撃離脱の戦法で手数が多い。

 一度に受けるダメージが大きくないようなので、今のクサナギ<改>の装甲で受けきれるかもしれない。

 少なくともシールドバインダーなら大丈夫だろう。

 後は戦闘するステージ次第だな。



 そんなことを考えているとだん吉とマッカーサーが連れ立って来た。


「よう、タケル。またナンパしたんだって?」

「マッカーサー、誰だそんな事を言ったのは?だん吉か?」

「ああ、前回の対戦相手をナンパしてたじゃん。パーツあげるから、どう?って」

「してねぇ。自分でこだわったパーツで構成した機体で、いかに勝つかで苦労してるのを見て支援したくなったんだよ。

 あの小型軽量の機体であそこまで勝ち上がってきてるんだぞ?パーツがもっといいのになれば、装甲が硬くなればもっと上が狙えるだろ?」

「まあなぁ。あの機体でクサナギとあれだけ渡り合えたんだから、武器の威力も上がれば確かに上が狙える……」

「だん吉、そうなのか?」

「見てた限りではそれだけの戦闘スキルはあったと思うぞ?」


 そうだ。それもあるから俺は支援したいと思った。

 あそこまで不利な機体で戦おうと思う奴はいない。もっとスペックが上がれば強くなれる……はず。

 それを見てみたいし、その時また再戦したい。


「へぇ~でも、小型軽量タイプのパーツってそんなにあるのか?」

「分からん。見つけたパーツのリストアップを始めたばかりだからな」

「あるといいな」


 まだあるかどうか分からないからな。

 あれば俺は使わないから好きなのを持っていってもらうつもりだ。

 無駄に倉庫の肥やしになるよりはましだ。


 その後もケスカのプレーヤーの話をし、美人だから俺がナンパしただのいわれのない事をだん吉が言い始め、それを止めるために時間を費やしてしまった。

 その様子を向こうでまたヴァルトラウテと静御前が見ていた……



 ヴァルトラウテといえば前回の対戦を観ていないが、今回はしっかり観させてもらった。

 といっても相変わらず炎の大剣任せの戦闘で面白みがない。

 いい加減誰か痛い目を見せてやれよ、中堅プレーヤー共は。




 さあ、対戦の時間だ。行こうか。


「「いってら〜」」


 自分のメンテブースに入り、いつものようにクサナギ<改>の外観を確認する。昨日メンテが終わったタイミングでも確認しているので念の為だ。

 問題がない事を確認してからコクピットに入り、パネルのチェックをして時間を待った。


 <<<Battle Start>>>


 今回は平原に降り立った。

 起伏は多いが、丘陵地帯の時のように大きく高低差がある場所ではない。

 敵機が出現しているはずだが有利不利が出るほどの差はないはず。


 まずは索敵だ。目視できる範囲には対戦相手の機体テパノムは見当たらない。パッシブスキャンに反応はなかった。

 仕方ない。移動しよう。


 多少の起伏がある草原を、周囲を警戒しながらホバーリングで走っていく。

 しばらく走っても敵機は見当たらない。

 真っ平らなわけではないけど、凹みにアーマードギアを忍ばせる程に深くはない。もしかしたら、もっと深い凹みがあるのか?

 ただ、テパノムの戦闘スタイルからいけば、隠れるより正面切って向かってくるはず。


 広い平原どうなっているか分からない。動き回って確認していくしかない。

 それでも見つからないなら、いつものように自分を囮にするしかない。

 そんな事を思っているとかなり遠方で砂煙が上がっているのが見える。


『あれか?』


 スナイパーライフルのスコープを覗いて確認する。

 こっちを見つけたのか向かってくる。ちょうどいいからスナイプする。

 狙いを定めて……シュート!


  バシュッ


 右肩の盾に掠ったようだ。

 更に狙いを定め撃つ。スコープを覗くとテパノムは両手に持つヒートソードを振り払っていた。

 ヒートソードで銃弾を斬るつもりなのか?

 案の定銃弾は弾かれず、また右肩の盾に掠った。前より深く。

 その衝撃で体勢が少し崩れ、崩れた体勢にスピードが合わさって盛大に転倒した。

 それで正気に戻ったのか、右のヒートソードをアサルトライフルに替え向かってくる。



 そのままアサルトライフルの射程まで接近して来るまで、その場に留まりテパノムをスナイプする。こちらの銃声が聞こえるのか、それに合わせてまたヒートソードを振るが当たりはしない。

 スナイプでは左肩の盾、胴体を掠ったが、それだけで明確なダメージは与えられなかった。


 アサルトライフルの射程に入ったところでスナイプを止め、アサルトライフルに交換しテパノムに向けて移動を始める。

 お互い真っすぐ進みアサルトライフルを斉射しながら横を通り過ぎる。

 テパノムの銃撃はシールドバインダーが尽く弾き、クサナギの銃撃はテパノムの全身に浅くないダメージを与えた、


 離れ距離を取ったところで、脚部のピックを地面に突き刺し急旋回して一旦停止した。

 俺はアサルトライフルを左手に持ち替え、右手に超高硬度ヒートソードを持つ。

 俺が持ち替えたのを合図にまた真っ直ぐ走り始める。

 今度はスピードを1段上げる。さっきより攻撃できる時間が短くなる。

 アサルトライフルの斉射の応酬に始まり、すれ違う直前にヒートソードを打ち合う。


  ガキッ。


 スピードが上乗せされたヒートソードの打ち合いは、腕に大きな衝撃を与える。ヒートソードを取り落とさないようにするためため衝撃に耐えなければならない。

 普通のスピードならともかく、高速移動中の打ち合いは機体への負荷が大きくなる。


 また離れた位置で急旋回し、お互いに向かって更にスピードを上げて突っ込む。これを何度も繰り返した。

 クサナギはシールドバインダーで弾くだけでなく、胴体、腕部、脚部でも銃弾を弾いた。

 テパノムはこちらの銃弾が頭部や右腕、右脚にめり込み、右肩の盾を弾き飛ばした。

 打ち合うヒートソードは衝撃で取り落とさなかった。しかし、テパノムのヒートソードは折れ、もう1本と交換したがこれも折れる前に右腕が衝撃に耐えられなくなり機能停止して振るえなくなった。


 クサナギもアサルトライフルを格納し、左手にヒートソードを持たせ勝負を再開する。


 いかに二刀流でやっていたとしても左のヒートソードのみを利き腕のように動かすのは難しいだろう。あえて利き腕ではない方で始めていたというのなら別だが。

 結果反応の良くない左腕でヒートソードを振り回していては、こちらは回避できるし機体にダメージを与えることも出来た。

 右腕が斬り落とされ、頭部が跳ね飛ばされ、右脚部はバーニアが潰された。


 肝心の足回りが潰されてはテパノムももう戦えなかった。

 最期にパイルバンカーをコクピットに打ち込んで終了となった……


 <<<Battle End>>>


 本格的な斬り合いにはならず、すれ違いざまにヒートソードを打ち付け合うだけだった。

 かすり傷は多少出来たが大きなダメージはないと思う。ただ、腕のフレームに歪みや疲労がなければいい。

 対戦相手が正面から戦ってくれた分今日は楽だった。索敵の手間もほとんどなかったし、策略を練る必要もなかったし。

 その分パワー勝負、装甲の硬さ勝負で自分のアーマードギアの性能が物を言ったというところだ。



 しばらくラウンジで休んでいると、ヴァルトラウテと静御前がこちらに向かってきた。

 前の対戦の後もこっちを見ていたようだけど何か用があるのだろうか?


「何か用があるのか?」

「「前回の美人の対戦相手をナンパしてチームに入れようとしたって、ホント?」」

「ナンパもしてないし、チームにも誘ってないが。元々ソロでやるつもりなんだから」

「マッカーサーが」「だん吉が」「「そう言ってたから」」

「わざとそういう風に言ってるだけだから。今の所予定はない」

「でもパーツを上げる約束をしたって」

「それか……」


 ヴァルトラウテにはもうやったし、静御前にはまだ早すぎるからやれないし。

 俺が誰にパーツをやってもいいだろう?


「小型軽量タイプの機体でパーツに苦労しているみたいだからな。戦闘スキルはいい物を持っているんだから、パーツが良くなればもっと強くなれるはずなんだ。

 だから、俺が使わないから小型軽量タイプのパーツがあればやる約束をしたんだよ」

「「やっぱり」」


 やっぱりって何?


### 続く ###


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