第037話-3 競技大会中盤前半戦 9回戦目1
今日も大会中盤3回戦 合計9回戦目。
また簡単には勝てない勝負になりそうだ。
前回は両腕を失うまで戦ったが、今は肩部からファントムのパーツに交換し調整を昨日行った。
これで以前よりいい状態にまで戻っている。
装甲も頭部とバックパック以外は装甲が硬くなっているから、少々アサルトライフルやスナイパーライフルの銃弾を受けても弾くはずだ。
後は、実際の対戦でどこまでやれるかが問題だが。
今日の対戦相手はあまり情報が多くない。
理由は画面にほとんど出て来ていないからだ。前大会もあわせて対戦中画面上にほとんど機体が出てこない。
出て来ている画像から分かることといえば、機体が小さく動きが速い。ほとんどがスナイプでダメージを与え、アサシンのように背後から止めを刺すパターンが多い。
とにかく大会主催者のカメラにもほとんど映らないように行動しているという事だ。
小さい以上耐久力は低いわけだが、装甲は弱いかは限らない。
スナイプでかなりのダメージを与えているところから、スナイパーライフルも高威力のものを使っているのだろう。
分かるのはそれくらい。いかに隠れて攻撃するかに特化した機体なのだろう。
こちらからすれば当たればかなりのダメージを与えられるのかもしれないが、いかんせん的である機体のサイズが小さい。狙うのも厳しい所だ。
う~~ん、どうしたものか……
「よう、どうした?前の対戦で腕をやられて困ってんのか?」
「おお、マッカーサーか。腕の方は問題ねぇよ。予備にしておいたいい方の腕に交換したから、トータル的には強化できた」
「なんだ、やっぱり余力を残してたのか」
「まぁな。この間いろいろパーツを手に入れたから、使いたいのを優先してそれ以外は予備パーツにしておいた」
「それで何を悩んでるんだ?」
悩んでいるというか、対策が難しいというか、出たとこ勝負でもいいがなるべく勝算は上げておきたいとは思う。
相手のアーマードギア「ケスカ」へのここという狙い目とかあればいいのだけど。
「相手のケスカについての対策に悩んでる。あまり情報が揃ってなくていい案がない」
「俺も対戦したことはない相手だな。あまり話題にはなっていないプレーヤーだよな?」
「そうなんだよ。プレー自体もスナイパーやアサシンのようなことをしてるから、対戦相手もいつの間にかやられてるという感じでさ」
「そりゃあ凄ぇな?凄腕過ぎるだろ。自分で囮になっておびき出すのが一番手っ取り早いかもしれないな?」
「そうだよな。いつもやってるし」
やっぱりそれしかないか。それしかないかぁぁ〜
シールドバインダーも2枚あるし、なんとかなるよな?
「それでいくよ。さて、時間だ。またな」
「ああ、ここで観戦してるから、頑張れよ」
メンテブースに入り、クサナギという名のほとんどファントムを確認して乗り込む。
前のクサナギの腕部と肩部に比べて、一回り大きくなったファントムのパーツ。それでいて反応が速いしパワーも大きく違う。
ケスカなら殴るだけで破損させられそうだ。
後は引き続きビームキャノン装備のシールドバインダーを装備している。
高火力の火器はあると安心するな。今回も使うかは分からないが。
ビームキャノンを使わなくても、ケスカの装甲は簡単に貫通できそうだしな。
と、考えていると時間が来た、転送の時間が。
<<<Battle Start>>>
転送された場所は廃墟と化した市街地だった。
倒れたビル、ボロボロに崩れたビル、いろんな壊れたビルがあった。
今のリアルの市街地からはとても想像出来ない荒れ様だ。アニメや映画、ゲーム内でないと見れない風景だ。
実際にリアルでは人口が極端に減った時も、こんな廃墟にはならず再開発されたんだが。
おっと、リアルにない廃墟の事を考えている場合ではなかった。
もう戦闘は始まっている。早くケスカを見つけなければいけない。
この世紀末な廃墟の市街地を移動する。ケスカは闇に姿を消している。
それを引き摺り出さなければ、こちらは勝負にならない。
一応、こちらはスナイパーライフルも装備ししている。
バシュッ ガキッ
クサナギが通り過ぎた路面に弾痕が出来た。ケスカが狙ってきたようだ。
射線を確認すると大きなビルが建っていた。その屋上にアーマードギアが1体見える。
こちらもその機体を狙うがすぐに隠れてしまった。次のチャンスを狙うしかない。
周辺の大きなビルを中心にアクティブスキャンでチェックをしながら、そのまま廃墟の中を走り回る。その間も何発もケスカが撃ってきたが当たらなかった。
わざと外してる?こちらの恐怖心を煽るつもりか?
こちらとしては序盤にスナイプで弱らせていることぐらいは把握している。それに、これまでも何度もスナイプや遠距離射撃を受けてるから、このくらいでビビるようなメンタルではない。
こちらも撃ってきた直後にお返しをしている。まあ、当たってはいないが。
ケスカSide
もう何発も撃ってるけど全然ビビったりしてないな。こっちの事を調べてるはずだからかな?
あまり画面に出ない戦闘をしてるから、詳しくは分かってないはず。
向こうも撃ってきてるけどハズレてる。でも、あんまり焦ってる感じはしないな。ベテランさんなのかな?
まだしばらくはスナイプを続けよう。そろそろ当てて恐怖心を煽ろうか。
捕まえられない敵がどこからか撃ってくるのは怖いでしょ?
ケスカが小型軽量の機体でビルの上からでも狙えるからね。そのためにスナイプ用にしっかり弾丸も確保してきてるよ。
今の所クサナギはこっちを舐めてかかってきてる感じはしない。でも、デカいから負けないと思ってるよね?
そう思って負けたプレーヤーはいっぱいいるから。
あたしとケスカで作り上げた暗殺術を味わうといいよ。
タケルSide
変わらずビルの上を移動しこちらを狙ってくる。よくビルがケスカの重量に耐えられるもんだ。
余程軽量なんだろう。
こちらは自分を囮にするように市街地の道路を走らせる。何度も自分を囮に使ってるし、ファントムのパーツの装甲は伊達じゃない……はずだ。あの炎の大剣すら止められるし。
俺もケスカを見つけてはスナイプするが、向こうも警戒しているからすぐに隠れて当たりゃあしない。こっちはもう何発も当たっているのに。
的も小さいし、動きながらでは照準の微調整が難しくて元々当たる状態ではないが。
仕方ない。一旦止まって狙いを絞ってみるか。
ターゲットの移動を予測して現れるだろうビルを絞って、狙いを付ける。
出た!狙いを微調整して撃った
ケスカSide
カシュッ
銃弾が掠った?
別にビルにすぐに移動した。
クサナギは先読みして今居るビルに狙いを定めてたみたい。
それでも掠っただけだけど、今まで掠らせたプレーヤーはいなかった。
あそこまで機体をこっちが狙えるようにさらけ出して、スナイプに集中したなんて。
掠った……掠った……怖い。
この自分が好きな形に作った小型軽量のケスカは、大抵1発当たったら終わりだ。今までもそうだった。特に始めた頃はめちゃくちゃやられて勝てなかった。
やっと小型軽量のこのコでも勝てる戦闘スタイルが出来上がったのに、上位プレーヤーでもないクサナギに負けたくない。
落ち着け……落ち着け……まだ掠っただけよ。まだやれる。
別のビルに移ってスナイプを続けよう。
でも、何発か当たってるのにダメージはないの?未だに動きが変わらないんだけど。
タケルSide
足を止めて何発撃っても当たらないな。
どうするか……とりあえず移動しよう。このままここで考えていても仕方がない。
移動しながらこちらもスナイプする。当然当たらない。
でも、ケスカの銃弾は当たってる。ただ、シールドバインダーで受けているし、頭部とバックパック以外でも弾かれダメージにはなっていない。
関節にでも当たらない限り問題はないだろう。
移動中ビルを見るが、こういうのは柱が壊れるとどうなる?
すぐに倒れないにしても上にアーマードギアが乗れば……
……にやり……
ビルの中に入り、いくつかの柱にビームキャノンを撃ち込む。
すぐに倒れてほしくはないから数は調整する。
移動しながら高いビルを見つけては中に入り、柱にビームキャノンを撃ち込んでいった。
ケスカの方からは逃げ隠れしているように見えるだろうか。
ケスカSide
クサナギがまた移動しながら攻撃してくるようになった。
逃げてこっちの弾切れを狙ってる?
時々ビルに入っては出てくるようになったし、弾切れ狙い?
それなら無駄だよ。こっちは大量にマガジンを準備してる。対戦が終わってもかなり残るくらい。
時間がかかってもスナイプで弱らせる。これがあたしの戦闘スタイル。
相手を十分弱らせてから近付かないとこっちががやられる。
コモドドラゴンの狩りと同じだ。噛んで毒を注入して後は弱るまで何日も追いかける。
E.G.G.に毒はないから、ずっとスナイプしてダメージを与える。弱るまで続ける。
このスタイルを始めた頃、何度騙されたか。
とにかく弱らせる。それまで我満我満。
### 続く ###




