第035話 新入生
新学期が始まって次の日、新入生の入学式があった。
メタバースとはいえ、広い地域の同じ年の生徒が一つの学校に入学するので結構人数は多い。
それでも200年300年前の入学式というのは、地元コミュニティよりさらに小さいコミュニティ内で今より新入生が多かったという話だから信じられない。
しかもリアルで集まってんだよ?どんだけ人がいたんだ。
俺達在校生はいつも通り授業を受けていた。
だから新入生が登校してくるタイミングで俺達も登校し、校門前にセイラとアリーシャが待っていていつも以上に人集りが出来ていた。
その中に入ろうとしたが入れず、メッセージを送って出て来てもらってようやく合流できた。
『何だ?あの男』
『しかも腕組んでるぞ!どういう関係なんだ?』
『あのお姉さん達に釣り合わねぇな。どっか行けよ』
『BooBoo』
なんか散々な事を言ってる奴がいるんだけど。まぁいいけど。
君達が憧れたお姉さん達は俺と仲良しで将来を誓い合ってるんだよ。
何人たりとも俺達の間に割り込んだり出来ないからな。
いつも通りとはいえ、新入生の特に男子にいろいろと言われながら校門の所から教室に移動する。
教室に入ればセイラとアリーシャは女子達に持って行かれ、俺は先に来ているトキオや他の男子と話をする事になった。
「ヤマト、相変わらずセイラ嬢は人気ですな。ここに入学してきた時から特に男子に人気があったもんな。
その上、アリーシャ嬢もセットとなればもう……大半の男子が目を奪われるだろ、あの巨乳だもんな」
「巨乳でなかったとしてもスタイルいいし美人だもんな、出るとこ出ててで引っ込むとこは引っ込んでるし」
「そうだな、女神のようなスタイルの2人だよ」
「「「「「「ヤマト、お前はいいよな、生で見れて」」」」」」
そうだった。入学した時からセイラは回りの男子に目を付けられて、校門のところで待たせてるとやっぱり囲まれていたな。
まだ、あの頃は巨乳というほどではなかったけど、背も女子としては高くスタイルが良くて顔も良かったから人気があった。
俺がそばに居てトラブルから守っていたから、俺は「お兄さん」「お父さん」扱いだったし野郎共に鬱陶しがられたっけ。
今年はセイラと同じぐらいに背も高くスタイルも良くて美人なアリーシャもいるから、更に注意が必要だ。
「ヤマト、しばらく大変だな?どこで2人が新入生に声かけられるか分からないし、手を出してくるかも分からないしな」
「「「「「「頑張れよぉ。うちのクラスのアイドルを守れよ」」」」」」
「うっせぇ。ちゃんと守るよ」
アリーシャSide
今日は校門のところで新入生の小さい子が多かったなぁ。
随分ヤマトが睨まれてたしいろいろ言われてたけど、新入生にはヤマトのいいところが分からないんだろうな。
「アリーシャ、どうしたの?」
「エリー。新入生がヤマトの事を睨んでいろいろ言ってたから……」
「毎年の事だからヤマトは何も気にしてないわよ。セイラがここに入ってからずっとこの時期同じ目にあってるから」
「毎年?」
「ええ、セイラが今も人気があるでしょう?ここに入学してきた時もそうだったのよ。先輩がいっぱい言い寄ってきてね」
確かにセイラならみんなが言い寄ってきそうだよね。特に上の学年の人から。
なんとなく守ってあげたくなる感じだし。ヤマトもそうだったのかな?
それに自分の言いなりになりそうな雰囲気もあるから心配なんだよ。実際はそうでもないんだけど。
「ヤマトが徹底的に側に付いて護ってたからね。しばらくしたら流石に先輩達も諦めてセイラを鑑賞用にする事に決めたのよ」
「エリーも言い寄られたんじゃないの?」
「私も同じクラスだったし、ヤマトと遠縁だったから一緒に面倒をみてくれたわよ」
「それでヤマトを好きになったりしなかったの?」
「どうかしらね?」
エリーなら簡単に好きになったりしないのかな?
でも、ヤマトの事を好きなのは確かだと思うんだよね。セイラも言ってたけど。
お嬢様だからそういうのを隠すのが上手いんだよね。
だから、ヤマトの遺伝子をもらうって言って誤魔化してるだと思う。
はっきりすればいいのになぁ。
ただ、ヤマトがまた他の男子にやっかまれるから大変になるだろうけど。
ヤマトSide
授業も終わり、今日は新学期初の同好会。
みんな好きに集まるから全員来るとは限らないけど、それぞれが楽しみに来ている。
今日はセイラとアリーシャ、エリーと来ている。他に男女何人かいて、それぞれ好きにコーデをいじって女子を着飾らせていた。
俺もセイラとアリーシャをエリーと一緒に着飾ってデータに残していった。
それを下級生も見て、自分用に調整してどう合わせるか話し合っていた。
「今日のコーデは格好いい感じだね、ヤマト」
「格好いいコーデもたまにはいい」
「雰囲気が違っていいですね。セイラさんの普段の服にも取り入れてもいいのでは?」
「そうだな。ただなぁ、身体のラインが出やすいからなぁ。それはあまり見せたくないんだよな」
「今更それぐらいどうということもないでしょう。2人はそのくらい見せても気にしませんよ。それよりヤマトに見てもらいたいくらいのはずですわ」
う~~ん、自分が見たい、確かに見たいんだけど……
とりあえず回答は保留と言う事で。
しかし……廊下に新入生が鈴なりになっているんだが?
同好会なんてみな好きにやってるだけで、特に宣伝して募集しているわけではない。なのに集まっているのはなぜだ?
外で見てるのは男子ばかりで、女子の方は中にいる会員が呼んで中に入ってきて一緒にやっているようだった。
外の男子は見ているだけで、しかもセイラとアリーシャ、エリーをずっと見ている。
この同好会は見世物じゃないんだよな。しばらく放置していたけど参加しないっぽい。
「悪いけどこの同好会は見世物じゃあないんでね。ここらで締めさせて貰うよ」
新入生達に一言言って、扉や窓を締めた。
締めて見えなくなるとブーブー言い始める。
しかし、やっぱり女子は新入生の男子に見られているのが気になっていたようだ。自分ではなくても、教室内を見物されるのは嫌だろう。
特に下級生や新入生の女子には礼を言われた。
「ヤマトはこうやって守ってくれるんだよ。たぶん外にいる人達に自分だけ恨みを買ったとしても」
「そうですね。セイラや私の事もこうやって護ってくれましたからね」
「このくらいの普通だろ?
楽しく遊ぶために着てるんであって、知らない奴に見られるために着てるんじゃないしな」
「「護ってくれるヤマトは格好いいよ」」
そんなもんかな?
とりあえず同好会の入会については、宣伝はせず、積極的に参加したい人か、会員が誘った人に限定した。外にいるような奴等は入会させないとした。
同好会の男子はオタクっぽいのが多いけど、コスプレさせたいというかきちんと女子を着飾らせたい意志のある奴だけになった……
ただ、新入生の男子の間では俺は評判が悪く、何故か女子には頼れる先輩と評判が良かった。
そのせいでいずれ目に物を言わせて、俺の評判を落としてもやろうという新入生の奴等が結構いるらしい。
メタバースでそんな事をしたらすぐバレるんだけどな。




