第033話-1 動物園で触れ合おう
前日に隣のクラスの男子とうちのクラスの一部男子が俺を追っかけ回し、俺はどうにか逃げおうせた。
何でもセイラが「両親達に早く孫の顔を見たいから頑張ってって言われてる」というような事を言ったようだ。
当然、俺がセイラとアリーシャと子供を作るような事を散々やってる、と思ったのだろう。親のお墨付きがあるわけだし。実際やってるけど。
2人のあの女神のようなボディを好き放題してると思うと……まぁそりゃあ羨まし過ぎるだろうし、俺に怒りをぶつけたくもなるだろう。
それでも、授業が間に入れば、みんな頭が冷えたようだ。
それ以降は追いかけられていない。
ただ、2人としてどうだったか教えろと言ってくる。当然ノーコメントだ。
どれだけ気持ちいいかなど教えられないし、言葉に出来ないほどだし。
そんな追いかけっこのあった次の日、休日の今日は先日話していた動物園に行く。セイラとアリーシャがずっと楽しみにしてたから。
モビリティで移動するけどそれほど遠くない。
朝食を食べてから出かけようか。
昨日の夜も3人仲良く夜をしっぽりと過ごし、朝も明るくなるまでまぐわってたし。
起きてお風呂に入り身体を洗ってから朝食にする。
朝食は普通のトーストとポテサラ、コンソメスープにした。これならセイラの嫌いなものはないから素直に食べてくれる。
俺とセイラはバターを塗ったトーストにポテサラを乗せて、半分に畳んでポテサラサンドにして食べる。うちのいつもの食べ方だ。
アリーシャは行儀よくトーストとポテサラを別々に食べていた。
「ヤマト、セイラ、その食べ方って美味しいの?」
「普通にポテサラサンドは販売されてるし、みんな食べるから美味しいぞ?」
「うん、美味しいよ。それに時間短縮できる。寝坊した時はちょうどいい」
「確かにな」
もともとセイラが寝坊した時からかもしれない。
俺は美味しいからセイラを真似て食べ始めたんだっけ。
「ヤマト、そういえば動物園ってどんな服装がいいの?」
「どんなのでもいいよ?動きにくくない方が良いけど、スカートでもパンツスタイルでもどっちでも。多少汚れてもいいくらいの方がいいな」
「分かった」
「羊にタックルされるかもしれないから、動きやすさは重要だよ、アリーシャ」
「セイラは尻にタックルされたことがあったな。倒れなかったけど」
「ん、今回はそんな事はさせない」
そんな話をして朝食を食べていた。
セイラはいつも通り楽しみにしてたけど、それ以上にアリーシャが楽しみにしてたようでそわそわしてる。本当に動物にあまり触った事がないんだな。
食事も終えて出かける準備をする。
セイラはタイトな七分丈のストレッチジーンズにノースリーブのパーカーを合わせ、髪型はポニーテールにしてみた。いつもより露出が多いけど、もう俺の嫁だし、俺が守る。
アリーシャはデニムの膝上丈裾フリルのスカートに、こちらもノースリーブのフリル多めのブラウスだ。髪型は今日もツインテールでシュシュで束ねている。露出は今までとあまり変わらないけど、可愛い感じに仕上げてる。1人なら絶対にナンパされるだろうから、アリーシャも俺が守る。
俺はTシャツにジーンズで、腰に長袖のパーカーを巻いている。2人に何かあった時用だ。
後は荷物を持って出かける。
モビリティを手配しておいたから、それに乗って動物園へ。
コテージと同じように山間に動物園はある。かなり昔からあるんだけど、改築したり縮小したりで現在の状態になっている。
動物愛護や条約の問題で希少な動物の展示がなくなったそうだ。それで展示よりふれあいがメインの動物園になっている。
それでも密輸など犯罪に関わり保護された動物が一時的に展示される事がある。
中から外が見えない壁で囲われているので、動物側からは見えないがお世話している状況が見える。そんなのでも子供達にとっては珍しい動物が観られる機会とあって混雑するそうだ。
メタバースでもある程度体感できるけど実物に触れるなら触らせてあげたいといったところで、この動物園は存続している。
「ここが動物園なんだ……」
「昔来た時よりだいぶボロくなってきているけどな」
「だってリニューアルして再開したばっかりだったし」
「そうだな。小さかったから知らなかったけど、あの時も閉園の危機から脱したばっかりだったしな」
今の動物園は珍しい動物もいないしそんなに客が来ない。リピーターも結構少ない。
でも動物の飼育費用はかかるから赤字経営で、よく閉鎖という話が出ていたそうだ。
それが突然スポンサーが現れて、更には経営アドバイザーも付けてくれたとか。結果経営も結構上向きになってるという話だ。
「そうなの?」
「ああ、スポンサーも付いたし、そこがいろいろ相談に乗る形で良くなったって話。
今は当分閉園はないって言う話みたいだよ。俺達の子供が遊びに来れる頃にも大丈夫だよ」
「「ぽっ。早く子供と一緒に来たいね?ね?」」
「その頃はじいちゃんの所にいるから、ちょっと行こうかって訳にはいかないけどな」
農家はあまり簡単に旅行とか行けないんだよな。
じいちゃん達がいるから絶対に無理という事はないし、また状況が変わって休みが取りやすくなっているかもしれない。
「さあ、中に入ろうか」
「「うん」」
中に入る際にもらったパンフを3人でしっかり見始めた。どこから行くかはやはり重要だ。
それに俺的にはきちんと休憩も取れるようにスケジュールを組みたい。セイラのテンションが上がりすぎてダウンするだろうから。
アリーシャも同じではないと思うが注意しておかないと。
「キリンが見たい」
「カバも見たいよ」
とりあえず近いキリンから見に行く。
キリンはここの動物園では長く血統が続いているらしい。その辺が掲示板に掲載してあった。それでも血統が絶えそうになった時期もあるそうだ。
決められた時間に餌やり体験が出来るそうだが、まだ時間ではないようだ。
セイラとアリーシャが柵の所まで近寄ってキリンを眺めていた。
まだ餌やりの時間ではないけど近寄ってくるキリンがいた。
「キリン、可愛いね。結構人懐っこいよ?」
「うん、目が優しいね。小さかったらうちに1頭欲しいなぁ」
「無茶言うな。馬と一緒で蹴りで死ねるし、頭でどついてくるぞ。小さかったとしてもそれなりにダメージがくると思うけどな」
「えっ?そうなの?意外に怖いんだ?」
所詮は偶蹄目だし蹴り足は強いから、下手なとこに当たったら小さくても死ぬんじゃないかな?
確かに可愛い顔してるけどね。
「「餌やりの時にまた来ていい?」」
「ああ、いいよ。じゃあカバの方に行くか」
「「うん」」
「ちょうど赤ちゃんがいるらしいぞ」
「「赤ちゃん、赤ちゃん、赤ちゃん……」」
赤ちゃんのカバが気になるらしい。かなりテンションが上がって来た。
俺は2人に両手を引っ張られながらカバ舎の方に向かう。
2人が俺の手を腕に絡め身体に密着させるため胸に当たってる。
それを見た回りの男が羨ましそうに妬ましそうに俺を見ていた。
カバ舎は赤ちゃんカバのお陰でいっぱい子供が来ていた。回りに親もいて楽しそうに見ていた。
俺達も直に同じようになるはずで、2人はその光景を微笑ましそうに見ていた。
その後ろからカバの赤ちゃんを見る。赤ちゃんカバも母親に纏わりつくようにくっついていた。
カバは割と繁殖力が強いようで、赤ちゃんは結構見られるらしい。プールの維持費がかかるけど、赤ちゃんと丸っこいカバは可愛いと人気がある。
「いいなぁ、赤ちゃん。私も欲しいなぁ」
「うん、ヤマトの赤ちゃん欲しいね」
「嬉しいけど、外で大きな声で言わないでね。夜いっぱい可愛がってあげるから」
「「……うん」」
回りの親が子供の耳を手で覆って聞こえないようにしていた。
確かに子供の教育に良くないな。すみません。
将来には役に立つけど。
そのまましばらくカバの親子を眺めていた。
その仲睦まじい様子に将来あんな風になりたいね。
カバの赤ちゃん達に満足し、そろそろキリンの餌やりの時間なので戻ることにした。
キリンの餌やりもちょっと出遅れ、子供達の後ろから眺める事になった。
それでも餌籠に頭を突っ込むキリンを間近で見られるチャンスで、可愛い顔が堪能できて2人共テンション上げまくってた。
その2人の様子を動画に保存しておいた。
うん、可愛いよ。
### 続く ###




