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TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


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第031話-6 競技大会 6回戦目

 5回戦もクリアし、その後のメンテも終わっている。構成も変更はしていない。

 今日の6回戦も大丈夫だろう。

 今の所アレにも会わず、セイラやアリーシャと仲睦まじく愛し合って精神を保っている。


 今日もE.G.G.にダイブしたら、早々にメンテブースに引き籠もりたい。

 ラウンジに降り立ち周囲を見渡す。今の所居ない。

 負けたからもうそんなに来ないのか?ならいいが。

 今日もビクビクしながらラウンジを移動する。


「タケル、今日も大会か?」

「うぉ?だん吉か。ああ、5回戦を勝ったからな。今日は6回戦目だ」

「何ビクビクしてんだ?」

「ひまわりだよ、ひまわり。アレに勝っただろ?あの後来たんだよ、俺の前に。

 お前が粘着質って言ってたから、また来るのかと思うと怖くてな……」

「あああ……アレな。実際つけ回された奴がいるんだよな、勝ったばっかりに。お前の所にも対戦の後来たんなら……ご愁傷様」

「嫌だぁぁぁ」


 とにかく会いたくはないから早々に引き籠もろう。話をするならメンテブースでだ。

 そう思ってだん吉にメンテブースで話そうと切り出そうとしたその時……


「タケル、久しぶりだな」

「ひゃぁぁ、誰だ?ああ、ヴァルトラウテか。今日も勝ったのか?」

「勝ったけどどうしたんだ?」

「悪いんだけど、話をするならメンテブースでしたいんだが」

「??分かった」


 という事で、だん吉とヴァルトラウテを引き連れてメンテブースに移動する。

 当然、回りにひまわりが居ない事を確認し、素早く移動した。




「ふう、大丈夫か……」

「どうしたんだ?タケル?」

「タケルはひまわりにつけ回されてそうで怖がってるんだ」

「何だ?そのひまわりってのは?」

「3回戦でタケルが対戦した相手だよ。勝ったんだけどな……いわく付きのプレーヤーなんだよ」

「アレの恐怖は会って絡まれてみないと分からないんだよ」


 あの視覚的な恐怖は普通にアーマードギアと対戦しているより怖いんだ。

 LGBTがどうのというもんじゃない。視覚の暴力だ……


「まぁ、いい。で、ヴァルトラウテは何か用があったのか?」

「特には無いけど、もらったあの大剣の調子が良くて順当に勝ち進んでるから礼を言っておこうかと」

「でも俺に当たると無効になるぞ?あの大剣で斬れないヒートソードとシールドバインダーがあるんだから」

「おい、タケル。もらった大剣とかどういうことだ?敵陣営のプレーヤーだろ?」


 だん吉には言ってなかったか?

 マッカーサーの方にはブツと一緒に話したが、言った事がなかったな。


「それは会わなかったからじゃないか?最近会った時にはもう話してたと思ってたが」

「それだけか?エッダの方に鞍替えするつもりじゃないだろうな?」

「そんなつもりはないが。エッダの上位プレーヤーにもそう言っておいたが」

「なぁ、タケルがエッダに鞍替えすると問題があるのか?」

「ないが……さみしいだろ。付き合いが長い奴がいなくなるんだぞ」

「そ、そうだな。悪かった」


 そうなのか。悪かったな、だん吉。そんな風に思っているとは思わなかったよ。

 仕方ないからだん吉にも説明しておくか。


「前に大渓谷に落ちただろ?あの時にコンテナに入った遺物を手に入れたんだ。

 その中の大剣を使わないからヴァルトラウテにやったんだよ。心配してくれてたみたいだし、その他怒らせてたらしいからその詫びにな」

「それがあの大剣か……羨ましすぎる。俺も何か欲しい」

「う~~ん、何かあったか?」


 ビーム兵器も大量にあるけど、ジェネレーター出力が足りないだろうから使いないし。

 盾でもやるか?


「盾があるが使うか?一応ピアレイの大剣を受け止められるぞ。

 後、盾から剣が出るぞ」

「それでいい、くれ」

「今度渡すよ。でも、今回の大会には使えないだろ?」

「それはまあいいさ。どのみち使い慣れてないしな」


 フレバーテキストには「水の盾」とか記載されていた。超高圧の水を射出して斬れるとも記述がある。どうやって出すのかは知らない。

 手に入れたパーツの中にファンタジーなパーツ名なのが結構ある。

 使い方がよく分からないけどな。


「タケル、あたしの大剣の優位性が落ちるんだけど」

「別に対戦しなければいいんだし、そのパーツ以外は普通なんだからそこを狙えるだけの腕を身に付ければいいだろ」

「うっ、正論を言われても」


 前から言ってるように、パーツだけで勝てると思うなよ。

 パーツの性能が劣っていても勝てるようにならなきゃダメだろ。

 だから俺ごときにも勝てないんだ。


「それにしても、ここがタケルのメンテブースか。これがメンテの済んだクサナギか」

「クサナギ<改>だ。この後も改良するつもりだけどな。

 中盤はもう一段階強化する予定だ」

「まだ強化するつもりなのか?」

「目標がファントムだからな。あの機体に追いつきたいし勝ちたい」


 そのファントム自体を持っているから追いつくのは簡単だ。

 でも、勝つとなると難しい。新しいパーツもあまりぱっとしないから。

 資金は宇宙戦艦を手に入れていくらでも使えるだけのコインがあるけど、パーツにいいのがなければ意味がない。

 バランスを崩したくないというのもあるが。




 そのまましばらく、だん吉とヴァルトラウテと今後の機体構成の話をしていたら時間がきた。

 序盤の最後の対戦が始まる。


「じゃあ、行ってくる」

「頑張れよ」

「負けるなよ。お前を倒すのはあたしなんだから」

「まぁ、善処するよ」


 <<<Battle Start>>>


 今回もステージは市街地だ。建物が障害物になる所は鬱陶しい。

 見通しのいいステージの方がやりやすいのだが。

 とはいえ、そんな事を言ってても始まらない。先ずはパッシブスキャンしながらホバーリングで移動し、建物のある場所をしらみ潰しに探る。


 当然すぐには見つからない。レーダーにも反応はない。建物の間の通りにはいない。

 探索範囲を広げるか。


 対戦相手の機体 ディルファーは射撃も格闘もこなすオールラウンダー。

 中堅クラスにはまだ届いていないが、それなりに強いらしい。

 リプレイを確認したが、堅実な攻め方をし勝っている。アサルトライフルで牽制し追い詰めて、ヒートソードで仕留めるといった流れだ。

 普通すぎる戦闘で、戦闘時間が長い。何か縛りを決めているのかもしれない。


 次は隣の地区を探索することにする。

 各地区は東西南北に配置され、その間を北東から南西に、北西から南東に伸びる100m近い幅の道路で区切られている。

 中央には大きな公園があり、外周が環状道路になり、各地区を区切る道路と繋がっている。


 隣の地区に移動するため、クサナギに道路を渡らせる。

 道路中央辺りでいきなりシールドバインダーが動く。


  カンッ カンッ


 何かがシールドバインダーに当たった。スナイプしてきた銃弾だろう。

 すぐさま隣の地区に入り込む。

 射線から対角の地区の端の建物からスナイプてきたようだ。

 隠れたこちらに向かって数発撃ってから静かになった。

 たぶん別の所に移動したのだろう。


 こっちもスナイパーライフルに切り替える。

 さて、どうするか……

 このまま別の地区を渡り歩きながら相手が手を出してくるのを待つか、こちらからおびき寄せるか……

 お追いかけっこは時間がかかりすぎる。

 見通しのいいところで相手からのスナイプを待つか。度胸のいる作戦だ。


 中央公園の所に移動し周囲を見渡す。どこからでもスナイプ出来るだろう。

 こちらはアクティブスキャンに切り替え常時警戒し、スナイプの瞬間を待つ……


  バシュッ カンッ  バシュッ カンッ


 撃ってきた射線を元に確認した敵機に向け、こちらもスナイプ。


  バシュッ バシュッ


 当たるという確信はないが、少なくともこちらが狙っている事を分からせる。

 そのまま、十数度か撃ち合いをするが、こちらの銃弾が何発か当たったようだ。相手の残弾がどれだけあるかは知らないが、このまま撃ち合い持久戦に持ち込む。

 こちらとしてはある程度自動でシールドバインダーが防御してくれるが、神経がすり減るような撃ち合いだ。向こうのプレーヤーはいつまで保つ?

 ディルファーが移動している間、こちらは休憩出来るだけ楽だ。


 その後も、ディルファーが移動しながら二十数度は撃ち合う。

 これだけスナイプされていればかなりの確率で弾道が見切れるようになった。シールドバインダーで受けなくてもクサナギを少し動かすだけで回避出来た。

 逆にこちらのスナイプは精度が上がり命中する確率が高くなり、敵機にはかなりいいダメージが付いたようだ。

 その上、残弾が尽きたようでとうとう撃って来なくなった。


『そろそろ、来るか?』

『ははははは、やってくれたね。やってくれたね?』

『ああ、そうとも。スナイプ合戦は俺の勝ちだな』

『それがどうした。あたしはスナイプ専門じゃないだよ?』

『俺もそうだが?じゃあ、続きといこうか』


 向かいの建物の上に何故か仁王立ちディルファーがいた。

 しかも雰囲気が偉そうだった。まあ、いいけど。


 こちらはほぼノーダメージだから最大加速のホバーリングで一気にディルファーとの距離を詰める。

 こちらのスナイパーライフルはまだ残弾があるから、接近する間にディルファー撃ち込む。ほとんど当たりはしなかったが牽制にはなっただろうか。


 ディルファーが建物から飛び降り、こちらに向かってくる。

 こちらもスナイパーライフルからヒートソードに持ち替えて突っ込んでいく。

 お互いの中央辺りでお互いのヒートソードを叩きつけた。


  ガキッ ガキッ ガキッ ガキッ


 何度も何度も叩きつけ合った。

 しかし、ダメージを受けているディルファーはフルパワーが出せず、こちらの剣戟に押し込まれていた。


『お前、手加減してるよな?してるよな?』

『ああ、手加減してるぞ。まだ序盤だからな。本気で潰し合うような戦いは出来ねぇよ』

『くっそー、中堅プレーヤーだからって、中堅プレーヤーだからって、なんだってんだぁ!』

『ははははは』


 ヒートソードの剣戟でディルファーを押し込んでいるが、更に追撃の手を休めない。

 シールドバインダーのパイルバンカーの打撃を追加した。


  ガキッ ドガッ ガキッ ドガッ


 パイルバンカーまで対処出来ず、両肩部、頭部、胴体、上半身の至る所にパイルバンカーが突き刺さった。

 まだかろうじて動きはするがディルファーはもう満身創痍だった。


『くそっ、くそっ、くそっ、くそっ』


 更にもう一つのパイルバンカーも動員して徹底的に潰す。

 ファントムから移植したパイルバンカーは強力だった……

 すでに満身創痍だった肩部や頭部が一撃で吹き飛んだ。胴体もかなり抉り取られ、もうまともに動かなくなっていた。


『…………』


 <<<Battle End>>>


 ディルファーが完全に沈黙し膝をついて倒れた。


 よしっ、勝った。

 これで序盤戦は大きなダメージもなくクリア出来た。

 対戦相手がまだ一般プレーヤーだったからほとんど苦も無く勝てたが、中堅プレーヤーに当たってたらもっとダメージを食らっていたかもしれない。


 まだまだこれから先が長いが、どこまで行けるかな。

 機体の構成の方ももう少し変更して、次の中盤戦に臨む予定だ。




「お疲れ、今日もほぼ楽勝だったな?」

「ああ、なんとかな。運も良かったよ」

「シールドバインダーは結構いいな?手数も増えて」

「あたしもパイルバンカー対策を練らないと。前にもやられたからな」

「頑張れよ。次も同じとは限らんが」

「くっそー、負けねぇからな!」


 そう言ってヴァルトラウテがメンテブースから走って出て行った。

 ヴァルトラウテが頑張って強くなってくれると面白いんだがな。

 期待している。


「タケル、次の中盤戦は当たるかもしれねぇが、負けねぇからな」

「ああ、俺も負けるつもりはねぇよ。

 話した盾は今度渡すから待っててくれな」

「ああ、楽しみにしてる」


 これで競技大会も先ずは一段落。

 しばし休息してまた再開だ。厳しくなってくるから気を引き締めないと。


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