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TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


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第031話-5 競技大会 5回戦目

 4回戦もクリアし、今日は5回戦目だ。

 昨日のうちにクサナギ<改>のメンテは終わってる。4回戦もダメージは受けていない。対戦相手の大護は一切攻撃していないからだ。

 心を折ってから攻撃するつもりだったのだろうが、こちらにはまだ攻撃する手があったから折れなかった。それだけだが。

 ただ、パイルバンカーがなくてもたぶん心は折れなかったはずだがな。

 大護はもっと攻撃をしてもよかったはずだが、建物が邪魔だったし、こちらがずっと動き回ってたからか攻撃してこなかった。射撃が下手なのかもしれない。一芸を極めるのもいいが、1対1ではダメだろう。

 慣れたソロとチームの戦い方の違いが結果に出たというところか。



 ラウンジに来てみたがアレはいないようだ。しかし、油断は出来ない。どこに潜んでいるか分からない。


「よう、タケル。今日5回戦か?」

「うわぁ!ん?マッカーサーか。脅かすな」

「いや、脅かしてないが。どうしたんだ?」


 アレではなかった……助かった。マッカーサーでよかったよ。

 どんだけビビってんだ?俺は。


「『ひまわり』ってプレーヤー知ってるか?」

「げっ!アレか?アレがどうした?」

「3回戦で戦って勝ったんだが、気に入られたかもしれない……」

「げげっ!?マジか。粘着質とかいう怖い話を聞いてるんだが」

「だから、怖いんだよ。逃げてるんだよ」


 今ここで見つかりたくない。

 早く移動しよう。


「タケル!今日も大会?」

「ビクッ!わあぁぁぁ」

「タケル、落ち着け!アレじゃない。落ち着け!」


 俺は情けなくもオロオロしていた。誰だ?

 後ろを振り返ると……静御前がいた。はあぁぁぁ〜


「脅かすな。心臓が止まるだろ」

「いや、ないだろ、それは」

「??どうしたの、タケル」

「ここは危険だから移動するぞ!」


 俺はマッカーサー、静御前を連れて自分のメンテブースに移動した。

 これでアレは入ってこない。


「なんか用か?静御前」

「ん?特にないけど居たから声をかけただけだけど?」

「はぁぁぁ」

「タケル、ご愁傷様」

「タケル、どうしたの?」

「この間のアレに会いたくないから隠れてるんだ!」

「ああ~。でも、ここがタケルのメンテブース?クサナギがちゃんとメンテされてるね?」


 仕方が無いとはいえ、ここに他人を入れる事になってしまった。

 今まで誰もここに入れた事が無かったのに……

 見せたくないものは今の所置いてなかったよな?


「そりゃあそうだろ。これから5回戦でハースティってのと戦うんだから万全に整備しておかなきゃダメだろ。

 この間のアリスティアはひどかったよな?その前にやられてたとはいえ」

「確かになぁ。あれはもう負け決定な状態だろ?」

「う~~、1回戦であんなにやられてなかったらもうちょっと行けたのに」

「「1回戦目からやられないように気をつけるんだよ!」」

「へ?だって戦ったらやられるでしょ?」

「ダメージを最小限にするように戦うんだよ。お前みたいに突っ込んで行ってダメージ食らってたら次の対戦に勝てない。

 余程資金力があって修理が出来るとか、2機目のパーツがあるような金持ちのノービスなら別だけどな」

「うんうん。だからノービスは金のある奴が優勝する事が多いよな。ダメージの受けにくいパーツを使って修理にも金使えて……」


 まぁ、金ばっかり使って勝ってるから、次の一般の大会ではあまり勝ち進めない。タルタロスのテュポーン以外。

 あのプレーヤーは金も使うけど戦闘テクも凄かった。ノービスでは完全に別格だったな。


「はぁぁぁ、そうだったんだ。まだノービスの大会には出れるから次はそうする」

「ちゃんとチュートリアルをしっかりこなしとけよ。基本だからな?」

「うん」



 そうこうしてるとヴァルトラウテの対戦が始まったのでそちらに注目する。

 こちらの5回戦目も森林地帯なので参考にしたい。


「「んん~、すげぇなぁ。参考にならん」」

「え?勝ってますよね?」

「あの大剣ありきの戦闘で、木を斬り倒しながらの移動がどれだけ参考になる?なぁ、マッカーサー」

「やってる事はヤバイよな?でもアレをマネできるプレーヤーってどれだけ居るよ?」

「俺も今の装備だと無理だな。ファントムで大型ビームサーベル使うなら同じ事が出来るけど」

「そんな事やってるんですか?」

「自分のヒートソードでいくらでも斬れると思うなよ?細い木なら斬れるが太くなればあんなにスパッと斬れないからな?」


 通常のヒートソードでもかなりの高温になり金属を溶かしつつ斬る事が出来るけど、それも厚みによりけり。厚ければすっぱり斬れる事はない。

 ヴァルトラウテにあげた炎の大剣は、通常のヒートソードより更にかなり高温になっているから斬れるだけ。

 クサナギ<改>の超高硬度ヒートソードにしても切れ味は良くなっているけど、温度は通常通り。刃物の切れ味としては斬れる可能性はあるけど、太い木まで斬れるとは言い切れない。


 そんな感じで、また木という障害物を斬り捨てながら対戦相手に肉迫。後はいつも通り、ヒートソードの一閃で終了だった。

 マジに参考にならない。


「さて、そろそろ俺の番だ。行ってくるよ」

「ああ、頑張ってな?」


 俺はクサナギ<改>に乗り込み、スタート時間を待つ。



「タケルはなんでヴァルトラウテをチェックしてるんですか?」

「ヴァルトラウテはタケルが育てたプレーヤーだったからな。自立できるまで育てたつもりで手放したんだと。

 タケルは元々ソロでしかやるつもりがなかったのに、ヴァルトラウテが同じチームでやれると思ってたから逆恨みして、それを利用して対戦相手に育ててるらしい。

 面倒だよな?」

「ヴァルトラウテはタケルが好きなんでしょうか?」

「さあ?聞いてないから知らない。でも、そうかもな。『可愛さ余って憎さが百倍』ってやつ?」

「……」


 <<<Battle Start>>>


 今回は森林地帯だ。ヴァルトラウテの対戦を見ていたが参考にならない。

 一応木を斬ってみるか。


  ガッ


 太い木は斬りきれなかった。切れ味のいい超高硬度ヒートソードでもダメだった。

 剣の達人というわけではないから太刀筋的に上手く斬れないんだろう。

 という事でホバーリングで迷路のような森林地帯を移動し対戦相手のハースティに接近するしかない。相手も同じだろう。


 パッシブスキャンで相手の位置を確認しながら、森林の中を走っていく。

 高低差や木々の大きさも違うため、場所によっては機体が隠せる。何かしらの電波を出さなければこちらは気付けない。

 しばらく走っているが捕捉できない。どこかに潜伏しているのだろう。


 さて、どのタイミングで仕掛けるか。

 なるべく敵機の近くで仕掛けたいところだが……

 どこだ?どこに隠れてる?


 とにかく走り回った。アサルトライフルを斉射しながら走り回った。

 クサナギの場所は分かってるはずだ。

 射撃すらしてこないのはなぜだ?

 格闘戦重視の設定できてるのか?


 それらしい所にはアサルトライフルを打ち込んできたが見つからない。

 仕方ない、やるか。


 アクティブスキャンを最大出力で発振させる!


 反応は?どこだ?

 ……あった…………へ?すぐ右横?

 右横を見ると縮こまった状態で座り込んでるハースティがいた。

 なんでこんな所に?


 俺はその場を通り過ぎようとした時、すぐさま脚部のピックを地面に突き刺し180度向きを変えた。

 ぐぅ、Gがきつい。

 向きを変え戻り始めたところから、アサルトライフルを座り込んでるハースティに向け撃ち込む。

 何発か銃弾が当たりダメージを与えた。


 しかし、何故こんなのが5回戦まで勝ち上がれた?


 そのまま連射しながら敵機に接近する。ヒートソードを取り出し、勢いのまま斬り付ける。

 そのヒートソードをハースティはヒートソードで受けた。

 その状態のままで立ち上がり、こちらのヒートソードを弾いた。

 くっ、かなりパワーのある機体のようだ。


 一旦後ろに下がり体勢を整える。

 アサルトライフルは格納し、ヒートソードを両手で構えた。次の瞬間、相手がこちらの突っ込んでくる。

 俺は向こうの剣戟を受け止め、弾き、流し、攻めるタイミングを伺う。

 敵機は格闘戦で勝ち上がって来たようだ。パワーだけでなく太刀筋もきれいで、剣道か何かの経験者かもしれない。


 でも、これは純粋な剣術勝負じゃない。

 次に打ち込んできて鍔迫り合いになるタイミングを狙う。


  ガキッ


 お互いのヒートソードの刃で押し合い、どちらも引かない互角のパワー勝負。ハースティのプレーヤーはパワー勝負で勝てない事に驚いているようだ。これまでこの状態で押し勝っていたんだろう。

 さあ、ここからがこれまでになかった展開だ。


 両側のシールドバインダーを可動させ、相手の両肩部にパイルバンカーを撃ち込む。向こうもパワー勝負でヒートソードを押し付けていたため、気付いた時には遅かった。

 ハースティの両肩部をパイルバンカーが貫き、動作不能になった。当然力が入らないヒートソードは使い物にならない。

 相手のヒートソードを弾き飛ばし、一気に懐に突っ込み、コクピットへヒートソードを突き立てた……


 <<<Battle End>>>



 よしっ、勝った。

 今日はハースティを捕捉するのに時間はかかったが、実際の戦闘時間はそんなに長くない。

 ただ、向こうのヒートソードの太刀筋が綺麗で、あのくらいの技術があれば格闘戦ももうちょっと楽になるのかもしれない。

 まぁ、今頃言っても仕方のない話だ。


 メンテブースに戻るとまだ2人がいた。


「お疲れ〜。危なげない戦闘だったな。あんな時にシールドバインダーは便利だな、意表がつけて」

「タケル、お疲れ様でした。

 あの~、唐突ですがわたしの事も鍛えて下さい。お願いします」

「どうしたんだ?」

「ああ、ヴァルトラウテの事を教えたら鍛えてもらうんだってよ」

「俺は直接鍛えてやる事はない。やる事は指示してやるからそれをこなしていけ」

「分っかりました!」


 指導するだけなら、変に戦闘に絡まなくてこちらも手間がかからなくていい。

 適当な所まで鍛えて、後は自分で強くなればいい。


「さて、今日はもう落ちますか」


### 続く ###


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