第031話-4 競技大会 4回戦目
昨日はセイラとアリーシャといっぱいいっぱい楽しみ、脳内に2人の身体を焼き付けた……はず。大丈夫大丈夫……なはず。
とにかくアレに会わないうちにメンテブースへ逃げよう。早く。
向こうにだん吉やマッカーサーがいるけど、ここはさっさと行こう。
2人もこっちに気づいたが事情を知っているので、手を振って見送ってくれた。
こっちも手だけ振ってさっさと逃げ込んだ。
後ろの方から妙なダミ声が聞こえた気がするが気にしない気にしない。
逃げ込んだメンテブースでも対戦の状況は確認できる。
ノービスの静御前の対戦が現在行われている最中だ。
アリスティアは前の対戦でかなり機体が痛めつけられていたから、見た限り状態がひどいのはよく分かる。
その上、その機体で真っ向勝負で突っ込んでいくとか何も考えていない。やられに行っているようなもんだ。
実際パワーが乗っていないようで攻撃で威力がない……
こういう大会はいかにダメージを受けずに勝つかが重要なんだが、ノービスでこれだけダメージを受けてれば交換するパーツもなくて後がないだろう。
結局、すぐにやられて終わった。
またチュートリアルをやらせて、徹底的に基本を身に着けさせた方がいいだろう。これではいい性能のパーツを使ってもすぐに使い潰すだけだ。
さあ、そろそろ俺の出番だ。
<<<Battle Start>>>
クサナギ<改>が転送され戦闘エリアに出現した。
今回は市街地だ。建物が障害物になるからなかなか目視での確認が難しい。
こちらの位置がバレてもアクティブスキャンするか、パッシブスキャンで精度を落としても見つからないようにするかだが……
対戦相手の大護は大盾装備の重量級。チームの防衛的な前衛、タンク。デカい機体ながら動きも速いらしい。ただ、防衛体勢に入るとその移動性能は意味がなくなるが。
攻撃はチームを防衛しながらのため、支援射撃がメインだそうだ。
機体がデカい分ジェネレーター出力も高く、ビームは無理だが威力の高いキャノン砲を2門装備している。
どう攻めようかというところだが、先ずは見つけてからだ。
パッシブスキャンを続けながら、一旦市街地の外縁部へ向かう。そして外縁部を時計回りに移動しスキャンの反応を待つ。
半周も走った所で反応があった。1機だけ動いてが分かる。ただ、向こうはこちらを捕捉できていないのか動きは遅い。
「見つけた。見つからないように接近するか」
外縁部から内側に入っていき、大護に接近する。すぐには姿を見られないように離れた通りを移動する。ある程度近付いた時点で向こうにも捕捉されたはず。
そして、敵機が動き始めた。
ちょうど建物の向こうに大護がいるが、ビーム兵器があれば建物を貫通させて敵機を攻撃出来るんだが。
大護の周辺を回りながら接近し、機体を見通せる通りを横切る際は背後を向けていればアサルトライフルで射撃した。
タンク役の機体という事なのでこちらの攻撃は大して効いてはいないようだ。
相手も建物が邪魔でこちらを攻撃も出来ず思うように防御もできないので、狭い通りから中央公園のようなスペースのある市街地の中央の方へ向かうようだった。
こちらも何度も大護の周囲を回りながら攻撃をしてみたが、流石に効果が薄いので止める事にする。
やはり威力の大きいヒートソードやパイルバンカーで攻撃するしかない。
『効いてないか。じゃあ、格闘戦にするか』
そのまましばらく大護の周囲を周回しつつ、お互い市街地の中央に移動し格闘戦に移ることにする。
市街地中央は大きな公園となっていて、公園中央には噴水が水を噴き上げていた。
周辺は芝生の植わった部分と木々がまばらに植わった部分に分けられていた。木々が植わった部分もアーマードギアの移動が妨げられるほど密集し背の高いものではなく、低木が植えられているだけだった。
ここならお互い楽に戦闘できそうだ。
先ずはこちらから大護の回りを回しながらアサルトライフルの斉射で先制攻撃をする。
敵機は大盾でアサルトライフルの銃弾を受け止める。
このままだとさっきと同じにしかならない。一気に突っ込むか。
アサルトライフルを左に持ち替え、右手には超高硬度ヒートソードを持たせた。
防御はある程度シールドバインダーに任せ、自動対応させる。
周回しつつ相手の死角に入ったところで一気に敵機に接近させた。
ダダダダダッ ダダダダダッ
アサルトライフルで牽制しつつ、接近したところで超高硬度ヒートソードを振り下ろす。
当然、大護は大盾で受けた。流石に普段タンク役をしているだけに反応がいい。
ガギッ ガギッ ガギッ ガギッ
超高硬度ヒートソードだけに温度はともかく硬い。相手の大盾にかなりの傷が付いた。
それでも傷が付いただけで、相手にとってはそれほどのダメージもないだろう。
しばらくヒートソードで大盾を斬り付けながら、大護の足元へのアサルトライフルの連射を行う。
しかし、大盾に大護の機体が隠れるため、銃弾は盾に遮られてしまう。
まぁ、分かってはいたけど。
大護の方は全然焦っていないようなので、こちらが攻めきれず諦めるのを待っているようだ。このまま時間をかけてこちらの心を折ろうと思っているのだろう。
こちらとしてはまだ手が残っているけどな。
一旦後ろに下がり、大護の回りをアサルトライフルを斉射しながら移動し、こちらが手詰まりっぽい状況を演出してみる。
向こうから攻撃してくる事はないが、しばらく無駄に時間が流れる。
こちらが精神的に参ってきているように見えるといいのだが……
ぐるぐる回っているのもいい加減飽きてきたので仕掛ける。かなり油断しているはずだ。
今度は真正面から突っ込む。これも余裕がなくなったという演出になるか……
アサルトライフルでの牽制、超高硬度ヒートソードでの斬り付け、その上……ファントムから移植したシールドバインダーのパイルバンカーを大盾に撃ち込んだ。
『おおぅ??』
あれ?女の人の声だ。あんなゴツい機体なのに。
撃ち込んだパイルバンカーは大盾を貫通し、大護の左肩部に突き刺さった。
そのままシールドバインダーで振り回し、大護を投げ飛ばしてパイルバンカーから引き離した。
『ごあぁぁ?なんだそのパワーは?』
『どうかしたか?普通なんだが?』
投げ飛ばされ倒れ込んだ大護にクサナギを追撃させた。
覆いかぶさるように、更に左右のシールドバインダーからパイルバンカーを撃ち込む。
連打連打連打連打連打連打連打
大護の大盾に穴がどんどん開いていく……
そしてその奥、大護の機体にもパイルバンカーが打ち込まれていった。
『ぐぁぁぁ、どうなってるんだ。この大盾は金かけて超硬くしたんだぞ?』
『こっちのパイルバンカーの方が太くて硬いからな。更に加速させて貫いてるんだ』
『そんなぁぁ。大護が貫かれるなんて。あああぁぁぁ』
ついにはパイルバンカーが大護のコクピットを捉え、刺し貫いた。
……機体がピクンと動いて後、動きを止めた。
<<<Battle End>>>
よしっ、勝った。ちょっと手間はかかったけど。
大盾も思ったほど硬くなかった。パイルバンカーが貫通して良かった。
予備に大型ビームサーベルを装備ししていた方がいいか?
市街地の建物のせいで攻撃しにくかったくらいだが、これもダメージを受けるつもりだったらもっと早く終わらせられたんだがな。
大会のためにダメージを受けないように戦うと時間がかかってしまう。
序盤戦だからそういう戦い方がまだ出来るが、その先はダメージを気にした戦いは出来ないだろう。
とにかく1回戦でも長く戦って勝ち上がりたい。
4回戦も突破したし、このまま落るか?
ヴァルトラウテの対戦がこの後あるからメンテブースで見ていくか?
流石に今ラウンジで観戦するような危険は冒したくない。アレに会うと記憶が穢れる。
今日のヴァルトラウテは市街地ステージだ。前にも戦ったステージ。今は心配ない。別の方面でやりすぎないといいけどな。
と思っていたが、結局前のようにピアレイが建物を破壊し、建物を乗り越え、建物の上を跳躍し、対戦相手に襲いかかった。
相手からすると鬼にしか見えなかっただろう。そのままなすすべもなく大剣に蹂躙され、一方的に破壊されるだけだった。
ああ~、大会が終わったら確実にヤバい二つ名が定着するだろうな、女性プレーヤーなのに。
まあ、仕方がないな。
とりあえずヴァルトラウテが勝ったし、もう落ちよう。
### 続く ###
次回投稿は2024年9月9日になります。
以降は毎日の更新に戻ります。




