第031話-3 競技大会 3回戦目
今日は3回戦だ。といってもそれ程強い相手じゃない。
一般プレーヤーとしてはそれなりに強い方だが、中堅プレーヤーレベルと比べれば弱い。
事前にチェックしたところ、遠距離射撃が得意らしい。だが、それだけだ。
クサナギ<改>に当てられるか、当てたとしてダメージが付くかだが、どうだろうな。
一応右肩にキャノン砲を装備しているが、実弾だから着弾に時間がかかる。砲撃を確認してからでも避けられるだろう。
それなら威力があっても怖くはない。
対戦相手のチェックはここまででいいだろう。
まだ時間があるから昨日のノービス部門の対戦を確認する。静御前のアリスティアの対戦があったはずだ。
……対戦リプレイは見つかったが内容は酷かった。
本当にチュートリアルをきちんとやったのか?酷すぎる。
軽量級のアーマードギアなのに接近して格闘戦しまくるとか自殺行為。
相手にかなりダメージを与えた上でならともかく、最初から突っ込んでいくとかはないな。
それでもなんとか勝ったけど、1日でメンテしきれないだろ。
予備パーツもなさそうだし。
2回戦止まりだな。
時間があるからラウンジで他の対戦を見ている。
今日はまだヴァルトラウテの対戦はないようだ。
他も知らない奴は大したことはないプレーヤーばかりだった。
今の所序盤で大したダメージもなく勝てるだろう。
「タケル、今日も対戦か?」
「ああ、今日はサンフラワーとかって機体と対戦だ。
だん吉、そっちもこれからか?」
「いや、こっちは終わった。楽勝だぜ。
サンフラワー……ひまわりか。あいつは……面倒な奴に当たったな?」
「なんだ?強い奴なのか?」
「遠距離射撃が上手いのは確かなんだけど、それほど強くはない。
ただ、粘着質なんだよなぁ。それが面倒なんだ」
なんだ?その粘着質ってのは。
単純にしつこく狙うってだけなら、別に対戦相手としては普通に相手すればいいだけの話だが。
「なぁ、粘着質ってどういうことだ?」
「あまりしゃべりたくはないんだが……気に入られるとラウンジとかでいろいろとしつこく近寄ってくるんだよ。
何が気に入るかは分からないんだよなぁ。戦闘スタイルは普通なんだけどよ」
「気に入られたくないな……」
ソロでやってるからあんまりそういうのとは付き合いたくない。そうでなくても静御前はそれに近いのに。
まぁ、徹底的に攻めて墜とせばいいだろう。
ちょうどヴァルトラウテのピアレイが対戦中だ。今回も炎の大剣の性能を前面に出して快勝という感じだ。
今回は森林地帯で完全に隠れるほどの障害物はないが、動きにくくはある。
どのように攻めるのかも気になるところではあるが……前回と同じだった。
脚回りが強化されているようで、動きが良くなっているのを活かして森の中を走り回り、更には木々を飛び越え敵機に肉薄した。
後は……一刀両断。もう、鬼やオーガもかくやという感じだ。
「なぁ、タケル。ピアレイのプレーヤー、戦闘スタイルがヤバくない?」
「ああ、ヴァルトラウテか。あの大剣を持ってから性格が変わった感じはするな。鬼とかオーガみたいな方向に」
「『悪い子はいねかぁ?』とか言って追いかけてくる奴?」
「なまはげって奴か?それは鬼というより神さまらしいな。格好は鬼だけど」
「そうなのか?でも、子供からすると今のピアレイみたいだよな」
そんなだん吉との会話が回りに漏れていたのか、ピアレイは特に大会の間「大剣のオーガ」という二つ名を頂く事になった。
俺達の会話からそうなったのは俺も知らないので、こちらに文句を言われる事は無いとは思うが……
さて、俺の対戦の時間だ。サンフラワーとやり合ってくる。
<<<Battle Start>>>
降り立った戦闘エリアは荒野ステージだった。1回戦の時スナイプだけで完勝した時と同じだ。
とりあえず岩場の影に隠れ、パッシブスキャンで周囲の状況を確認する。
今の所敵機サンフラワーは確認出来ない。
サンフラワーは遠距離射撃を得意とするから広範囲を索敵できるはず。クサナギ<改>と同程度ならいいが、それ以上だとちょっと困る。
隠れる岩場を次々と換えながら索敵を続ける。一向に索敵に引っかからない。
うーーん、どうするか。
面倒くさい、自分を囮にするか。
荒野の大きく開けた所までホバーリングで移動。ど真ん中の一切隠れる所がない場所に陣取る。
精神集中して、アクティブスキャンをかける!
レーダー波をサンフラワーも受信したはずだ。こちらの位置は分かっただろう。
……こっちもなんとか相手の位置が分かった。
さて、撃ってくるか?
バシュッバシュッ
撃ってきたタイミングが分かり、タイミングを合わせて……避けた。
バシュッバシュッバシュッ
……回避……回避……回避
敵機からの射撃は全て避ける。そこからホバーリングで移動し始める。
まだ、サンフラワーの居る位置に向かいゆっくりと近付いていく……
相手の遠距離射撃を全て回避した。
サンフラワーもこちらの接近を確認し、スナイパーライフルで遠距離射撃を更に行い連射してくる。
ただ、向こうの射撃はこちらの胴体を狙った射撃は弾道が分かりやすいため、こちらはそれを最小限の動きで回避していった。
クサナギを徐々にスピードアップさせていく。
サンフラワーはこちらのスピードアップに気付き、こちらに射撃しながら逃げ始める。その射撃もこちらは全て回避した。
その様子を見たサンフラワーはこちらに向かってわめき始めた。
『なんで当たらないのかしら?これまでの相手には当たってたのに!』
と、野太い声で可愛い感じに喚き散らす。
「?」
機体名がサンフラワーで、プレーヤー名がひまわりとなってたから、ここまで野太い声のプレーヤーとは思わなかったんだが。
ただ、口調が可愛いとかどうなんだ?
ちょっとプレーヤーには会いたくないな。
考えるのは止めよう、さっさと済ませてしまえ。
一気にスピードを上げ、サンフラワーに向かう。
今度は蛇行しつつこちらもアサルトライフルの射撃を行いながら接近していく。
しかし、サンフラワーは自分の射撃が当たらない事に恐れ、更に逃げ始めた。
『いやぁ~、当たらな〜~い。来ないでぇぇ』
確かに接近したくなくなってきた……でも墜とさないと終わらない。
逃げていく先に牽制しつつ、こちらはトップスピードにまで加速させ一気に接近させる。
敵機はもう闇雲にスナイパーライフルを撃ち始め、こちらは回避しつつシールドバインダーで敵機の弾丸を受け止めた。
『近付いて来ないで、いやぁ~ん、怖いぃぃ』
流石にキモいからとっとと片付けよう。
一気にサンフラワーの懐に入り、コクピットに向けパイルバンカーを押し当て……撃ち込んだ……
<<<Battle End>>>
ふぅ〜、終わった。とりあえず勝った。
なんなんだ?あのプレーヤー。喋り方がキモい。
もう、会わないよな?
ラウンジに戻り精神を落ち着かせる。はぁ~。
座り込んでいると静御前が来た。まぁ、さっきのよりはいいか。
「タケル、3回戦も勝ったんですね」
「ああ、まだ負けはしないな」
「すごいですね。何回戦まで行けるんですか?」
「さあな、10回戦位は前回行ったからな。まだ行ける……はず」
と、静御前と当たり障りない話をしていると、俺に影が落ちてきた。
??誰だ??
顔を前に向けると日焼けしたガチムチの大男がいた。ただ、フリフリのフリル過多の魔法少女っぽい格好をしたのが。
「??静御前の知り合いか?」
「はぁぁ?こんな知り合いなんかいませんよ。タケルの知り合いでしょ?」
「いや、知らん」
「あらん、さっき一緒に楽しんだ仲じゃないですかぁ」
「タケル、男とお楽しみだったんですか?」
「そんな事するかぁぁ」
誰だ?今までにこんな知り合いはいない。ちゃんと性別のはっきりした奴しか。
しかし……まさかって奴か?
「ひまわりよぉ。さっき、お楽しみだったじゃない。あたしが押し倒されてやられちゃったのよぉ」
「そんな事してねぇよ。パイルバンカーで串刺しにしただけだぁ」
「あなたの太くて大きい杭をあたしの大事な所に突っ込んだのよぉ」
「タケル、そんな事したの?」
「コクピットだぁ」
嫌だ、もう帰る。気持ち悪い、我慢出来ない。
さっさと落ちよう。
「静御前、悪いが先に墜ちる……じゃあな」
「どこいくのぉ、待ってぇ」
### 続く ###
次回投稿は2024年9月5日になります。




