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TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


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第029話-10 夏休み 最終日

 7日目。今日は朝の収穫だけ手伝って家に帰る。


 父さんも手伝っているが、酒が抜けてない上に眠そうだ。

 夕食後にいつものように父さんが酒の肴を造り、穏やかにじいちゃんと話をしながら持って来た良いお酒で酒盛りをしてた。

 いつまで呑んでたのか知らないけど、実際仲がいいんだよな。




父さんSide

 昨日の夜、いつものように酒の肴を作って、お義父さんと呑んでいる。

 嫌われていないというか、仲良くしてもらってるけどどうしても妻を泣かせた事に引け目を感じてる。

 もういいとは言われるけど。


「ムサシくん、ヤマトの進路は聞いてるか?」

「いえ、何も言わないので。セイラちゃんとアリーシャさんと結婚するから不真面目な事はしないとは思いますけど」

「……俺の跡を継いで農業をするって言ってるけどどう思う?自分の跡を継いで欲しいとか思わないか?」

「ヤマトがそう思ってるなら反対しないですよ。料理人になって欲しくて調理スキルを教えたわけではないですから。

 僕の跡を継いでくれると嬉しいとは思いますけど、同じようにあっちに行ったりこっちに行ったりして家に居なくてセイラちゃん達2人や子供に寂しい思いをさせるよりはいいと思いますよ」


 ヤマトに対して引け目があるとしたら、家に居て遊んだりしてあげられなかった事だ。

 運良く隣にセイラちゃんが越して来て、寂しい思いをしなかったから良かったけど、自分も親が忙しく寂しく思ってたのに子供にも同じ思いをさせるのはダメだろ。

 農家なら家に居られるし、大変だけど悪い仕事ではない。いい食材を作ってくれると嬉しいと思うよ。


「それならいいが……

 こっちもちょうどその調理スキルも活かせる案件で相談が来てるから都合がいいというのもある。

 新しい作物を作って調理法とかと合わせて売っていきたいって、協力してる会社経営の農場から相談を受けてるんだよ。

 作物を作るのは俺たちの方でどうにか作れるようにするつもりだが、調理法となるとな……」

「そういうことですか。なら、なおさらいいんじゃないですか?

 お義父さんがいいと思うなら、ヤマトをモノになるように鍛えてもらえれば」

「そうか。明後日夜に寄り合いにそこの会社の人が来るから話を聞いてみるか?」

「はい」


 どういう事をするのか一応しっかり聞いてみるか。

 農業自体はお義父さんが教育してくれるなら大丈夫だし、ヤマトもやる気があるなら大丈夫だろう。




ヤマトSide

 朝の収穫も終わり、手が空いていたから水撒きもほとんど朝の内に済んでしまった。

 出荷準備も、セイラやアリーシャが手伝っていたので早く済んだ。

 今日やることは大半済んでるから、じいちゃんもゆっくり父さん達と話ができるだろう。俺達は午前中に帰るけど。


 片付けも終わって家に戻ると、母さんがばあちゃんと一緒に朝食を作っていた。母さんの朝食自体あまり食べた事がない。家だとトーストとサラダくらいだしな。

 普通に焼き魚と味噌汁だけど、母さんの料理かと思うと嬉しい。

 俺が嬉しそうな顔をしていると、2人は母さんの方へ行って作り方を聞いていた。作ってくれるのか?それはそれで楽しみだ。


 父さんとじいちゃんも戻ってきて朝食にする。


「セイラ、アリーシャ、食べたら帰る準備するからな」

「えぇ~、もう帰るの?」

「まだ居たい」

「夏休みは明日で終わりなんだから。明後日からまた学校だぞ」


 楽しかったんだと思うけど、もうタイムアウトだ。

 今日帰らないとダメだろ。明日はゆっくりしたいし、3人で。

 明後日には学校に行かないと、またある事ない事変な話が学校で流れちまう。

 それにE.G.G.の競技大会の調整もしないと。


「ヤマト、いいじゃない。少々休んだって。2人とも成績は悪くないんでしょ?」

「母さん……母さんは父さんの所に家出して学校行かなかったのかもしれないけど、2人は家出してきてるわけじゃないんだからな。

 両隣に両親も住んでるんだし、学校に行かさなきゃダメだろ」

「グサッ……ヤマトが正論でいじめる」

「俺は2人の両親に謝らなきゃいけないことはしたくないからな」

「……ヤマト、あなただって散々2人とやることやってるんだから、いつ2人の両親に謝ることになってもおかしくないのよ!」

「その辺は事前了承を取ってるよ!抜かりはない」

「まったく、この子は……」


 母さんの引き留め交渉をなんとか躱して、2人に帰る準備をさせる。

 それでもここが楽しくて居たいと言ってくれているのなら嬉しい。近い将来ここに移り住む予定なんだから。


 帰る準備も整えてモビリティの手配を終えて、居間でくつろいでいるとじいちゃんが確認したい事があるって。


「ヤマト、卒業後にこっちに越してきた時に、母屋に住むか?離れの方に住むか?どっちにする?」

「何で?まだ先だろ?離れで十分だと思うけど」

「離れはネットワークが準備できてないし、3人で生活するには狭いだろ?

 母屋もネットワークの強化も必要だし、キッチンなんかは良くした方がいいだろ?

 どちらかを増築や改築するぞ?」

「う~~ん、家主なんだからじいちゃんが母屋の方がいいんじゃないの?」

「いずれお前に譲るんだから、早く母屋の方に住んでもいいだろ」


 確かにそうなんだけど。離れも改築や増築すればもっと住みやすいけど……

 今は回答できないかな。


「3人で相談するから、ちょっと待ってて」

「分かった。早めに連絡くれ。

 セイラちゃん、アリーシャちゃん、住みやすいようにするからいろいろ希望を言ってくれて構わないからな」

「「おじいちゃん、ありがとう。ヤマトと相談するよ」」


 ちょっと先の事だけどじいちゃん達もいろいろと考えてくれている。

 ちゃんと跡を継げるように頑張らないとな。


 その後は普通に雑談をしながら、モビリティの来る時間を待つ。

 セイラとアリーシャはちょっと寂しそうにしていたけど、しばらく我慢してもらうしかない。

 冬にまた大根や白菜の収穫をしに来るつもりだ。3ヶ月ちょっとすればまた来る。

 モビリティが来た。


「じいちゃん、ばあちゃん、冬にはまた大根とかの収穫に来るよ」

「「お世話になりました!」」

「セイラちゃん、アリーシャちゃん、また来てね。ヤマトを置いてきてもいいから」

「勝手に誘惑するな!」


 じいちゃん、ばあちゃん、父さん、母さんに見送られ地元に帰る。

 2人はじいちゃん達に気に入られたようだし、2人もじいちゃんのところが嫌だと言うこともなさそうで良かった。

 2人がじいちゃん達と仲良くなってくれた事を考えると、今日の夜は2人にいっぱい思いっきりサービスをしてあげないといけないな。俺の中の獣が目を覚ます……かもしれない。


 そして後2年もすれば……




父さんSide

 ヤマト達が帰った後、次の日の夜に農家さん達の寄り合いがあるということで参加させてもらった。

 ヤマトの将来の希望に合うのなら大賛成なわけだが……


 会場にはお義父さんとそう変わらない年齢の人が多く半分以上、残りが僕とそう変わらない年齢の人とヤマトより10歳くらいは上のかなり若手の人で半々くらいか。

 農家の作業従事者の年齢を下げるのは、良くはなっているけどまだまだなんだろうか。

 それでもうまくやってるようであるから、ヤマトが参入しても大丈夫だろう、多分。


 一応始まる前にヤマトの父親ということで紹介してもらったけど、若手の人達何人もに「息子さん、上手くやりましたね。あんな巨乳の美少女2人を嫁にするなんて」って言われた。

 ヤマト、どういう紹介してんだ。まぁ、特に嫌われて言われているというよりイジラレて可愛がられてる感じだからまだいいけど。

 これなら回りと馴染んでいけそうだな。


 それから今の懸案事項である近所の会社経営の農場との共同作業について話を始めた。

 作物の耕作については経験のあるこちらでノウハウを蓄積して、その後会社経営の農場の方で指導の元作ると。

 それが軌道に乗る前に、その作物での料理を作って販売出来るようにブラッシュアップしていくということだそうだ。

 調理の部分は僕としても面白そうだ。僕の方がいろんな作物に触れてる分良いものが出来ると思う。

 でも、ヤマトがステップアップするにはいいことだと思う。親としてはその方が嬉しいか。


「両国さん?」

「あれ、浅草さん?どうしてここに?」

「近所の農場はうちで経営してるんですよ。それでトップとして顔合わせに来たんです。

 両国さんの方は?」

「奥さんの両親がここで農業してるんですよ。さっき仕切ってた人がお義父さんなんです」

「それは凄い偶然ですね」


 浅草さんは手広く食品関係の会社を経営していて、時々仕事の依頼があるのでよく会っている。

 信用できる人なのでお義父さんやヤマトが関わる事について安心だ。


「2人共知り合いだったのか」

「お義父さん、仕事で何度もお世話になっている人ですよ」

「いえ、こちらの方が凄くお世話になってます」

「なら、今回の件はヤマトをメインに進めていくことで大丈夫かな?」

「ヤマトさん?」

「僕の息子です。お義父さんの後を継いで農業に従事することになったんです」

「まだ卒業していないので2年後の話だが、うちで1番調理スキルがあるから適任だと思う」


 確かにお義父さんからすると渡りに船だったけど、孫だからといって贔屓出来ない。

 でも、それだけのスキルは教え込んである。自慢の息子だ。


「両国さんとしては自分の跡を継いで欲しいんじゃあないんですか?」

「別に跡を継いでもらうために教えたわけじゃないんで。

 料理くらい出来た方がいいだろうというのと将来のお嫁さんの偏食を治すのに覚えたというところなんですよ」

「へぇ~、偏食をですか?治ったんですか?」

「半分ですかね。お義父さんの野菜だと食べれるんだそうです」

「それはなかなかですね。期待出来るかな?」

「そう思ってもらえるなら助かります。

 ヤマトを鍛えてあげて下さい。期待に応えてくれると思いますよ」


 お義父さんだけでなく浅草さんにもヤマトの事をお任せしようか。

 良い方に成長してくれるだろう。


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