第029話-9 夏休み 最終日直前
5日目はお祭りの片付けがある。
朝、収穫をみんなで済ませ、出荷を済ませた。
朝食後、しばらくしたらお祭りの片付けに出かける。じいちゃんと一緒に出かけた。
当然だけど昨日会った人達がいるわけで、2人を連れている所を見ているわけで……何を言われるか分からない。嫌だなぁ。
「よぉ、昨日はお楽しみだったか?」
「セクハラだと思いますよ?3人で一緒に仲良く寝ましたけど。疲れてたのですぐに寝ちゃいましたよ」
「若いのに体力不足かよ。もっと体力付けろよ。跡を継ぐんだろ?
それに2人を相手にするんだろ?」
「俺はちゃんと2人を満足させてますよ」
「ククク、そうかい。あんなに可愛い娘達なんだから可愛がってやれよ。
ってうちの嫁さんが言ってた」
くっそ、言わされた。
それから回りからもからかわれるように、いろいろ2人の事を聞かれたり言われたりした。
気のいい人達なんだろうけど、やっぱり人生の先輩だ。
搦め手でいろいろ言わされた。これで満足だろ。
いい時間になったからじいちゃん達に話を止められ、祭りの片付けを始めた。
今日もまた疲れて夜はよく眠れそうだ。2人に襲われるかもしれないけど。
高い櫓を慎重に解体していき、資材を指定された所に置いておく。
何も考えず解体するだけなので、組み立てた時より早く終わった。
他に所の片付けも手伝い、午前中には全部終わった。
1人とはいえ男手が増えた分皆楽が出来たと、俺に礼を言ってきた。
別にそれ程の事はしていないんだけど。
それだけでなく自分より下の奴が出来るのが嬉しいのかもしれない。
片付けも終わり最後にじいちゃんが挨拶をしてる時に、
「うちの孫は卒業したら俺の跡を継ぐことになった。何かあった時に相談に乗ってやってくれ。
後、そうなったらこの間の懸案事項は、こいつを中心にやる事になると思うからよろしく頼む」
と言ってきた。
なんだ?懸案事項って。俺を中心にやって良い事なのか?
そう思ってたら、特に若手の「よろしくな」「頼むぞ」って言ってくる。
こっちでの知り合いが増えるのはいい事だけど、まだ何が何やら分かってないんだよな。
まぁそんな祭りの片付けも終わり、じいちゃんより先に帰る。
じいちゃんは他のじいさん達とこのまま酒を飲むらしく、夕方には迎えに来てくれと言われた。
ここに住むようになれば、ここまでが夏祭りなんだなと思うことにした。
今日はこのあと昼食を取って、午後は水撒きをして畑や田んぼの見回りだけで終わった。
3人で見回った後川の方に行き、足を浸け涼んでいく。
「今日は夜になったら出かけるよ」
「「え?外でエッチするの?」」
「違うからな?それでもいいけど。
この時期は流星が多く見れる時期だから天体観測をするよ」
「「流れ星?」」
涼みながら流星、流星群の話をする。
ちょうど今公転軌道上に流星の材料である氷や岩石等の小天体があって、地球がそこに突っ込んでいる状態。
小天体が地球の引力に引き寄せられ、大気圏内にたくさん落ちてきて流星群になる。
と、昔セイラの父親マイケルさんに教わった。だからセイラも知ってるはずなんだけど。
ということで夜になったら観に行くことになった。
戻って一眠りして寝溜めしておく。でも、寝すぎると夜眠れなくて3人で励むことになりそうだ。
夕食は俺が作り、みんなが照り焼きチキンを満足して食べてくれた。
食後はお茶をして暗くなるのを待つ。
「ばあちゃん、暗くなったら出かけるね」
「なんだい、外でするつもりなのかい?止めときな、見られたらクセになるだろ?」
「そんな事しねぇし、そんな特殊性癖もねぇ」
「じゃあ何しに行くんだい?」
「流星群を見るんだよ。今時期なんだから」
「そんなのがあったね。昔じいさんとよく観たけど」
じいちゃんがそんな事をしてたのか。今からは考えられない。
エロジジイがそんなロマンチックなことをするとか……
「ばあちゃん、流星群観ながら外でじいちゃんとしたわけ?」
「……ノーコメント」
したのか。だからあんな事をいうのか。やっぱりエロジジイだな。
そうでなければ母さんが生まれないんだから仕方がないけど。
暗くなったのでセイラとアリーシャを伴って、流星群を見に出かける。
郊外で街灯も少ないからどこでもいいんだけど、川の方に行ってみるか。
河原着いて夜空を見上げる。
タイミングよく流星が観えた。
「おっ、観えた」
「「どこどこ?」」
上を指差すけどもう見えない。そんなもんだ。
しばらく眺めていたけどすぐにはまた流れてこない。
「おばあちゃんと何か話してたけど?」
「外でいたさないようにって。じいちゃん達は流星群観ながらいたしてたみたいだけどな。おおっ、また観えた」
「「観えた観えた。本当に?」」
「黙り込んだから本当なんじゃない?人に見られると癖になるらしいよ」
2人に顔が真っ赤になったみたいだ。あたふたしてるのが分かる。
更に流星が1つ落ちてきた。
ここらで次の流星に願掛けしておこうか。
「2人を幸せに出来ますように、2人を幸せに出来ますように、2人を幸せに出来ますよう~に」
「「え?私達はもう幸せだよ」」
「じゃあ、もっとだ」
そして、2人交互にいきなりキスをした。
セイラもアリーシャもとろんとした顔つきになって惚けていた。
まだまだ時間はあるから、痛いけど仰向けに寝転がり夜空を観る。
人口が激減する前よりは大気圏内の汚れは大きく減ったそうで、星が見やすくなったそうだ。
流星群以外にも夏の大三角形や天の川、その他1等星や2等星の星々が結構よく見える。
2人も同じように仰向けに寝転がってくっついて見始めた。
流星は1時間ほど夜空を見上げると15個くらい観えた。
天の川や大きく光る1等星の星が流星群の背景として美しく夜空を彩っていた。
2人と一緒に見るには素晴らしすぎる光景だった。
いい雰囲気のまま家に帰る。
じいちゃん達が帰ってくるのをスイカを切って待っていた。そういえばまだスイカを食べていなかった。
みんなでスイカを食べながら流星群の話をして、ゆっくりお風呂に入ってから寝た。
疲れていたから昨日と一緒ですぐに眠りに落ちた。今日は平和な1日だったけど、可愛がってあげられなくてごめん。
じいちゃんのところに来て6日目。明日はもう帰る。明後日から学校だし。
いつも通り朝食前に収穫をして選別後出荷。
もう、セイラもアリーシャも教えてもらった作物の収穫には慣れた。任せても問題は無い。
「セイラもアリーシャも大分収穫に慣れたな。まだ収穫の仕方を教えてない作物もあるけど、また来た時に教えるよ」
「大根の収穫をしてみたい」
「アリーシャもしてみたい」
「耕した畑で種蒔いて作るから、収穫するのは11月12月ぐらいだな。その頃にまた来るか?
白菜も作るって言ってたからそれも収穫できるぞ」
「「来たい」」
「寒くなって来てるから鍋がいいよな。また猪肉もらってきてもらってぼたん鍋にすると白菜が美味いだろ」
「「じゅる」」
朝食を食べながらそんな話をしていた。
じいちゃん達は「来るなら猪肉を準備しておいてやる」って。
そうしていると玄関の方から声がした。母さんの声みたいだけど。
玄関には父さんと母さんがいた。用事は終わったのか。
父さんが直立不動で緊張しているのが目に見えて分かる。初めて見るアリーシャも不思議そうに見ている。
いくら奥さんの実家とは言え、普通ならこんなに緊張がしないものだと思う。
そして突然……
「お義父さん、ご無沙汰しています。これ、つまらない物ですが」
「久しぶりだな。まぁ、入りなさい」
居間に入ると父さんが突然土下座をする。俺とセイラは慣れてるけど、アリーシャは引いていた。
「娘さんを傷物にした上に泣かせてしまい申し訳ありませんでした!」
「娘が許しているんだからもういいんだよ」
「いえ、僕の気が済みませんので」
「そうか……」
いつもの定例行事というか儀式とはいえ、父さんもそろそろ終わりにして欲しい。アリーシャも引いてるんだけど。
そりゃあまあ、好きで自分の所に家出してきて、やることやって妊娠させて、何やったか知らないけど泣かしたとなれば後悔して謝りたくなるけど……
そろそろ孫が出来るかもしれないんだから、いい加減終わりにした方がいいと思うよ。
「あなた、そろそろ終わりにした方がいいんじゃない?
私もお父さん達も許してるんだし、もうすぐ孫が出来るかもしれないんですし」
「でも……分かった。孫が出来たら止める」
「いやいや、孫ができる前にいい加減止めて、父さん」
ったく、何をしたらそこまで後悔するのかね、父さん。
もうけじめは付いてるでしょうに。
「ヤマト、お義父さんは何をしたの?」
「俺も聞いたことがないけど、『俺の子か?』とか言ったんじゃないの?」
「そうなら最低だよね」
向こうで父さんが「うっ」とか「グサッ」とか言ってダメージを受けたみたい。
そういうことを言ったのか?父さん。最低だな。
セイラが「大丈夫?」って心配していたが、立ち直れないようだ。
中断していた朝食を済ませてから農作業の続きを始める。
今日は丸1日ここにいる最後の日だからゆっくりしてろと言われたけど、切りの良いところまで済ませることにした。
セイラとアリーシャの2人は収穫を進めて、適当なところで水撒きをしている。
昼食と夕食は父さんが作る事になっているから何もすることが無い。
午後は3人で市街地の方へ土産とかをお買いに行って、カフェに寄ったりしてゆっくり過ごした。
### 続く ###




