第029話-1 夏休み じいちゃんの家に行く
さあ、今日から夏休みだ。
父さんも母さんは一緒に昨日から出かけている。
昨日はE.G.G.に行った後、3人でちょっと豪勢に手抜きバージョンだけどローストビーフを食べて、夜は2人を満足させるように頑張った。うん、頑張った。
いつもなら休みの日はかなり遅くまで起きないけど、今日はじいちゃんの家に行くから普通の時間に起きた。
今日はピザトーストとサラダに紅茶もしくはコーヒーという朝食で済ませ、出かけるためにセイラとアリーシャのメイクアップを念入りに行う。
いつも通りでも十分綺麗で可愛いんだからそんなに手をかけなくてもと思うんだけど、じいちゃん達にいい印象を持ってもらいたいというからと時間をかけて整える。
髪型や化粧は事前に希望が出されていて、それを元に調整を入れてメイクアップした。
うん、ばっちりだ。これなら誰も文句は言わないよ。
2人も満足しているようなので、これで出かける。
昨日の内に準備しておいたキャリーバッグを引っ張って出かける。
エアーモビリティのポートまで行き、定期便に乗って山地の方へ飛ぶ。
そこからモビリティでじいちゃんの家に行く。
結構遠いけどそんなに移動時間はかからない。
山地の方といっても山奥のポツリと一軒家ということはなく、昔からある程度開けている都市部の郊外に住み、田んぼや畑、果樹園を手広くやっている。
かなり広い土地で農作業をしているから、繁忙期はバイトを頼んだり農業体験イベントを開いたりしている。
俺も秋の稲刈りの時期には手伝いに行っている。小さい頃はセイラも来てたけど面倒だって言って来なくなったんだよな。
そんなじいちゃんの家に2時間かからずに到着した。
インターホンを鳴らして、
「じいちゃん、来たぞ」
じいちゃんが迎えに出てきた。後ろにはばあちゃんもいる。
「おお、よく来たな。もう昼だし早く中に入れ。
おっ?後ろの娘さん達は?」
「隣のセイラと反対隣に越してきたアリーシャだ」
「おお、セイラちゃんか。久しぶりだな、胸が大きくなって」
ビシッ
ばあちゃんがじいちゃんの脳天にチョップを入れていた。
「痛っ、もう一人の娘さんは初めてだな。こっちも胸が大きいな。
ヤマト、お前はおっぱい星人か?」
ビシッビシッ
またばあちゃんがじいちゃんの脳天にチョップを2連続で入れた。
流石にじいちゃんも堪えたらしく、頭を抱えてのたうち回っていた。
やっぱりばあちゃんの方が強い。
しかし、おっぱい星人ってなんだ?
「ヤマト、ジジイは放おっておいてお嬢さん達を中に入れてあげなさい」
「ああ、ばあちゃん。久しぶり。
セイラとアリーシャ、中には入ろう」
広い玄関に入って、家に上がる。荷物はとりあえず置いておいて、居間に移動した。
ばあちゃんが冷たい麦茶を出してくれて、それを飲んで一息つく。
セイラは何度か来ているから落ち着いているようだけど、アリーシャは緊張しているようだ。
「アリーシャちゃん、自分の家だと思ってくつろいでね。
うちのジジイが失礼なこと言っちゃったけど、ごめんね」
「いえ、胸が大きいのは知ってますし、ヤマトがそれを使って喜んでくれてるから特に気にしてないです」
「アリーシャ、凄い事を言ってるんだが大丈夫か?」
「へ?」
「あらあら、ごちそうさま。早くひ孫の顔が見れそうね。長生きしないとと思ってたけど」
「普通に長生きしてよ、ばあちゃん」
アリーシャもやっと自分が何を言ったか気がついたようで、顔を真っ赤にしていた。
その頃になってようやくじいちゃんが復活して居間に来た。
ここでちゃんと2人の事を言おう。
「じいちゃん、ばあちゃん。先に言っておきたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「俺はセイラとアリーシャの2人と結婚することに決めたから。
それを言って2人を紹介するために連れてきた」
「そうか。いいんじゃないか?2人嫁さんがいても」
「そうね。今は複数奥さんや旦那さんがいてもいい時代になってるしね。
ちゃんと挨拶に来てるだけうちの娘よりいいわよ」
じいちゃん、ばあちゃんにも認めてもらえたから良かった。
セイラはともかくアリーシャはようやく落ち着いた感じだ。
「じゃあお昼にしましょうか。そうめんだけど」
「そうめん?」
「日本の乾麺の1つだ。うどんは知ってると思うけどそれの1種かな。
小麦粉を使った麺で1mmくらいの太さで、乾燥させた保存が効く麺だ。
すぐに茹で上がるからか、夏によく冷やしたつゆにつけて食べる」
「ああ、昔のマンガとかで夏になるとたくさんもらうから毎日食べる事になったり、冷蔵庫に入れておいたつゆを麦茶と間違えたりするアレでしょ?」
「……そうだな。そのそうめんだ」
「アリーシャの知識は偏ってるよ」
昔はお中元とかいうのでそうめんを贈るのが定番だったり、つゆを冷やすのに麦茶を入れてる容器と同じ物を使ったり、という話で起きたことだよな。
昔のマンガやアニメでの「お約束」というやつだ。本当に知識が偏ってるな。
ショウガやミョウガ、大葉など薬味を刻み、鰹節や刻み海苔、わさびと一緒にテーブルに出した。
つゆは市販の鰹だしなどの粉末調味料の出汁に、醤油やみりん、砂糖などで作ったかえしをあわせて作ってる。多少手抜きだけど。
「わぁ、ほんとに細いんだ。よく切れないね?」
「作る時、大変なんだよ。延ばしてる時に切れたりするからな、何度かに分けて延ばしたりするんだよ。
手で引っ張って延ばしていく作り方もあるらしい」
「凄いんだね。機械で押し出して作るんじゃないんだ」
「春雨なんかはそういう作り方だな」
ばあちゃんが結構たくさん茹でてくれているから、薬味とかをいろいろ入れて味を少し変えながら食べていく。
セイラも俺に負けないぐらい食べていた。
アリーシャはばあちゃんといろいろ話ながら食べていたから、そこまでたくさん食べていないようだ。それでもばあちゃん達に慣れたようで緊張は解けていた。
「冷やし中華も美味しかったけど、そうめんも美味しいね」
「太さの違うひやむぎもあるから、そのうち食べよう」
「楽しみにしてる」
ヤマトSide
食後、麦茶を飲みつつばあちゃんはセイラとアリーシャと話をし、俺はじいちゃんと話をしていた。
「ヤマト、本当に2人とも嫁にもらうのか?」
「そうだけど?ダメか?」
「ダメじゃないが、あんなに可愛くて胸も大きくて……夜が大変だろ?」
「じいちゃん、あんまりエロいこと言うなよ。俺が恥ずかしいよ。
でもな、ちゃんと2人とはしてるから。満足させてるぞ」
「そうか、ならいい。頑張れよ」
ナニを頑張るんだか、エロじじいめ。
俺1人だけが頑張るんじゃないんだ。3人で頑張るんだよ。それでみんなで満足しているんだから。
「セイラちゃんは前に何度か来てたけど、あんなに大きくなるとはな」
「胸が……か?」
「それもあるが背も高くなったな。昔はこんなに小さかったのにな」
じいちゃんは座り込んだ状態で自分の頭くらいに手をかざして示した。
セイラの背がそのくらいの頃に来たのが最期だったかな。
いっぱい収穫してセイラにいっぱい食べさせてたけど、その分畑仕事も手伝わせたから来なくなった。
じいちゃんは本当の孫同然に可愛がってたはずなんだけど、嫌われちゃったんだよね。
アリーシャSide
おばあちゃんが私達にヤマトの事を聞きたいんだって。
セイラと一緒に出来るだけ答えるつもりだけど、どこまで答えられるかな?
「セイラちゃんとアリーシャはヤマトに可愛がってもらってる?」
「うん、いろいろとしてくれてるし、夜は……ねぇ、可愛がってくれてるよ。ね?アリーシャ」
「美味しいご飯を作ってくれるし、2人一緒に可愛がってくれてるもんね」
「そっちの方ではないんだけど、ちゃんといろいろしてくれてるのね。
ならいいわ。どちらかがいい加減になってたりしたら可愛そうだからね」
「そういうことはないから大丈夫。この間も3人でコテージに行って、近くで釣りしたり泳いだり、朝市見に行ったりしてくれたよ」
「サイクリングにも行って、綺麗な風景見に行ったよね」
ヤマトは優しいからいい加減なことはしないからね。
あれこれ気を使ってくれてるし。今の所言う事はないよ。
それにいいお父さんになってくれそうだし。
「2人共ヤマトがどういう仕事に就こうと思ってるか聞いてる?」
「「ううん、聞いてないです」」
「そっか、どうするんだろうね?」
「この間から調理実習の講師の手伝いしてるけど、楽しそうだったよ」
「合宿の時も下の子達に教えてたもんね。そういう方が合うのかも」
「そうなの?ヤマトの両親がいつも出かけてるでしょ?
だからヤマトには家にいられる仕事に就いて、子供と一緒にいられるといいと思うんだけどね」
そうだよね。ヤマトが不幸ということはないけど、小さい頃は寂しく思う事もあったかもね。
おばあちゃんからすると気になるんだろうな。
ヤマトは大事にされてるんだなぁ。
私達もヤマトは大事にしてるよ。だから、あんまり心配しないで。
### 続く ###




