第023話 両親の帰還
クサナギのメンテと構成変更も終えて1週間、時々ミッションをこなし調子の確認をした。
ファントムのジェネレーター出力は、今までのクサナギのジェネレーター出力の5倍はあった。そのせいでホバーリングや格闘戦の動きが違う。慣れるのに時間がかかった。
ファントムに装備されていたシールドバインダーのパイルバンカーもパワフルで、これまでのパイルバンカーの1.3倍の威力があった。その分反動があり攻撃後の体勢を整える時間が問題になる
これに対応できるようになるのにしばらくかかった。
そんなクサナギ改の調整作業はもう少しかかりそうだ。
でも、それよりはセイラとアリーシャの夕食を作る方が今は重要だ。
今日はもうE.G.G.より落ちて、美味しいものを作ろう。
2人が喜んでくれる料理を……
夕食は肉じゃがをメインにさっぱりとしたサイドメニューに味噌汁を付けた。
肉じゃがはセイラが好きだが、アリーシャも気に入っているのでちょくちょく作っている。
「ヤマト、肉じゃが美味しいよ。じゃがいもと玉ねぎ、人参、お肉でシチューみたいに美味しい和食があるなんて思わなかったよ」
「元々シチューを日本の食材で作ろうとして出来た料理だからな。
当時デミグラスソースなんか作れなくて、醤油やみりんなどで味付けして出来たのが肉じゃがだ」
「へぇ~、結局シチューは出来なくても、別の美味しい料理が出来るなんて凄いね」
「昔の日本人はセイラみたいに食いしん坊が多かったから、冷やし中華みたいに他所の国の料理をアレンジして新しい料理を作ってたんだよな」
「ヤマトも食いしん坊じゃん」
「まあな。だからセイラが満足してくれるように、いっぱい料理の勉強をしたんだからな」
いつものようにセイラとアリーシャと3人で食卓を囲み、家族の団欒と言っていい感じになっていた。
2人が美味しそうに食べてくれるのは嬉しい。
そうしていると玄関の鍵が開けられ、ドアを開けて入ってくる音がした。
「ただいま、元気にしてたかヤマト」
「おかえり、父さん、母さん。連絡がなかったけどメッセージくらい送ってよ」
「ごめんね、普段のヤマトの生活態度を見たかったから、抜き打ちで帰って来たのよ」
「おじさん、おばさん、久しぶり」
「セイラちゃん、久しぶりだね。……大きくなったね、胸が」
随分和んだ会話をしてるけど…………ヤバい。
食事はちゃんと自炊してるし、洗濯も掃除もちゃんとしてるけど……あの部屋を見られたらヤバい。
食事前まで3人でただれた生活をしていた証拠が残ってる。連絡してくれてれば綺麗に片付けたのに。
「父さん達、夕食はどうする?まだ残ってるけど」
「ありがとう、いただくよ。荷物を片付けたら。
それよりそちらの子は?友達か?」
ヤバいヤバいヤバいヤバい。
片付けられない。
「隣に引っ越してきたアリーシャだよ」
「はじめまして、アリーシャ・美瀬です。よろしくお願いします」
「礼儀正しい子ね。私達はヤマトの親なのよ。よろしくね」
「私はセイラと一緒にヤマトの彼女です」
「そうなの?うちのヤマトの彼女とか大変だと思うけど、ヤマトをよろしくね。
って、セイラちゃんと2人?」
いつの間にか父さんがいないんだけど、マジか?
逃げたいなぁ。
「ヤ・マ・ト・ォ、ちょっとこっちに来てくれ」
「何かなぁ?」
見られたな、やっぱり。片付けてないもんな。
アレを見ればナニをしてたか分かるだろ。親として説教するだろうな。
「これはなんだ?ちゃんと避妊してるのか?」
「ちゃんとピルを飲んでもらってるよ。それに2人の両親には数年後には結婚するって伝えて、了承してくれてるから」
「ピル飲ませて避妊とか、俺と同じ事してるのか……はあぁぁぁ。
それだって100%じゃないんだぞ。状況からすると1回や2回ってことはないだろ。出来たらどうするんだ」
「そうなればその時点で籍も入れるし、働きながら学校に行くよ」
「……俺もそうだったから強く言えない……」
それで出来たのが俺なのか?血は争えないってやつか。
説教されたけど、父さん自体が同じ事をしてるから説教になってない。
それでも親だから何かあった時は相談するようにと言ってくれた。
「しかし、2人もか……大丈夫なのか?学校で妬まれてるだろ?」
「セイラは今までもわりとべったりだったからみんな仕方がないと思ってくれてるけど、アリーシャの分は妬まれても文句を言ってくる奴はいないから。
どうにかなってるよ」
「ならいいがな。そうだ、後でベッドを入れ替えるぞ。3人で寝るにはお前のベッドは狭いだろ」
「助かるよ、父さん」
ダイニングに戻ると母さんが2人、特にアリーシャにいろいろ話していた。
聞いていると、いつまでおねしょをしていたとか、小さな犬に噛まれて泣いたとか、心霊映像を視て怖くて一緒に寝たとか。
料理がうまく出来なくて何度も何度も泣いてたとか、話されるとすごく恥ずかしいんだけど。
おねしょや心霊映像はよくある話で別にいいけど、今は料理が出来る人間が出来なかった頃の、しかも泣いてたとか言われると恥ずかしすぎる。
「ヤマトも可愛い時期があったんだね?」
「そりゃああるでしょ。いきなりこんなに大きく生まれるわけもないんだから」
「私が知り合った頃はもうだいぶこんな感じになってた。可愛い時期に会いたかった」
「後で写真を見せてあげるわね。いっぱいあるから」
「母さん、ほどほどにしてよ」
そう言っておいたけど、絶対に手加減無しであるだけ見せるんだろうな。
まあ、いいけど。
父さんが改まって俺達3人に話しかけてきた。
「ヤマト、セイラちゃん、アリーシャさん。私達は3人の結婚を反対はしない。どちらかといえば賛成するつもりだ。幸せになりなさい。
3人でしてる事もとやかく言うつもりはないけど、何かあれば必ず連絡しなさい。協力も援助もするから。
私達も学生の時に出来た口だから、どうこう言えないしな」
「セイラちゃん、アリーシャちゃん、ヤマトの事よろしくね」
「「はい」」
「2人は俺が幸せにする。学生のうちに出来ないようにはするけど、出来たらちゃんと相談する」
俺は両親にもセイラやアリーシャにも2人を幸せにすると宣言した。
幸せになるように努力する。
「覚悟は分かった。ちゃんとセイラちゃんとアリーシャさんを愛してあげなさい。
セイラちゃんもアリーシャさんも何かあれば言ってね。ヤマトに問題があれば直させるから」
「「ヤマトは優しいくていつも可愛がってくれるから、問題はないですよ」」
セイラとアリーシャがクネクネしながら言ってる。
俺の両親が認めてくれたのが嬉しかったんだろうか。
これで将来的な障害はないな。就職していずれ子供を作ろう。
大体の話が終わり夕食も食べ終わったから、ベッドの交換作業を始めた。
マットレスやシーツをどけて、取り外せるパーツを取り外して軽量化し移動させ、下に戻した。
ベッドが大きくなった分、俺の部屋が若干狭くなった。いろいろ荷物があるけど、ベッドまでの導線は確保してある。
これで両親を気にすることなく、俺の部屋でイチャつけるようになった。
この家は防音性能が高いから。
父さんの方もちょっと喜んでいたみたいだ。
「久しぶりに狭いベッドで母さんとイチャつけるよ」
って言われた。
父さん達もまだ若いからな。一緒にくっついていれば盛り上がるだろう。
俺に弟か妹が出来る方が早いかもしれない。
聞いたところでは、うちの両親は1ヶ月ほど休みを取って家にいる事にしたらしい。いつもいろんなところに行って仕事してたからな。
こっちでゆっくりと思ってたらしいけど、母さんはセイラとアリーシャが娘になるということでもっと構いたいって。
ただ、次の日はセイラとアリーシャの両親に時間を取ってもらって挨拶に行っていた。
セイラの両親とは元々仲良くしていたし、俺がセイラの面倒を見ている事もあって文句はなかったとか。それどころかマイケルさん達に頭を下げられこちらによろしくされたらしい。
アリーシャの両親とは初対面なのでいろいろ話し込んで来たようだった。アムロさんが俺を絶賛してたということで問題はなく、それどころか早く孫の顔見せてほしいとなったそうだ。いいのか?
どちらにしろしばらくは、セイラとアリーシャは夜以外母さんに取られそうだ。




