第022話 メンテナンス2
リアルではセイラとアリーシャと3人で釣りや川遊び、朝市を楽しんできた。2人とは更に関係を、そして愛を深めた。
今日は休みだけどちょっとE.G.G.にダイブし、クサナギのメンテをしようと思っている。
もうすぐ個々のプレーヤー同士が対戦する競技大会が始まる予定だ。
今回はクサナギをベースにファントムのパーツと交換していって、どこまでやれるかを確認したい。
宇宙戦艦を手に入れたおかげで資金にも困らないし、今回はいい所までいけると思う。
でも、機体だけで勝てるわけじゃないからなぁ。
個々のプレーヤー同士が対戦する競技大会……
プレーヤーの実力を見定める大会で、ランキングが決定する。
E.G.G.はお互いが戦闘し合うゲームではあるが、常時闘技場でランキング戦が行われているわけではない。
それぞれが野良試合をしたり、ミッションを攻略したりでポイントを稼ぎランキングが上下する。
それだと大きく変動しないので競技大会が行われている。個々で稼げるポイントは大きい。
名のあるプレーヤーや腕に覚えのあるプレーヤーが集結し長期間の大会が行われる。
大会では最大2機分のパーツを登録し、対戦ごとに登録しているパーツを組み合わせて出撃する。
1日毎の対戦のためメンテナンスやパーツの修理も可能だ。
ただし、登録しているパーツが全てが破損すれば使用できなくなり、修理が間に合わない場合も破損状態で使用する事になる。
基本、いかにパーツにダメージを受けずに戦えるかが問題になる。耐久性や装甲の強度の高いパーツを使用するのが有利だが、重量の問題もあるのでそれぞれの機体の特性に合わせた選択が必要になる。
「さて、どうするかな。登録パーツはクサナギとファントムのパーツを各1機分登録すればいいだろう。
組み合わせはどうするかなぁ」
ジェネレーター出力を考えるとファントムの胴体を使用するのが一番いいが、壊れると出力の低いクサナギのしかない。
もうその時点で勝ててもその先は勝てる見込みはないが。
今のところクサナギの左腕とシールドバインダーはそのまま残し、右腕を同型のシールドバインダーが取り付けられるタイプにして、ファントムのパイルバンカー付きシールドバインダーを取り付けよう。パイルバンカーの威力はそれほど変わらないと思うが。
大会では、脚部はまずはクサナギの物をそのまま使用して、上位に食い込めるようなら途中ファントムのと交換しよう。
バックパックはファントムのを、頭部はクサナギのを使う。
カラーリングは全部クサナギと全く同じ色にして、ファントムとは違うように見せかけるとしよう。
といっても、クサナギ自体がファントムを意識した同系統の色だからそれほど変わらない。
ただ、ファントムの形の詳細を知っているプレーヤーもほぼいないだろうから、現在販売されているファントム・リバイバルモデルと区別は付かないはず。
とにかくファントムを俺が手に入れたことはなるべく長い間隠しておきたい。
機体名もクサナギ<改>となる予定だ。
実際のメンテは現在いる公式が提供してくれているメンテブースではなく、宇宙戦艦内で行う予定だ。
そこの方が修理も速く、メンテも出力調整などここでやるより出力アップされ精度も高い。当然競技大会でもその分が有利になるだろう。
そのメンテだが、毎回大渓谷を降りるのは面倒だなと思っていたら、転送先のポータルに宇宙戦艦内が追加されていた。
宇宙戦艦を所有する事で自分のメンテブースからなら簡単に行けるのだ。
助かる。
競技大会の対策はこの程度で今のところいいだろう。
ただ、普段はどうしようか。
ファントムのジェネレーター出力があればビーム兵器が使える。手持ちのでもビーム兵器を使ってみたい。
宇宙戦艦にいっぱい転がってたしな。
ヴァルトラウテSide
最近になってようやくラウンジにタケルが現れるようになった。
大渓谷からやっと戻って来たのだろう。良かった。
まだ話はしていないし、礼も言っていない。
次の競技大会のパーツ構成や戦略を考えているんだろう。
あたしの方はどうするか。
大会に出たいところだけど盗賊団との戦闘で胴体をかなり破損した。
全損じゃないから直したけど、盗賊団討伐の報酬がかなり飛んだ。
流石に今回は参戦しないかもしれない。
「ヴァルトラウテだったか、あの後は大丈夫だったか?」
「ん?」
タケルの方から話しかけてきてくれた。
どういう風の吹き回しなんだろう?いつもなら声をかけてこないのに。
「ああ、なんとか盗賊団の討伐を終えて帰還は出来た。
ただ、胴体のダメージがでかくて討伐報酬がかなり飛んだ」
「無事なら良かった。
こっちはあれから大渓谷の谷底を駆け回っていたよ。なんとか無事に出られたが時間がかかった。
ただ、その分いいお宝が手に入ったけどな」
「ファントムか?」
「はぁ?あんなのが手に入るなら公表するだろ?
そんなんじゃない。討伐報酬で貰えなかった分を超えるくらいのパーツだ。
大したもんじゃない」
「そうなのか?」
見た限りでは平静を装おうとしている感じが見えなくはないが。
何か隠してはいるようだ。
でも、流石にファントムやエンプレスといった機体が手に入ったわけではないのだろう。
「ヴァルトラウテは次の大会出るのか?」
「どうするかな。胴体の修理で他のパーツの改修費用がほとんど残ってねぇよ」
「そうか。
……なら余ってる大剣があるが、使うか?俺の戦闘スタイルに合わないし、さっき言ったお宝で手に入れた代物だから使わないんだが」
「……いいのか?もらっても」
「使わないからな。それがあれば武器の分の資金を他のパーツに回せる事ができるだろ?
それにお前が大会に出ないとこっちも張り合いがないからな。
それにどうしてか分からんが、怒らせていたみたいだからな。その謝礼だと思ってくれ」
「それは…………分かった。もらっておくよ」
「今度渡すからな、待っててくれ」
怒らせた理由が分からんとかどうなんだ?
こっちが勝手に怒ってただけなのか?
でも、とにかく無事で良かった。
タケルSide
ヴァルトラウテも無事で良かった。
大剣を貰ってもらえる事になって助かる。こっちは使わないからな。
しかし、その大剣のフレーバーテキストがおかしいんだよな。
スペックは耐久性や攻撃力も結構いいんだが、『炎の大剣』という名称なんだよな。確かに使おうとすると炎が剣を覆うし、白いかなり高温炎なのに剣が溶けない。
しかも続きがあって、ファイアボールが撃てるとか。
ファンタジーRPGか?マジックポイントなんてこのゲームにはないから撃てるのか?
渡す約束しておいてなんだが大丈夫か?
「あ、タケルさんだ。お久しぶりです。見かけませんでしたけどどうしてたんですか?」
「ああ、ちょっとあってな。ラウンジに来れなかったんだ」
「競技大会について聞きたいことがあったんですけど」
「やめとけ。まだ1回戦目ですら戦えるレベルじゃない。機体を壊して路頭に迷うだけだ。
出るならノービスの方にしろ。初心者向けだ」
ヴァルトラウテならともかく、静御前は普通のミッションにしても全然戦えるレベルじゃない。もっとチュートリアルの方からやるべきだ。
「……どうかしたんですか?いつもより優しい感じですが?デレ期ってやつですか?」
「そんな事はない。たまたまだ」
「そうですか?今回は優しいタケルさんに免じてノービスの方にします」
「そうか、ならいい。
お前はちゃんとチュートリアルやったか?あれをしっかりやり込んで基礎を身に着けないと大会に出ても勝てないぞ。ちゃんとやっとけ」
「やっぱりデレ期だぁ」
もういい。




