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TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


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第019話 ヴァルトラウテ

『……ぉ……だ……ヴァ……』


 何だ?何があった?


『……おい……大丈夫か?……ヴァルトラウテ』

『んん……何があった?』

『撃たれたんだよ、盗賊団の生き残りに。それでそのまま大渓谷の方に転げ落ちていったんだよ』

『タケルが……クサナギがいたみたいだったけど?』


 はっきり覚えてはいないけど、目の前にクサナギがいたように見えた気がする。

 転げ落ちている時に助けられたの?

 それならクサナギはどこにいる?


『クサナギは?どこにいるんだ?』

『……クサナギは……大渓谷に落ちた。お前の機体をこっちにぶん投げて、そのまま落ちていった』

『大丈夫なのか?クサナギは』

『しばらく大渓谷の底の方を覗いていたけど爆発とかしていなかったから大丈夫だろう。

 お前の機体より全然ダメージがなかったし、あいつならバーニア噴かしてどうにか着陸できてるって』

『そうだよな』


 あいつの腕ならこのくらいどうにかするだろう。

 大破で死に戻りしていたら、もう会わせる顔がない。無事でいてくれ。



 盗賊団討伐のミッション進行中だ。今はタケルの事を気にしても仕方が無い。

 ただ、現状ピアレイは右肩部が破損して腕が動かせない。胴体もかなりのダメージを受けて機体が余り言うことを聞いてくれない。

 ミッション終了までここに残るか、動けないわけではないので離れて付いて行くかだ。

 戦力にはならないが、戦力的にはこちらの方が優位だから付いて行ってミッション終了時に回収してもらおう。


『このまま付いて行っていいか?』

『フォローできないから離れて観戦、いや監視していてくれ』

『……助かる』


 とにかくミッションを終了に集中しよう。まずは自分も帰還できるようにしないとダメだ。

 そうでないとタケルを探すことも出来ない。早く終われ!




 タケルとはいつも戦う間柄にはなったが、E.G.G.を始めた当初は随分世話になった。

 初心者の時にラウンジで会った。その頃にはタケルはもう中堅プレーヤーとして名が通り始めていた。

 アバターが同年代のようだったから声をかけてみたら、既にベテランプレーヤーだった。


 あの頃からソロプレーを信条としていて、チームに入れて欲しいと言っても認めてくれなかった。

 まぁ、既に中堅のベテランプレーヤーに初心者がチームに入れてくれと言っても、戦闘でカバーしてもらおうと思っている事が見え見えだ。

 そういうことが何度もあったんだろう、やっぱり断られた。


 それでもいくらか面倒を見てくれた。

 練習にちょうどいいチュートリアルを教えてくれたりとか、機体構成についてもアドバイスをくれたり。

 一緒に戦闘に出たりはしてくれなかったけど、戦闘記録を見てアドバイスはしてくれた。

 自分のスタイルを現在のようにパワータイプに絞り、力負けしないパーツや武器、戦闘スタイルを教えてくれた。

 自分がどんどん強くなって楽しくなってきた。


 それで徐々に戦闘レベルは上がってきた。

 他の初心者と対戦してもまず負けないそれなりのプレーヤーになり、アーマードギアの構成も自分で考えて出来るようになった。

 でも、まだまだいろいろと指導して欲しいと思っていた。

 ……なのに。


 タケルはあたしを放り出した。

 1人でも十分戦えるだけの経験と実力を得たと思う。だから一緒のチームになれると思ってたのに。

 だけど、チームを組んでくれなかった。

 それだけじゃなくて、それからはアドバイスもくれなくなった。

 何で?あたしの方が弱いんだよ?もっと教えて欲しいんだよ?

 なのに、あたしから離れていった……


 別に会えないわけじゃない。でも、声をかけてくれなくなった。

 見捨てられたんだと思った。

 何で見捨てられなきゃいけないの?悪い事した?

 してないよね?

 ヤマトみたいに一緒に居られる兄貴みたいに思ってたのに!


 こうなったらこちらから仕掛けるから。

 タケルにあたしの強さを思い知らせてあげる。

 その時になってチームを組んでれば良かったって思わせてやる!




 それからは更にいろんなプレーヤーと対戦した。

 まだ、所属も決まってなかったから片っ端から勝負を仕掛けて回った。

 それで経験を積んで一般プレーヤーにはまず負けないくらいに強くなり、顔も知られるようになってきた。

 そんな頃にエッダから勧誘されて入った。

 理由はタケルが所属するヤマタノオロチの隣の国だから。これならいくらでもタケルに勝負を挑めると思ったから。

 だから、ずっとソロのままタケルに挑み続けている。


 そんなあたしの目標はタケルに勝つ事に変わった。

 でも、未だにタケルに勝てない。手加減されているようだった。

 あたしは本気なのに……


 その上、今日はあたしを助けた。

 何とも思ってないのなら放っておけばいいのに、自分の機体を犠牲にするような事をしてまで。

 ヤマトと心も身体も結ばれて気が緩んでたのかもしれないけど、ヤマトみたいにあたしを助けなくてもいいのに……

 ………………

 …………

 ……




 あれから盗賊団の討伐ミッションも無事終わった。

 こちらの部隊の被害は、ピアレイの損傷とタケルが行方不明だけで済んだ。

 時間も時間だから今日は落ちる事にする。

 ピアレイの修理もしなきゃいけないし。

 タケルも大渓谷の中で生きてれば、ミッション終了した事は分ってるだろう。大渓谷からどうにも出てこれないなら、ペナルティを支払ってでも出てくるはず。

 大渓谷の中でも中断してログアウトは出来るから大丈夫のはず。


 次に会えればいいけど、いつ会えるんだろう……

 ヤマトがいるのにタケルも気になってしなう……

 どうしよう……



 自分の部屋でゆっくりしているけど、お腹が空いた。

 まだ夕飯の時間には早いけど、一応ヤマトに夕飯の催促はしておこう。

 ヤマトは大事な旦那様になるんだし。


『今日はゲームのキリが悪いからちょっと遅くなる。部屋で待っててくれ。アリーシャと食べてても良いぞ』

『終わるの待ってる』

『分かった。早めに切り上げるようにする』


 ヤマトや他の人もE.G.G.をやってるのは知ってるけど、プレーヤー名とか教えてくれないんだよね。

 バトルするんだから知らない方が戦う気持ちが鈍らなくていいけど。

 ヤマトは実は知ってる人だったりするのかな?

 タケルがヤマトだったら何の問題も無いんだけど……でも、それだったらもっと優しくしてくれるはず。

 やっぱり違うのかな?


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