第018話 タケルvsヴァルトラウテ2
合宿が終わってから数日……
今日は久しぶりにE.G.G.内に居る。
それまでずっとセイラとアリーシャと一緒に居た。
合宿が終わった日から土日にかけて、3人で仲良くに猿のようにしまくってしまった。
自分がいろいろと2人に対して抑えてた事が爆発したようだ。物理的にも爆発させてたけど。
これで2人を幸せにしないとと思う気持ちでいっぱいになってる。泣かせたくない。
その後、学校では2人共終始ニコニコしてたから、トキオはいろいろ気付いただろう、何も言ってこないけど。
ただ、学校では同じ宿泊施設に行っていた生徒が、俺達の結婚確定の話を全ての学年に流していた。
まぁ、いいけどな。やることもやって覚悟も決めたし。
そんな数日を過ごした後、前々から計画されていた盗賊団の討伐ミッションへの参加である。ちょうど合宿の日に被らなくて良かった。
今回は超極秘ミッションで信用出来るプレーヤーだけにしか声がかけられていない。しかも、当然腕のたつやつだけ。
俺はソロプレーヤーで中堅クラスの腕前で信用されていたから、声をかけられた。
今回はエッダの領地内に拠点を持つ盗賊団の討伐。
盗賊団の規模が大きくなってきたために街道を通る商隊が、この間のように頻繁に襲われるようになった。街道が大きくないため一度に出る被害は少ないが回数が増えている。
本来はエッダだけで行うべきミッションだが、国境に近く街道はこちらにも繋がっているために俺達ヤマタノオロチ側にも関係するので共闘ミッションを持ちかけられたそうだ。
エッダにしても自分達だけが討伐で損害を出すのは不公平だと思っての要請で、ヤマタノオロチとしてはここの所砦を落として領地を拡げているからエッダの機嫌を取っておこうというところだった。
拠点の場所は国境を越え、街道から見えた大渓谷付近の山地に集まっているそうだ。
その山地をエッダとヤマタノオロチで挟撃する。
ヤマタノオロチ側は街道の方から、エッダ側は山地の向こう側から。
山地といっても小高い山程度だからある程度のアーマードギアがいればカバー出来、両陣営各40機程出撃している。
俺はヤマタノオロチの領地に近い側に配置されることになっている。
打ち合わせは事前に行われており、後はミッションがスタートするのを待つ……
<<Mission Start>>
俺のグループはヤマタノオロチの領地側から山の上の方に追い立てる役。
すぐにエッダ側のアーマードギアと合流することになる。
どういう星の巡りかいつも戦っているピアレイがいた。
知らない間柄でもないので挨拶はしておく。
『よお、しばらくぶりだな。ピアレイの』
『ヴァルトラウテだ。一度名乗っただろ。タケル』
『そうだったか?』
そういえば戦うようになる前に名乗られたかもしれない。
でも、ソロでやるつもりでいたからほぼ覚えていない。
『そっちもこのミッションに参加していたのか?』
『ああ、知り合いがやられたからな。PK有りとはいえ知り合いがやられればいい気分じゃないからな』
『そうだな』
情報では間もなく盗賊団の小さな砦があるはず。
慎重にアーマードギアを進め、3機の盗賊団の機体を確認する。
こちらは3倍の機体がいるのですぐに制圧できるが、できるだけ静かに事を進めたい。
『タケル、スナイプで仕留められるか?』
『3機は無理だな。右腕を狙って武器を取り落とさせるにしても、良くて2機だ』
『他にスナイプ出来るプレーヤーいるか?』
両陣営合わせて俺含め4機がなんとかなりそうだという事になった。
まずはスナイピングでメイン火器を取り落とさせ、その後強襲する事になった。
静かに機体を移動させ、右腕部をスナイピングする位置に付く。
……3……2……1……GO
バシュッバシュッ バシュッバシュッ バシュッバシュッ バシュッバシュッ
ガシュッバギィ ガシュッガシュッ ガシュッバギィ ガシュッ
敵機2機は火器を取り落としたが、残り1機はダメージがあるため火器を使えるか不明だがまだ持っている。
スナイピングをしていた機体が一斉に敵機に突っ込む。
突然の攻撃に右腕部をやられ、まともに攻撃が出来なくなった敵機はすぐさま逃げに転じていた。
反撃しようという奴はいなかった。
俺は更に脚部を狙ってスナイピング。他の機体もそれに倣い味方の援護に入る。
ピアレイは討伐部隊の先頭に立って敵機に襲いかかった。
何というかいつもより動きの切れがいい。ノリに乗ってるといった感じか。
すぐに攻撃に転じれない敵機に大型ヒートソードを振り下ろし、一気に両断し大破させた。
他の味方機も一気に詰め寄り残りの2機をヒートソードやヒートランスで串刺にし、瞬時に沈黙させた。
味方機には一切のダメージがなく、ほぼ騒音を立てず敵機を処理した。
これでまだ他の盗賊団の奴等は気付いてないかもしれない。
『ナイス、スナイプ。タケル』
『いい攻撃だった、ヴァルトラウテ。
ノッてたようだが何か良い事があったのか?』
『はあ?そう見えるか?』
『ああ、今ならもっと苦戦するかもな』
『負ける、じゃないのか?』
『俺も今調子がいいからな。負ける気はしないが』
そうだ。今は2人と本気で付き合うことになったし、男になったしな。
ここでそんなことは言えないが、精神的に強くなっているから。
『そうだな、こっちもそうだ。
リアルで良いことがあったんだよ。えへへ』
『お前が「えへへ」とかキモいんだが。
まあ良いか。俺もリアルで人生に関わる良いことがあった』
『キモいとか言うな。あたしだって女なんだ。こっちも人生最大の幸福があったんだ』
『そうか、そうだったな。お互いその幸福が続くことを祈ってるよ。
今後も負けないがな』
『この幸福をパワーに変えて次はお前を倒すよ』
お互い軽口を叩きながら尾根伝いに次の盗賊団の拠点を目指す。
俺は大渓谷側を移動し、前をピアレイが進む。
尾根を進むがアップダウンが頻繁にあり、小さな起伏が多い。
その起伏の位置も微妙に一定しているように感じる。なんだろうな?
先の頂上を見上げる。何だ?何だろう?何か思い浮かびそうなんだが……
更に先に進む。
先にある窪地に次の拠点があるはず。
四方に小さい山があり中央がすり鉢状の窪地がある。そこに砦のような建物が建っていた。
建物の周囲には6機のアーマードギアが警戒していた。
建物内に何機いるかは今の所情報はない。
ここは一気に押し通ることにするが、その前に全機の手持ちのミサイルを撃ち込む。
ボシュボシュボシュボシュボシュボシュ
ボシュボシュボシュボシュボシュボシュ
ボシュボシュボシュボシュボシュボシュ
ボシュボシュボシュボシュボシュボシュ
無数のミサイルが敵機や建物の頭上に降り注ぐ
ドーンドーンドーンドーンドーンドーン
ドーンドーンドーンドーンドーンドーン
ドーンドーンドーンドーンドーンドーン
ドーンドーンドーンドーンドーンドーン
建物は半壊し、外にいた6機は2機が大破、残りは小破といった状態だった。小破の機体もミサイルのダメージでまともに動けないようだ。
『行くぞ』
『『『『『おう』』』』』
ヴァルトラウテの号令のもと、俺以外の機体は一気に突っ込んでいった。
俺は周囲の警戒にあたる。
特に半壊した建物の中にいるかもしれない機体にも注意する。
無傷の味方機が4機の敵機をタコ殴りにして、そっちはすぐに決着が着いた。
そのまましばらく警戒していたが、結局建物内からは敵機は出て来ず周辺の警戒に移っていった。四方の小山の上に俺を含め5機ほど登り、周囲の警戒をする。
ヴァルトラウテのピアレイは大渓谷側の頂きの方に登り、俺も大渓谷側のもう一つの山に登った。警戒するも大渓谷側から盗賊団の機体が来ることはなかった。
一度建物の方を見た時、何かが光った。何だ?
次の瞬間、重火器の轟音が鳴り響いた。
ドゴーーン ドゴーーン
誰を狙った?
バキッ バコッ
俺のクサナギは被害はない。
ピアレイの方は…………右肩部が半壊し、胴体にもダメージを受け、大渓谷側に倒れ山肌を滑り落ちていった。
俺は全速力のホバーリングで一気に加速し、ピアレイの元に向かう。
気絶しているのかピアレイに動きがない。ずっと滑り落ちていき止まらない。
このままでは大渓谷に落ちてしまう。
間に合うか?
バックパックのバーニアを更に吹かしブーストをかける。
なんとか渓谷に落ちる前に捕まえられそうだ。
ガシッ
捕まえられた。ふぅー。
エッダ側のプレーヤーが救助に向かってくるのが見える。クサナギ単機では上まで引き上げるのは無理だからちょうどいい。
しかし、運が悪い事に少し気が抜けたタイミングで地震が起きた。
しかもでかいのが。
何でこんな時に!
セイラ達と付き合える事になった幸運に、俺の運が持っていかれたのか?
クサナギとピアレイの周辺の地面に亀裂が入っていく。
アーマードギア2機の重量の影響か、このままだと2機とも大渓谷に落ちかねない。
クサナギの両腕にジェネレーター出力を一時的に過剰に回し、パワーを上げる。捕まえたピアレイをそのまま振り回し、救助に来た機体に向けてぶん投げた。
救助に来た機体にピアレイがっしりと捕まえてくれたようだ。
俺の無茶もあってか、クサナギの立っていた所はついに崩落してしまった。
不安定な足場でジャンプしても多分届かないだろう。
これなら残ってるバーニアの推力を安全に着地できる方向に回した方がいいだろう。
このまま落ちよう……
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