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TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


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第017話-5 合宿 夜の砂浜で花火を……

 しばらく食休みしてると、トキオは他の男子達と女子の話をしていた。

 ダグの方は別の合宿にいる彼女の方とメッセージで連絡を取っているようだ。ただ、何か慌ててる、なんで?

 俺は後で遊ぶために持ってきた花火とライターを準備しておいた。


 ……時間が経ち、辺りが十分暗くなってきた所で女子にも連絡して砂浜に出かける。

 海水浴に行った道をまた歩いていく。


 昼間は明るいから気にならなかったけど、夜は道に照明も少ないので結構暗く寂しい。何か出そうにも感じる。

 こんなに科学が発達していても、未だに幽霊の存在ははっきりしない。だから今も恐怖の対象の1つだ。

 男子と仲良くなった女子は、その男子の腕に絡みついて歩いていた。

 セイラとエリーは怖がっていないようで普通に歩いていた。まぁ、セイラが何かに怖がったという記憶はないが。

 アリーシャはビクビクしつつ、回りをキョロキョロ警戒しながら歩いていた。


「アリーシャ、大丈夫か?何も出ないぞ?出ても猫やタヌキぐらいだ」

「ヤマトはこんなに暗いところは怖くないの?」

「まだ明かりがあるからな。じいちゃんの家の近くはもっと暗いから、このくらいなら全然怖くないが」

「でも、こんなに暗かったらゴーストやモンスターが出てきそうじゃない」

「きゃああ、こわいーー(棒読み)」


 セイラがわざとらしく俺の腕にしがみついてきた。全然怖そうに見えないがな。

 アリーシャの不安を煽ろうとしてるんだろうけど、演技力が一切ない。

 そのタイミングで道の脇の茂みからガサガサと音がした。


「きゃあああ」


 今度はアリーシャがもう片方の腕にしがみついてきた。

 アリーシャの胸が当たっているのだが。向こうでトキオが恨みがましい目をこちらに向けているのだが?

 セイラの胸の感触にはもう慣れたが、アリーシャの方はまた違った感触で慣れない。流石にいやらしい気持ちでいるのはアリーシャに失礼だから、頭を無にして平常心平常心。


 ガサガサ鳴った茂みから出てきたのは猫だった。

 この島はけっこう野良猫がいる。それで猫好きにも人気の保養所だ。

 夜はどこかで猫の集会をしてるらしく、それを探してる人もいるそうだ。そのため合宿に向けて情報交換が行われていたとか。


「ニャア」

「アリーシャ、猫だぞ。怖くない」

「はああ、ほんとだ。ヤマト、しばらくこのままでもいい?本当にゴーストが出たら怖い」

「いいが、ちょっと待ってくれよ」


 ちょっと奥の手を使おう。知ってる奴は知ってるのだけど……


「It's show time!」


  パッチン!


 指を鳴らすタイミングに合わせて、自分のコミュニケーターを操作する。

 ……次の瞬間、道の両側のアーケードのようになっていた木々が一斉に光り始めた。

 そんなに強い光ではないけど、無数の光が道を照らす。


「「「「「わああああ、すごく綺麗」」」」」

「ヤマト、何これ?魔法?」

「この木は光る遺伝子が組み込まれた木なんだよ。特定の手順で光るようになってるんだ。エリーは知ってただろ?」

「はい、うちの会社が絡んでましたから」


 この木々は人工的に品種改良されて作られた植物だ。1世代だけの園芸用の品種だ。色は何種類もないが綺麗だ。

 園芸用とはなっているが、大きな施設で夜間の避難経路を示すのにも使われている。合宿のような学生が多い時も道を迷わないようにと点灯が許可されている。それを使っただけ。

 でも、ちょっとしたショーのように見えただろう。


 アリーシャもようやく落ち着いたから、浜辺に向かって歩き始める。

 薄緑に光る木々の下を歩くのは幻想的だった。

 みんなが上の方を見ながら歩いていたため、たまに段差に引っかかって躓きそうになったりしていた。セイラとアリーシャは俺に捕まっているからそんな事にはなっていない。

 ただ、引っ掛かりそうになる度に俺の腕に胸を押し付けてくるので、平常心を試されているようにしか思えなかった。



 砂浜に着いて、バケツに水を汲んで花火の準備を始める。

 花火は市販の手持ち花火。

 打ち上げとかは嵩張るし、モビリティへの持ち込みも制限があるから持ってきてはいない。


「花火、持って来たか?」

「「「「「もちろん」」」」」

「じゃあ、ゆっくり遊べそうだな」

「「「「「おう」」」」」


 女子の分もしっかり持ってきてあるので、それぞれ女子に花火を渡して火を着けていく。シューっと様々な色の火花を吹き出していった。

 そのまま眺めていたり、振り回して残像を写真に残したりして楽しんだ。

 トキオは派手に火花を飛び散らせながらくるくる回って楽しんでいた。それをダグが録画している。男と遊んでいた証拠としたいのかもしれない。

 他の男子は仲良くなった女子といい感じに花火をしながら、いい雰囲気になっていた。でも暗がりに連れこまれないようにな。

 セイラとアリーシャはエリーと集まって話をしながら花火をしていた。セイラは光線銃風の紙の台紙の付いた花火がお気に入りのようで、離れてエリー達に向けて撃っていた。

 俺は静かに線香花火を楽しむ。西日本のワラの先端に火薬が付いたタイプで、小さく火花がパチパチと飛び散る様が風情があって好きだ。


 1時間ほどもすれば花火も尽きて遊び道具がなくなった。

 俺はシートを敷いて寝転び、夜空を眺めることにした。

 元々この辺りは空気の綺麗な地域だが、大昔はこの辺りでも空気が汚れ星が見にくかったらしい。

 今は天の川なんかも綺麗に見えるほど空気が綺麗になり、地元でも結構星が見えるようになっているのでたまに夜空を眺める習慣が出来た。


「ヤマト、何見てる?」

「夜空を見てるんだよ。星が綺麗で天の川もよく見えるぞ。もう1ヶ月ぐらい先なら流星群が見えたんだけどな?」

「私も見る。もっと寄って」

「はいはい」


 とセイラにシートの半分を取られたら、今度はアリーシャも乗っかってきた。

 1人用としては少し大きいシートだったが、流石に3人ではかなり狭い。下手に動くとセイラやアリーシャの胸に手が当たりそうなので、極力動かず星を眺めた。

 向こうでエリーがこっちを見て笑っているのが分かる。随分楽しそうだ。何か企んでたのかね?


「わあ、綺麗」

「アリーシャ、向こうでも星空は綺麗に見えたんじゃないの?」

「南半球と北半球だと見える星空が違うから」

「そうか。南十字星とかはこっちでは見えないもんな」

「うん、だから私の知らない星空が見られて綺麗だよ。でも、流星群って見れないの?」

「時期があるからな。年に何回か見れる時期が来るけど、夏だと8月の中頃が見れるぞ。

 地元でも回りが余り明るくない公園とかに行けば見えるかも」

「ヤマトのおじいちゃん所だとよく見えるよ。前に見に行った」

「行ってみたいなぁ」


 それを聞いていたトキオがまた恨みがましい視線をこちらに向けてきた、羨ましい奴め、と。

 別にセイラにいやらしい気持ちで接しているわけじゃないからな?

 今度は、今の3人くっついて横になっているだけでも羨ましいんじゃ、という視線を向けてきた。

 狙ってやってるわけじゃないんだが……

 しばらくトキオと視線だけで無言の会話をしていたため、星空に集中できなかった。


 他の男子も女子と星空を眺めて気分を盛り上げているようだった。

 随分仲が良くなっているようで、トキオはそちらにも怨嗟の声を上げそうだった。



 1時間ほど星空を眺めてから戻る。

 夏とはいえ日が落ちれば気温が下がりやすいようで、だいぶ涼しくなってきた。

 余り寒くならないうちに帰った方がいい。


 また幻想的に光る木々の下を歩き宿泊施設まで戻るけど、あまりの景色にゆっくりと歩くので帰るまでに行きの1.5倍くらい時間がかかった。


「ねぇ、ヤマト。何でここのライトアップの仕方を知ってるの?」

「ああ、最近調理実習の講師をやらされたりしてるし、下級生の調理の面倒を見てくれって事でサブ講師の扱いになったから、コントロール用のアプリをもらったんだよ。

 自分の判断で点灯させていいからって。

 ちなみにエリーも持ってる」

「へぇ、ヤマトは信頼されてるんだね。でも、エリーの方は?」

「俺の補佐ってことになってる。他にも何人かいるよ、上級生の中に」

「ふ~~ん、いいなぁ、私もヤマトの補佐したいな」

「転校してきたばかりだからな。冬とか来年になったらなれるかもな」


 この辺は先生からの信頼の問題だからどうなるかは分からないけど、俺からの信頼度が高くても補佐にしてくれるかもしれない。

 合宿の前になってみないと次に俺もどうなってるか分からんし。


 帰りはもう怖くなくなったのかアリーシャも腕に絡んでくることはなかった。

 これで落ち着いて過ごせるな。

 トキオのやっかみも減るだろうし、部屋が静かになるだろう。

 ただ、他の男子が鬱陶しい。女子と仲良くなれて浮かれているのがダダ漏れで。

 トキオでなくても呪いの言葉の一つも吐きたくなるだろう。




アリーシャSide

 女子の部屋に戻ってみんなでお茶を飲みながらおしゃべりすることになった。当然、今日の成果についての報告。

 水着アピールしても効果が微妙だったし。


「水着は作戦として良かったはずなのですが、なぜかヤマトくんには効果が薄く男色疑惑が再燃してしまいました」

「ヤマトってゲイ疑惑があるの?」

「「「そうそう、セイラちゃんに手を出さないからね。男としておかしいだろうって女子の間で話題に」」」

「BL好きの女子には歓迎されてましたよね」

「それは私も歓迎するかも。って、ヤマトがそうだったら困るよ」


 そうだぁ、そんなの困るよ。

 ただ、ヤマトが紳士的でエッチな目で私達を見ないだけだよ。


「それは置いておいて、その後は積極的にヤマトくんにくっついてたようですが」

「気にしてるような感じはするんだけどね。でも、気にしないようにしてたみたい」

「アリーシャの胸に手が埋もれて感触が味わえるようなラッキースケベがあったら、そりゃあ嬉しいよ。ヤマトはムッツリだから今頃思い出してウハウハなんじゃないかな?」

「相変わらずセイラは喋るとおじさんくさいですわね。もうちょっとおしとやかな口調にした方がいいのですけど」

「うん、私もセイラと喋ってるとおじさんや男の子と話してる感じがしてくるよ」


 面白いけど、外でそんな喋り方するとセイラのイメージが悪くなるんじゃあないかな?だからヤマトも普段セイラに喋らせてないとか?

 でも、ヤマトも少しは私を意識してくれてるかな?


「明日は合宿のメインです。夜は向こうの島で大きな花火大会があって、ここからもよく見えます。

 それまでに雰囲気を盛り上げて行きますよ」

「「「「おおお」」」」

「浴衣があった方がいいんじゃないかな?」

「レンタルは今からでも間に合いますから、申し込みましょうか」

「「「「はい!」」」」


### 続く ###


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