第017話-2 合宿 宿泊施設に到着
移動は徒歩でそれなりの時間がかかる。
大きな島ではないけど小さくもない島。エアーモビリティのポートや宿泊施設以外にもいろいろ娯楽施設があり、それぞれ離れて配置されている。年配の方向けの保養所も兼ねているので、移動手段が他にないわけではないけど若いから歩けとのお達しだ。
30分程歩かされ宿泊施設に到着した。
施設の外観は神社っぽく老舗旅館のような古めかしいデザイン。
このデザインは結構人気が高い。年配の方の予約がひっきりなしに入っているそうだ。
でも、材質は木ではなく、高い強度のある木材っぽい材質で作られている。それでいて、下手な鉄筋コンクリートの建物より数倍頑丈だそうだ。
しかも、材質自体が自然に湿度調整してくれるので、多湿な日本で夏でも風が流れば意外に過ごしやすく、節電効果もあり大きい施設ではよく使われている。
セイラとアリーシャ以外は問題なく歩いてきたが、2人はへとへとになっていた。
セイラはいつもの事だが、アリーシャは歩き慣れていなかったようだ。
「いつも、こんなに歩くの?セイラもへとへとじゃない」
「ああ、こんなもんだよ。若いんだから歩けとさ。歩けないなら遊ばず宿舎で大人しくしてろって事らしいよ」
「えーー、誰も文句を言わなかったの?」
「さあ?大した距離じゃねぇし、余程運動能力に問題があるとかでもなければ歩けるだろ?このくらい」
「向こうだとそんなに歩くなら、モビリティ使うのが普通だよ」
「教育の一環とか言われると文句も言えねぇしな。なあ?みんな。
ただ、愚痴は言うけどな」
「「うんうん」」
現代人は体力が無いって言われてるからな。
その対策だ、とか教師は言ってるけど、年に1回、2日間程度歩いて体力付くわけはないだろが。
スキーとかもそれなりの運動にはなるけど、あまり歩かないからな。
やっぱり歩き慣れるようにしとけ、ってことなんだよな。
「合宿中は歩きだからな。覚悟しておけよ、アリーシャ」
「……うん。覚悟する」
各部屋に割り振られ、その部屋に入ってゆっくりする。
6人一部屋に入れられ、荷物を壁際に置いて皆だらけた。
俺も畳の床にゴロンと横になった。気持ちがいい。フローリングの床よりは好きだな。
「なぁ、ヤマト。次は?」
「昼飯だな。その後は自由だ。泳ぎに行くか?」
「セイラ嬢達が行くならいいな」
「「「「そうだな。ヤマトよろしく」」」」
「アリーシャが立ち直っていたらだな。とりあえず昼飯食べに行こうぜ」
皆腹も減ったし食堂へ移動だ。
朝食も食堂で食べることになっているが、順次交代することになる。
俺達の部屋の6人も空いていたので、昼食の定食を受け取ってから席に着いた。
合宿中の昼食とかそんなに大したメニューがあるわけでなく、とんかつ定食を選ぶ。
男共でわいわい喋りながら食べてると、セイラ達が食堂に入ってきた。
席を確保するため食堂内を見回し、セイラは俺に気付いた。そのまま真っすぐこっちに来て、俺の背後に取り付き俺の皿に手を伸ばした。
「いただきます」
「セイラ、勝手に人の飯を取るな!おかずが足りなくなる」
「ゴチになりました」
俺の背後から逃げ、昼食を取りに行った。
「やってねぇ、くっそ」
「仲が良いねぇ。いつもおかずあげてんの?」
「やらねぇよ。俺の飯がなくなるだろが。俺は育ち盛りなんだぞ?」
セイラ達も自分達の昼食を持って、俺達の隣に来て食べ始めた。
セイラは照り焼きチキンにしたようだ。
俺達も食べながら午後の事について、女子達に確認する事にした。
「アリーシャは復活したか?」
「うん、大丈夫だよ。午後は遊ぶよ」
「そうか。俺達は泳ぎに行くけど女子の方はどうする?」
「え?もう?」
「疲れてるなら男だけで行ってくるよ。来れるなら連絡くれ。
……よっし、いただき!」
「ああ、ヤマトがチキン取ったぁ」
これでおあいこだ。これで御飯がもう一杯食べられる。
照り焼きチキンは人気のある料理だけど、ここのはまぁよくある普通なものだった。
でも、お残しはしない。
「昼食を食べてから相談しますよ。その後連絡しますわ」
「エリー、分かった」
しばらく食休みしてから海に出かけるということでいいか。
横になって畳の感触を満喫しよう
「ヤマト、お腹が空いてるなら私のハンバーグも食べる?あ~~ん」
「「アリーシャが攻めてきてる?」」
「いいのか?じゃあいただきます。パク」
「ボッ」
ハンバーグも一般向け大量生産品だから普通だな。
まぁ、不味いわけじゃない。十分美味しい。予算内で作ってるんだから凄い話だ。
と、昼食はここらで終わって部屋に戻ろう。
食堂を出て歩いているとトキオが声をかけてきた。
何だ?女子が来るかは後で連絡するって言ってただろ。
「ヤマト、アリーシャ嬢にあ~~んとかさせてんのかよ?」
「いや?初めてだが?」
「……それであんなに自然に食べれるのかよ。羨まし過ぎ」
「昼は大抵一緒に食べてるからな。家族みたいな感じだろう。たまたま違うのを食べてたし、セイラにとんかつ取られたから不憫に思ってくれたんだろ?」
「セイラ嬢からチキン取り上げてたじゃん」
「育ち盛りだからな」
「「「「うまいことやりやがって」」」」
別に普通にしてるだけだが?
そんな話をしつつ食堂を出ようとしたら、食堂内がざわついてた。
『ヤマト先輩、羨ましい。普段から一緒に飯くってんのかよ』
『ヤマト先輩、セイラ先輩を囲ってんのに、更にアリーシャ先輩まで……ハーレム作るつもりかよ』
『ヤマト先輩、エリー先輩とも仲が良いよな。マジ、ハーレムだよ。爆散しろ!』
なんか散々事を言ってるな。そんな事してねぇっての。
食堂を出て部屋に戻る。
海水浴に行く準備をして、一休みする。
座布団を畳んで枕にして、畳の上に身体投げ出して寝る。
「一休みしてから海に行くからな。身体を休めとけよ」
「「「「「分かった」」」」」
寝る。
………………
…………
……
アリーシャSide
あ~~ん、とかって恥ずかしかった。
でも、ヤマトは全然普通だったんだけど。
なんでかな?
「「「アリーシャ、よく頑張ったよ」」」
「そうですね。ただ、あの程度ではヤマトは動揺させられませんでしたけど」
「エリー、なんで?なんでヤマトはあんなに普通にしてるの?」
「それはセイラがよくやってるからだよ。もう何年もやってるもんね」
「え~~、それじゃあインパクトが足りないよ」
「残念でしたね、アリーシャ。次はどうします?」
う~~ん、どうしようかな。
「アリーシャ、この後泳ぎに行くから……ね。
水着で挑発しましょうか?」
「え~~〜~!?」
そりゃあ、泳ぎに行くから水着になるけど、前に着ていたのとは違うから恥ずかしいな。
でも、セイラもセパレートの水着なんだよね。
負けちゃわないかな?
ヤマトSide
「ヤマト、起きろ!そろそろ行こうぜ!」
「ああ、ちょっと待って……女子も行くってよ。エントランスで待ち合わせよう」
水着や着替えを持ってエントランスに向かう。
砂浜近くに更衣室と公衆浴場があるので、バスタオルなどはレンタルだ。
パラソルもチェア、その他グッズも借りれるので、これだけあればいい。
エントランスにはセイラやアリーシャ達女子がもう待っていたので、謝ってから移動する。
女子もそんなに待っていなかったということで、怒っていないようだった。
ただ、アリーシャが俺の方を見ると真っ赤になっているのだが、熱中症か?
「アリーシャ、顔が赤いけど熱中症になってるのか?そうなら部屋で休んでたほうがいいぞ?」
「ヤマトくん、大丈夫ですよ。熱中症ではないですから。さっきしたことを思い出して恥ずかしがってるんですよ」
「さっきしたことを?ああ、それほど恥ずかしい事じゃないだろ?気にするな」
「……ヤマトくん、あなたは気にした方がいいと思いますよ?」
「??」
そんなものなのか?セイラとは昔よくやってたから普通なんだが。
セイラもアリーシャが恥ずかしがっている事が理解できていないようだったけど。
相変わらずよく分からないまま、砂浜へみんなで向かった。
宿泊施設から20分超えるくらい歩くけど、道の両側には街路樹が大きく枝葉を伸ばして天然のアーケードになっている。風も通るので天気がよくても結構凉しい。
その中を通って砂浜まで辿り着いた。
そのまま更衣室に着替え始める。
当然、男共の方が早く着替えるので、外でパラソルやチェア担当と、ビーチボールとか浮き輪担当に別れて準備する。
俺はパラソルを借りてきて設置を始める。
トキオとダグはチェアを持って来て設置してる。
パラソルはいくつあれば足りるかね?
まずは3本設置してシートも敷いたが、チェアを設置するならもっと増やしたほうがいいか。
更に3本追加で借りて来て、チェアのそばに設置した。
ビーチボールとか浮き輪も十分借りれたようだし、これでいいだろう。
### 続く ###




