第017話-1 合宿 前日から
今年もあと2週間ほどで夏の合宿がある。
合宿は年2回夏と冬に行われ、夏はマリンスポーツで海辺、冬はウインタースポーツでスキー場が基本的な合宿場所になっている。
たまに夏に山に行きキャンプとなる年もあるが。
合宿といっても学生同士の共同生活の練習という勉強の一環というより、娯楽の意味合いが大きい。
普段体育などの実技系の教科でしか実際に顔を合わせず、メタバースだと肉体的な触れ合いがないので、こういうときにお互いの交流を深めて欲しいということで行われている
ただし、多少のケンカは許容されてはいるが、性的交流は許容されてはいない。まだ働いていない学生なんで当然だけど。
そんな中、セイラやアリーシャ、エリー達は同好会の女子数名と水着を買いに行くらしい。
以前に行ったショッピングのように男は連れて行かないらしい。
エリー曰く、合宿当日のお楽しみだそうだ。
誰に?男共全員?
あまり余計な男共には見せたくはないが、合宿だし仕方がない。
キワドい水着にならないようにエリーに注意しておいてもらうよう伝えてはおいた。
後から聞いた話では一般的な水着だから大丈夫ですよ、と言われた。
ホントか?
男共の水着は……皆別に見に行きたくはないので、皆ベンチに座り適当なのを選ぶ。
俺はトランクスタイプ。変に身体のラインを出したくないし、モッコリしているのも嫌だからだ。
トキオは最初ブーメランだかビキニタイプを選ぼうとしたが、ダグが「女子に引かれてもしらないからな?」と言われたら、早々に諦めた。俺と同じトランクスタイプに落ち着いた。
ダグはもう彼女と相談していて、こちらもトランクスタイプだった。
「なあなあ、ヤマト。女子の水着ってどんなのかな?」
「トキオの好きな紐水着やマイクロビキニではないからな?露出が多くても普通のビキニだろ」
「紐水着とか普通にないのは分かってるよ!」
「だって、この前俺の所にそんな水着の薄い本のデータを送り付けてきただろ」
「トキオ、お前、そんな事してまでセイラ嬢達に紐水着とか着せたかったのかよ」
「ダグ、そんなつもりで送ったんじゃねぇよ。普通にエロいデータは男同志で共有するものだろ?同志ヤマト」
なんだ?その「同志ヤマト」ってのは?
別にそんなデータ共有しなくてもいいよ。既にたくさんあるから。親父からもらったものだけど、すげぇ古いデータもあるんだよな。
「別にいらないって言ったんだがな」
「ヤマト裏切るのか!」
「裏切るも何も必要ないからな」
「何ぃ、セイラ嬢やアリーシャ嬢の水着データをたっぷり持ってんのか?」
「いい加減妄想はやめろ。セイラの水着データなら小さい頃のがあるぞ?
セイラのお父さんが撮ったやつ。7、8歳くらいだけど」
「そんなんじゃあ……もういい」
なんとかトキオを諦めさせ帰った。
合宿はトキオとダグ、他同じクラスの3名男子が一緒だ。
皆が羨ましがってる。
同じとこで合宿したからって深い仲になれるわけじゃないからな?
アリーシャSide
水着はセイラと選んでもう決まったよ。
セイラが「ヤマトの好みの水着は紐水着とかマイクロビキニ」って言ったから選んだら、エリーに止められた。
何で?ヤマトが好きな水着なんでしょ?
「セイラさんの言う事は話半分に聞くように」
「へ?本当の事じゃないの?」
「それは多分たまたまヤマトくんがそんな映像を表示してる時に、セイラが見ただけですよ。本当に好きかどうかとは違うと思いますよ。
それに恥ずかしくないですか?ヤマトくんならそんな格好させませんよ」
「そうだよね。セイラの水着はこれまでのずっとワンピースだったもんね」
「そうそう」
そうなんだ。ならもっと普通の水着でいいかな。
いつも普通のビキニだけどフリフリのフレアビキニにしようかな。可愛いのが着てみたかったんだよね。
「セイラはどうするの?」
「どんなのがいいの?」
「セイラもビキニタイプが似合うと思うよ。ハイネックとかタンキニなんかは?セパレートでも露出を抑えれるのもあるよ」
「そういうので選んでみる」
「頑張って、ヤマトをドキッとさせちゃお!」
「うん、頑張る」
セイラもみんなに見てもらいながらいい水着が選べたみたい。
私も着てみたかったのが選べたよ、可愛い感じで。
「私達が行く合宿の場所ってどんな所なの?」
「アリーシャさんは初めてでしたね。瀬戸内の島の一つで行うんですよ。
砂浜が綺麗で静かでのどかな所ですよ」
「良い所みたいだね」
「夜は花火大会があって、気分的に盛り上がっちゃったりするらしいよ?」
「何なに?そうなんだ、楽しみだね」
「「「フッ、フフフ」」」
何だろ?何か企んでる?
でも、ヤマトともっと仲良くなれると嬉しいね。
ヤマトSide
さて、今日は合宿の当日だ。
水着は買ったし準備もした。セイラの準備がまた面倒だった。
持って行く着替え以外にも、パジャマや部屋着などいろいろ口を出すようになってきた。自分で準備すればいいのに、結局決めきれないから俺の最終判断で詰め込んだ。
その他、化粧品やアメニティグッズの準備も、家で使っている物を小分けにして持って行く。前に肌に合わなかったことがあってからそうするようになった。せっかくの合宿で遊べなくなるのはつらいからな。
逆に俺の方は楽だった。適当なトラベルグッズを準備すればいいだけだったし。服も清潔感は重要だが、適当に見栄えを考慮してカジュアルなのを適当に突っ込んだだけだ。
アリーシャと合流して最寄りのエアーモビリティのポートへ行く。
エアーモビリティ……いわゆる空飛ぶクルマだ。中距離から遠距離移動に使われる移動手段。地上を走る車は近距離を、超遠距離は飛行機を使う。
メタバースが普及して人の移動が少なくなり、一度に大量輸送する必要がなくなった。電車のような大量輸送インフラは衰退し、個別もしくは30人程度を1度に輸送する程度のインフラで十分になった。
住んでいる所は中規模クラスの都市なので、近場にエアーモビリティのポートがある。そこまでは地上走行する小型のモビリティで移動。
そこからは学校が手配した中型のエアーモビリティで合宿施設のある島まで移動する。途中、数か所に立ち寄り他の生徒も乗せていった。
『セイラ先輩がいるぜ。ラッキー!』
『転校してきたアリーシャ先輩もいるぞ。ついてるな?』
『ヤマト先輩がいるから料理を手伝ってもらえるかも』
同乗してる他の生徒が何か言ってるけど、まあいい。セイラ達に迷惑がかからないのなら。
結構下の下級生みたいだし、初めての合宿なんだろうな。
1時間ほどで現地のエアーモビリティのポートに到着し、ポートのエントランスに各学年で集合する。集まり次第宿泊施設に移動だ。
「よう、トキオ、ダグ」
「「よう、ヤマト」」
「先に着いてたか」
「ああ、ここは家から結構近いからな。ダグはかなり早い時間ので来てたみたいだぜ」
「俺のとこは結構遠いからな。何かあると困る。
ほんとは彼女と同じ施設が良かったんだけどな」
「彼女さんは伊豆の方だっけ?」
住んでいる所次第で行く場所が決まるからな。
ちょうど境があると離れ離れになっちまう。運が悪かったな。
「俺も伊豆に行きたかったぁぁぁぁ」
「「ご愁傷さま」」
そんな話をしていると俺達の学年は揃ったみたいなので移動し始めた。
セイラはちゃんとアリーシャとエリーに連れられていってるので大丈夫。
俺はトキオとダグと連れ立ってポートを後にした。
### 続く ###




