第056話-3 合宿 冬 1日目 ゲレンデにて1
道具のレンタルに行く途中、トキオやダグ達に何をやるか聞いてみた。
「トキオ、ダグ、みんな。何やる?」
「決まってないのか?」
「ああ、スキーとかスノボはあまりやったことがないから下手なんだよ」
「ウッソだろ?お前が下手とか言っておいて大体何でもできるだろ」
「「そうだ。出来なかったって話は聞いたことがねぇ」」
「本当なんだって。去年だってほとんど滑ってなかっただろ。アイススケートはそこそこ出来るけどな」
マジであまり上手く滑れない。スキーやスノボはあまりやったことがない。父さん達やマイケルさん達に何度か連れて行ってもらった事があるだけだ。
それで滑れるようになるわけもないだろ。
ボーゲンでゆっくり初心者コースを滑れるくらいなんだけどな。
スノボの方がまだましかな。ターンの時転ぶけど。
「俺はスノボやるよ」「俺も」
「トキオもダグもスノボかぁ。なら俺もスノボやるかな」
「「俺達スキーやる予定」」
という事で、スノボにする。ボードとかのレンタルの所に行こう。
レンタルのとこでエリー達と待ち合わせ。女子達と北斗ちゃん達下の学年の子達がもう来ていた。
皆スキーウェアに着替えてるけど、2人だけやっぱり異質なスキーウェアを着てる、ゴスロリチックなの。似合ってはいるんだけどな。
「ヤマト、遅いよ」
「悪い。ちょっと料理の仕方を教えて、見守ってたら遅くなった」
「早く借りて外に行こう」
セイラが早く北斗ちゃん達にいいとこ見せたくて急かしてくる。
セイラは俺よりスキーやスノボが上手い。だから、北斗ちゃん達に見てもらいたいんだな
仕方がないなぁ、早く借りに行くか。
「ヤマトは何やるの?」
「スノボ。アリーシャとエリーは何やんだ?」
「私はスキーですよ」
「私も。それでエリーに教えてもらうの」
「エリーはスキー出来るんだっけ?アリーシャ、エリーにしっかり教えてもらえよ、俺は教えられるほど出来ないから」
「え?ヤマトはスキー上手くないの?信じられない」
「スノボも上手くない。だから、北斗ちゃん達の面倒をみながら滑るよ」
なぜ俺がスキーやスノボが下手なのを信じてくれない?
エリーが俺を見て笑ってる。俺って何でも出来ると思われてるよな。だから、自信なく出来ないって言ってるギャップをエリーが笑ってるんだろうな。
もう俺がスキーもスノボも下手なのは置いておいて、さっさとレンタルの手続きを済ませて滑りに行こう。みんな楽しみにしてるんだろ?
レンタルの手続きは簡単に済んだ。学校の行事だから俺達が直接支払いをしなくてもいい。サイズや希望の色、詳しい奴はモデルまで指定して、係員が出してくれる。後はサインするだけ。
みんなが道具のレンタル済ませて施設の外に出る。外は快晴で真っ青の空の下、真っ白に雪が積もったゲレンデが見える。
……綺麗だった。青と白のコントラストが凄く綺麗だった。
「ああ、綺麗だなぁ。これで上手く滑れれば楽しいんだろうなぁ」
「ヤマト、まだ滑れないアピールしてんのかよ?」
「そうだ、いつまでもそんなこと言ってるとかうぜえぞ」
「「しかも、嫁が3人もいやがるし」」
「いや、本当にダメなんだって」
「「「ああ、やだやだ」」」
ダグはヨーコさんと、トキオと他の男子2人は他の女子と滑りに行った。
エリーはアリーシャと北斗ちゃんのところのスキーをする子に教えるため、一番緩やかなコースに移動していった。
「ヤマト、私達も行くよ」
「……分かった」
俺もセイラと北斗ちゃん、スノボをやる子とやっぱり練習のための緩やかなコースに移動した。
まだ滑ってる人が少ないから練習しやすそうだ。
先ずは止まり方と転び方を教える。セイラが実演してみんなが見る。要所要所で俺が説明をして、みんながやり始める。
緩やかでまだスピードが出ないけど、慣れてないからなかなか上手く止まらない。先に行きすぎると戻ってくるのが大変だから転ぶ練習に変更する。
これを何度か繰り返してるけど、すぐには上手く出来ない。
「兄ちゃんもやって見せてよ」
「……分かった。あんまり上手くないからな?」
「いいよ、それでも。ちゃんと止まったり出来るんでしょ?」
という事で俺も実演する事になった。
滑り始めてしばらくした所で重心を後ろに移動させ減速。それから斜面に対してボードを横向きにし、つま先を浮かすようにして停止した。
「こんな感じだ。スピードが出てる時に急に止まるなよ。回りで滑ってる人が止まると思ってなくて突っ込んでくることがあるからな。
スピードをゆっくり落としながらあまり人がいない所に行ってから停止な」
こうやってゆっくり年下の子に止まり方を実演しながら説明した。
セイラは説明してから滑っていたけど、俺は滑りながら動作を説明していった。年下の子達には確認しながら出来る俺の説明の方が分かりやすかったようだ。
「次は転び方だ。お尻から落ちるようにして転んでくれ。手をついたりしないようにな。骨折したり関節を痛めたりするから、慣れないうちは手は前に組むくらいがいいかもな」
斜面に対して横向きだったり縦向きだったり斜めだったり、何パターンか転んでみせた。
手の位置も注意して転んで斜面に手をつかないようにした。教えてるのにケガをしたら恥ずかしいしな。
「兄ちゃん、上手いな!」
「止まったり転んだりはな!何度もケガしないように転んできたから、転び方はそれなりに上手いぞ」
「「「ハハハ、いいのかよ、そんなんで上手くなるの?」」」
「スキーとかスノボは転んだ分だけ上手くなるらしいぞ。それにケガしたらそこで終わりだからな。骨折なんかしたら当分動かせなくなる」
そこまで説明してみんな止まり方と転び方の練習を再開した。
この程度の傾斜ならみんな上手く止まれるようになり転べるようになった。
セイラもちゃんと見守りながら近くを滑っている。女子を中心に見ていて、北斗ちゃんがケガをしないか注意深く見てるようだった。
俺は男子の方を見てるけど、ちょっとおふざけが入った状態で練習してるから「あんまふざけながら練習するなよ。ケガすんぞ!」と声をかけたら「はーーい」と言って真剣にやるようになった。
1時間程練習してるとだいぶ良くなってきたから、滑る練習に移る。
まだ緩やかな場所だから基本姿勢をしっかり身に付けさせる。この辺は比較的感覚で滑るセイラではなく俺が指導した。
その状態で真っ直ぐ滑って止まり、また滑っては止まりを繰り返し。時々転ぶ練習。
ある程度滑っていくと今度は戻ってくるのが面倒になってくる。俺も面倒だ。でもリフトがあるわけでもないのでボードを担いで歩いて上がる。
まだ傾斜がかなり緩いからいいけどさ。
その後徐々にターンの仕方を教えていくけど、この辺は感覚的にやってるセイラのターンの時の重心移動を実演させて、俺がみんなに説明して教える。
流石にいきなり曲がれるわけもなく、皆おっかなびっくり曲がろうとしてる。これも慣れる必要がある。
「また兄ちゃん曲がるとこ見せてよ」
「え〜、下手だから参考にならねぇぞ」
「それでもいいよ。やってみてよ」
「仕方ねぇな」
いいところを見せたいわけではないのだが、仕方なく滑り始める。
先ずは斜面右側の方へ向かって進む。しばらく進んでターン……
ベチャ
……転んだ……
起き上がって次は斜面左側の方へ向かって進む。しばらく進んでターン……
ベチャ
……転んだ……
起き上がった。
「「「「あははは」」」」
「ヤマトはターンする時に転ぶんだよ。何度もやってるんだけど、何でかほとんどターン出来ないんだよ」
「そうだよ。転ぶんだよ。上手くターン出来ないんだよ」
「ヤマトは大体何でもできるのにね。スキーとスノボはダメなんだよね」
「くそぉ」
「「「「あははは」」」」
そのまま下まで滑るのにターンのたびに転び続けた。そのたびに年下の子に笑われた。くぅぅ。
### 続く ###




