第056話-2 合宿 冬 到着
俺達を乗せたモビリティが合宿施設の駐機場に入って行った。
途中道の両側が除雪された雪で山になっているのを見て、下の学年の子達がアリーシャと一緒にはしゃいでいた。雪があまり降らない所から来たんだろう、楽しそうにしてるようでいいんじゃない?
施設に入りモビリティから降りて、施設の入り口で受付をしてから一旦自分達の部屋に入る。この後は昼食だ。自分達で作らなければいけない。
それに、途中で買ったブリなどの海産物を冷蔵庫に入れないといけないんだよな。
「ヤマト、昼飯は何だ?」
「麻婆豆腐丼か麻婆スパだ。かけるだけだからどっちか選べ、みんな」
「丼がいいな」「俺も」
「俺はスパがいい」「俺もスパかな」
丼とスパで半々かな。女子の方はどうかな。北斗ちゃん達の方も確認してご飯は炊こう。
パスタは後でも追加しやすいから、丼のおかわりはパスタになるけど。
荷物も片付けたから調理場に移動する。調理場で集合という事で俺達は先に行く。
寸胴と中華鍋を洗い準備をする。ご飯は多めに炊いておく。
麻婆豆腐は、俺達の分は一から、北斗ちゃん達の方は市販の素で作る。北斗ちゃんの方にはセイラを指導に付ける。
下の学年の子達は市販の麻婆豆腐の素を中華鍋に出して、適量より多めの水を入れ火にかけた。そこに賽の目に切った豆腐を投入してしばらく煮込む。
最後に水で溶いたとろみの素を入れて、強火にして豆腐が崩れないように混ぜて完成。
「包丁を使う時は気をつけてね。ケガしたら包丁を使うのを止めて言ってね」
「「「は~い」」」
とか
「混ぜる時はしゃもじとかで押すようにして混ぜると崩れにくいよ」
「上手く出来るかな?…………ほんとだほとんど崩れなかった」
セイラもちゃんと面倒を見れているようだ。うちの父さんや母さんに教えてもらった事を同じように教えてる。
いいお姉ちゃんっぷりを見せようとしてるなぁ。北斗ちゃんも自慢のお姉さんみたいに紹介していて誇らしそうだ。
こちらは生姜、ニンニク、ネギのみじん切りを作り、中華鍋で挽肉と一緒に炒める。豆板醤、甜麺醤を入れさらに炒める。豆板醤は炒めることで辛味がまろやかに発色も良くなる。
鶏ガラスープを入れ、砂糖、醤油、ごま油を適量入れ味を整える。ラー油や一味唐辛子を入れて辛味を増してもいいが、この辺は好みで。
豆腐を賽の目に切り一度茹でて水気を軽く切っておいたのを中華鍋の方に入れ、しばらく煮込む。豆腐は茹でおいた方が食感がいい。時間がなければそのままでもいいけどね。
水溶き片栗粉を適量入れとろみを調整し、強火にして混ぜながら焼く。火が多少弱くてもとろみはつくが、火力を上げて火を通す方がおいしく出来上がる。
最後にネギを散らして軽く火を通して、粉山椒を好みでいれて完成。
これをご飯やパスタに麻婆豆腐をかけて食べる。
下の学年の子達が、更に回りで昼食を作っているグループの人達が、俺が麻婆豆腐を作っている所をじっと見ていた。一から作るのは見たことがないのだろう。今時は親もレトルトか良くて市販の素を使うから。
希望する子にはこっちの麻婆豆腐をご飯やパスタにかけてあげた。
「「「「「「いただきます」」」」」」
みんなで食べ始めたが、俺が作った方は北斗ちゃん達にはちょっと辛かったようだ。でも、食べるのを止めてない。水を飲み飲みパクパク食べている。
辛いけど美味しいといったところのようだ。
俺達のグループの方も皆美味しそうに食べている。
食べ慣れている麻婆豆腐でもご飯やパスタにかければ、また違った料理になる。そういうところも良かったんだろう。トキオがもうおかわりをしている。
女子達も普段よりちょっと多く食べて、しまったっといった顔をしている。
「唐辛子に含まれているカプサイシンは脂肪を燃焼してくれるらしいぞ。ちょっとくらい多く食べても大丈夫だろう」
それを聞いてホッとしたようだ。でも、セイラはまだたくさん食べてるけどな。
それを見ている女子が太らないセイラの事を羨ましそうに見ている。
「セイラちゃんは何で太らないの?」
「ヤマトと夜に一緒に運動してるから」
「違うだろ」
「え〜、本当に運動してる。休みの日なんか1日中してる時もあるし」
セイラ、ここには北斗ちゃん達小さい子達もいるんだぞ!
何をやってるかはまあ想像出来てるんだろう、知識的には学校で習ってる年齢だし。顔を真っ赤にしてる子や興味津々な顔をしてる子もいた。
俺達のグループの女子はきゃあきゃあ言ってるし、ダグ以外の男子は「このリア充め、爆ぜろ」と呪いの言葉を吐いてるし。
「セイラは結構背が高い方で筋肉量もその分多いから、基礎代謝が高いんだよ。それで肥りにくいんだ。
それに食事の面倒を俺が見てるんだからブクブク太らせるわけないだろ」
「どっちも真実なだけだろ。羨ましい奴め」
その後も散々なことを言われながらも楽しく賑やかな昼食の時間を楽しんだ。
この後はしばらく食休みを取ってから、スキーやスノボ、そりで遊ぼうかと思ってる。
……と、回りの少し下の学年のグループが俺の所にやってきて、昼食が上手く作れないと相談してきた。
やはり家でレトルトの料理が多く、実習でもあまり積極的にやってこなかった人達が集まってしまったグループらしい。
ダグやトキオ達を先に部屋に帰して、少し面倒を見ることにした。
といっても直接手は出さない。食材の切り方を説明したり、焼いたり炒めたり煮たりの仕方を教え、味付けの加減を教える。
それを目の前で見ながら指示してなんとか食べれる料理が作れるまでになった。
「「「「「先輩、あざーっす」」」」」
「調理実習は真面目に受けた方が良いぞ。合宿の昼と夜は自炊だ。最低限腹を満たせる料理を作れるようになっておけよ、せっかくの合宿が楽しめないからな」
「「「「「はい、気を付けるっす」」」」」
「今日明日は時間が合えばまた教えるから、分からないなら聞いてくれ」
「「「「「助かりますっ!」」」」」
俺も自分達の部屋に戻る。この後のためにスキーウェアに着替えて、使う道具をレンタルしに行かないといけない。
何をやろうかな?俺はスケート以外ウインタースポーツは下手なんだよな。
「お、ヤマトお疲れ。あいつらの昼飯はどうにかなったのか?」
「ああ、そんなに難しいレシピじゃなかったしな。ちょっと教えればどうにか出来る料理だったし、やる気にはなってたからな。そうじゃないと飯抜きになるし」
「確かにな。野郎にとっては死活問題だ。腹減ったままスキーとかやってたら死ぬわ」
「女子に良いとこ見せられないしな」
「トキオ、頑張って良いとこ見せろよ、北斗ちゃんに」
「……ヤマト、ダグ、まだお前らは言うか」
兄貴分としていいとこ見せてやるくらいしてもいいだろうに。
実際、そういう方面に向かうかは知らんけど、北斗ちゃんを泣かすようだとセイラを筆頭に女子に嫌われると思うけどな。
「トキオ、北斗ちゃんの兄貴分なんだからいいとこ見せるくらいいいだろ?それに北斗ちゃんを放っておくようなことをしてると女子に嫌われるぞ。いいのか?」
「うっ……みんな俺をいじめようとしてる?」
「そんなことねぇよ。ちゃんと北斗ちゃんの面倒を見てるって示せば女子のお前の株が上がるぞ?爆上がりだ……多分」
「そんな不確かなこと言われてもよぉ……まぁ、頑張るわ。どのみち北斗のおばちゃんにも面倒見るように言われてるから、小遣いアップのためにも頑張るわ」
「「頑張れ頑張れ」」
トキオをなだめながら部屋を出て道具のレンタルをしに、レンタルの窓口に向かう。女子達や北斗ちゃんにもメッセージを送って窓口の前で待ち合わせることにした。
「トキオ、ダグ、みんな。何やる?」
### 続く ###




