第050話-4 年末年始 元日1
昨夜は除夜の鐘を聴き終わるまで起きていて、それから4人で眠った。
4人で2年参りに行っても良かったんだけど、やっぱり大晦日は家族と過ごす。
いつもより早めに起きて家の屋上から初日の出を拝む。アリーシャはマンガやアニメでは知っているが、実際には初めての事なので興味深げに日の出を待っていた。
「アリーシャ、期待している所悪いけど特に何も起こらないぞ?」
「へ?」
「今年初めての日の出を見るだけですからね。本当にそれで幸せな気持ちになったりとかは人それぞれですよ?」
「うん、私は初日の出を見るよりはもっと布団で寝ていたい」
「セイラには早起きのいいイベントではあるけどな」
「ぶぅ~」
単なる日の出を眺めてから家に戻る。
何かを期待していたアリーシャの落胆ぶりがよく分かるが、温泉とかでもないから特殊な効能はないんだ。
エリーがいろいろとこういった日本のイベントについて話をしていったけど、やっぱり落胆するしかなかったようだ。
その分美味しいお雑煮を出そう。
つゆや具は昨日のうちに準備してあったので温め直す。後はお餅をどうするかだ。
我が家では焼いたり煮たりではなく油で揚げている。我が家の古くからの伝統らしい。焼くと堅いし、煮ると崩れるからという事で揚げている。
餅を揚げて器に盛ってつゆをかけ、具の鶏肉、大根、椎茸、春菊を乗せて出す。
「う~~ん、美味しい。ヤマトのお雑煮はいつも美味しい。もっとお餅入れて」
「確かに美味しいですね。ヤマトの作るお雑煮は始めて食べますが」
「ん~~、お餅が柔らかいしスープを吸ってて美味しいね。前に市販のお餅を焼いて食べた時は、表面が堅くて食べにくかったよ」
「つきたてのお餅なら焼いてもそんな事は無いんだけどな。日が経ってるお餅は焼くと堅い表面が更に堅くなるんだよな。うちのご先祖様がそれが嫌で揚げるようになったらしい。な?父さん」
「そうらしいな。うちは揚げるのが普通だったから、よそのお雑煮を見て不思議に思ったよ」
確かにお雑煮のフォトを見ると焼いてるのが多いよね。煮るのは地域性があるらしいけど。
でも、つゆは特別なものではない。年越しそばに使ったかえしと出汁で作ってる。これも地域性があるとか。すまし汁ではなく白味噌だったり、伝統的な食材で出汁を取ったりするらしくて、そういうのを使って作ってみたいと思う時もある。
年越しそばも特に不満は言われてないが、お雑煮も問題なし。みんなも満足してくれてる。
アリーシャは餅をびょ〜〜んと延ばして食べてる。楽しんでるな。
セイラは足りないからとおかわりをした、2回も。
エリーや父さん達はしっかり味わって食べていた。
特に父さんはしっかり俺のお雑煮を評価していた。明確に点数を言わないけど、合格点ではあるけど100点ではないそうだ。
朝食が終わると洗顔、歯磨きを済ませてから着物の着付けに入る。
母さんが着付けをしながら3人に教えていくって。
俺はリビングの方で着付けが終わるのを待つ。
アリーシャSide
うわぁぁぁ、やっと着物がちゃんと着れるよぉ。
昨日決めた黒地のあの着物を!
「さあ、着付けするわよ。今日は流れだけは覚えておいてね」
「「「は〜い」」」
エリスさんの指示通りに、肌着や長襦袢を着て、着物を着て帯を締めていった。着崩れないように一つ一つ丁寧に着て整えてくれた。
確かにセイラが言ってたように窮屈だね。
でも……格好いい!黒地の着物が凄く格好いい!!
華の柄が炎みたいで綺麗。こんな着物が着れるなんて嬉しいな。
「エリーの着物、すごく似合ってるよ。綺麗だね。やっぱり、白とか水色とか」
「アリーシャも綺麗で格好いいですよ。やっぱり金髪が黒地に映えていいわね」
「エリーもアリーシャも着物が似合ってていい。私は微妙」
「そんな事ないよ!セイラは赤が似合うよ、可愛い感じで」
「そうそう、セイラの鳳凰も可愛いですよ」
「セイラちゃん、可愛い可愛い」
「むぅ~」
みんな着付けが終わって、綺麗になったよ。
ヤマトはどう思うかな?綺麗って思ってくれるといいな。
着物に着替えて3人ヤマトのいるリビングへ行く。
リビングで髪を整えてくれる事になってるけど……
「ヤマト、3人の着替えが終わったわよ」
「………………」
「ヤマト、似合うかな?」
「………………」
「ヤマト、どうでしょうか?」
「………………」
「ヤマト、ダメ?」
「ヤマト、何してるの?感想くらい言ってあげなさい」
「………………綺麗だ。凄く似合ってる。これは誰にも見せちゃあダメなヤツだ。初詣は中止しよう。うん、そうしよう」
なんかヤマトが変になってる。せっかく着物に着替えたんだから初詣に行かないっていうのはないでしょ?
凄く顔も真っ赤になってるし、本当にいつもと違ってる。
「ヤマト、何興奮してるの?
せっかくセイラちゃん達が出かけるのに着替えたんだから、行かないなんてなしよ」
「でも、こんなに綺麗なのに外に連れて行ったらナンパ野郎共が寄ってくる。そんな危険な所に連れていけないだろ」
「ヤマト……あなたがちゃんと守ってあげなさい。旦那様になるんだから当然でしょ?」
「……」
あっ、ヤマトが黙った。
ヤマトが着物姿の私達に興奮するほど見惚れてくれたんだ。嬉しいな。
でも、ヤマトが心配するほどなのかな?
「ヤマト、早く髪のセットやお化粧をしてあげなさい」
「……ああ、分かってる」
ヤマトは私達を座らせて、薄く化粧をして、髪を整えてくれた。
私はシンプルにポニーテールで、束ねた所に蝶のモチーフの髪飾りを付けてくれた。
セイラは編み込みでアップにして、小さい鳥の飾りが付いたかんざしを挿してる。
エリーは軽く後ろでまとめて、白い雪の結晶のような髪飾りを付けてる。
「うんうん、みんな綺麗よ。ヤマト、いい仕事したよ」
「普段は髪飾りなんか付けないけど、着物の柄が目立つからな。髪も少し派手に髪飾りを付けてみた。
でも、これでまた目立つくらい綺麗になったから初詣は行きたくない」
「何言ってんの。さっさと行ってらっしゃい」
初詣の準備が終わった。けど、そんなに心配するほどなのかな?私達は他の男になびいたりしないよ!?
出かける直前にエリスさんにモコモコのショールをかけてもらったので、初詣に行ってきます!
### 続く ###




