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TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


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第050話-3 年末年始 大晦日2

 帰ると昼食を待っていた父さん達がリビングでお茶をしていた。

 ダイニングのテーブルにハンバーガーのセットや惣菜パンを出して昼食だ。


「父さん、後どのくらいで終わりそう?」

「2時間くらいだな。天ぷらは夕方に揚げればいいだろ?」

「天ぷらはそれでいいよ。俺はそれまで昼寝してるよ」

「エリーちゃん、アリーシャちゃん、セイラちゃん、こっちが終わったら着物を確認しておきましょうね?」

「「はい」」「うん」


 昼食を取りながらこの後の話をしておいた。

 着物の話が出てアリーシャは大喜びだ。今日は軽く合わせて確認するだけだけど、間近で着物が見れるという事で嬉しいのだろう。

 エリーは家族というか、母親に着物を着せてもらったりする事がなかったから、そういうコミュニケーションが嬉しいようだ。

 セイラは着物は窮屈なのであまり積極的ではないが、いろいろ甘やかしてもらっているので我慢というところだろう。でも、今年はアリーシャとエリーが一緒に着るからそんなに嫌がってはなさそうだ。


 昼食後、おれは年越しそばの材料の確認だけして自分のへやに戻って昼寝としゃれ込む。3人も後で一緒に昼寝するだろう。先に寝てることにする。




アリーシャSide

 ヤマトは自分の部屋に戻ったけど、私達3人はそのまま残ってお節料理を作っているのを眺めてる。

 料理の方はほとんど出来ているので、ヤマトのお母さん、エリスさんがカットしながら重箱に詰めていってる。

 その合間に、料理の謂われを説明してくれた。昆布巻きの昆布は喜ぶ[よろ昆布]からきているとか、他にもいろいろ料理の事を話してくれた。

 これも今の世界共通語からきているものではなく、以前使われていた日本語だからこそのこじつけみたいなものだって話で、聞いているとダジャレにも通じるものがあったのは面白い。


 しかし……エリスさんの包丁さばきは凄い。素早く正確に、しかも断面も綺麗。どうやったらこんな風に出来るのかな?


「どうすればこんな風に出来るかって思ってる?」

「「……はい」」

「ヤマトも小さい時に私の包丁さばきを見てそんな事思ってたみたい。それでいろいろ教えたけどすぐには出来なかったわ。

 でも……今はかなり出来るようになってる。いっぱい切って練習するしかないのよ」

「やっぱりそうですよね。まだまだ料理がまともに作れないのに、綺麗な包丁さばきをしたいとかダメですよね……」

「私達はいつ料理を作れるようになるのでしょうか……」


 私達が切ったボロボロの野菜で料理を作っても美味しくないよね?

 やっぱり見た目は大事だし。


「大丈夫よ。見た目が悪いより味の方が大事よ。そっちの方をちゃんと覚えれば大丈夫だから」

「母さんもうちに来た時の包丁さばきはひどかったからね。そこから何年も肉や野菜なんかを切って覚えたんだから。いずれ出来るようになるよ」


 そう言ってくれるのは嬉しい。ヤマトも特にはダメなんて言わないだろうけど、やっぱり早く上手くなりたいなぁ。

 エリーもそう思ってるんだろうな。


 いろいろ料理にまつわる話やエリスさんの話をムサシさんとエリスさんがしてくれながら、重箱にどんどん料理を詰めていってるのを3人感心しながら見ていた。セイラはそれ以上に食べたい欲求が強かったみたいだけど。

 それにしても、お節料理のような伝統のある料理に込められた思いは凄く興味深かった。こういうのもいろいろ調べてみたいな。


 そして、重箱に詰め終わり片付けも終わったところで、今度は私達の着物のチェックが始まる。

 セイラにも着せた着物から新しく購入したみたいな着物、エリスさんのコレクションなのかちょっと年代物っぽい着物がいっぱい引っ張り出されてた。

 エリーの着物も持って来てる。白地に青い水仙仮名にかの植物の柄の着物。エリーには似合ってると思う。


「エリーちゃんのは両国さんのチョイスね。いい雰囲気でいいわね。ちょっと色が寒そうだけどね。うちの着物を着る?」

「そうですね。でも、お父様が贈ってくれた着物ですからこちらにします」

「そうね。色が寒色系でも自分や回りの人が実際に寒くなるわけじゃないもんね」

「寒くなったら雪女」

「「「ははは」」」


 クールなエリーにはやっぱりその着物は似合うよ。エリーのパパのセレクトはぴったりだよ。

 私はどれがいいかな?


「アリーシャちゃんは黒地に蘭とかの華やかな柄なんかどうかしら?黒地なら髪の金色も映えると思うし」

「黒い着物……極妻?格好いい!」

「アリーシャ……あなた、そんな古典映画まで観てるの?」

「パパとママが好きなんだよね。それで小さい頃に横で観てて、黒い着物を着てる人が格好良かったんだよ」

「…………」


 なんか呆れられた?黒い着物は格好いいんだけどなぁ。

 私はこの着物にします!


 後はセイラの着物を選ぶ。エリスさんとエリーと一緒にあれがいいこれが

いいと合わせる。白、黒、ピンク、水色、青、緑、黄色、オレンジ、紫……

 う〜〜ん、なんか合わないね。となるとここにあるのは赤のみ。

 セイラには赤に鳳凰の柄を合わせてみる。

 ん?いいんじゃない?ねぇ?


「どう?」

「いいと思うよ、格好いいよ。セイラ」

「ええ、セイラには似合うと思うわよ」

「まぁ、可愛い感じにはなってないけど、これいいかもね」


 これで明日の初詣は大丈夫だね。

 明日が楽しみだ。




ヤマトSide

 セイラ達と母さんが部屋から出てきた。明日着る着物の確認が終わったようだ。アリーシャとエリーは楽しみそうな顔をしてる。良かった。

 セイラはあんまり気が進まない感じだけど、うちの母さんが喜ぶし年末年始のお菓子の軍資金を出してくれるから我慢して着飾る。


 こっちはその間に昆布と鰹節で出汁を取り、醤油と砂糖、味醂でかえしを作ってある。後は食べる前に合わせてかけつゆを作り、そばにかけて天ぷらを盛れば完成だ。

 天ぷらは父さんが揚げてくれるから何も心配することはない。


 それと明日の朝のお雑煮の具を準備する。鶏肉、大根、椎茸、春菊を茹で、つゆに浸けて冷蔵庫に保管しておいた。



 まだ時間もあるし、お茶請けにお菓子を出してみんなでお茶をして過ごした。

 母さんはセイラ達3人と話し始めたので、俺は父さんと話し始める。


「ヤマト、セイラちゃん達との生活はどうなんだ?」

「特に問題はないよ?今は徐々に掃除や洗濯を任せてるし、料理も教えてる。

 失敗もあるけど、まぁどうにもならないってほどじゃないからな」

「ならいいけど、アリーシャさんとエリーちゃんは特に料理も上手くなりたいみたいなんでな。どうなのかと」

「味付けはレシピ通りにやってもらってる。食材を切るのはまだまだだけど、こんなの数をこなさないと上手くならないだろ?

 無茶させてもケガするだけだし」


 そう、味付けの方はレシピ通りに作ってもらって、先ず基本的な味付けを覚えてもらいたい。

 食材を切る方はいきなり綺麗に出来るようになるもんじゃないしな。慣れれば綺麗に切れるようになるさ。

 そんなに気にしてるようなら切る方の練習を増やすけど。


「まあ、お前が無茶させない事は分かってる。2人の気持ちが急ぎ過ぎてるのも分かってる。

 なかなか難しいよな?母さんもそうだった」

「で、どうしたんだ?」

「どうも出来なかったよ。一緒にやっていくのが精一杯だった。時間をかけて出来るようになるしかなかったしな」


 俺もそう思うよ。

 でも、食材を綺麗に切れなくったって美味しければいいんだから、家庭料理は。味が重要。


 その後は母さんがどのくらい下手だったのか、どうやって上手くなったのか、話を聞いた。

 聞いた限りではアリーシャやエリーとそれ程変わりはなさそうだった。これなら時間さえあれば大丈夫。


 ちなみにセイラは食材を切るのは割と上手い。俺が切るのを真似して切っていたし、2人で切れば量が増えてたくさん食べれるからと手伝ってくれていたりしたから。

 アリーシャとエリーからすると妹分っぽい雰囲気のセイラが、食材を切ることに関しては数歩先を行ってる事に驚いていた。だから、焦ってるのかもしれない。出来るようになった理由を聞いたら笑うだろうけど。




 話をしているといい時間になった。

 俺と父さんはキッチンに移動して、年越しそばを準備する。


 父さんが天ぷらを揚げている間に、出汁とかえしを合わせてつゆを作る。

 天ぷらが揚がった後にそばを茹でる。

 そばはスーパーの店長のところから生の蕎麦を仕入れてる。有名店の蕎麦らしい。俺も父さんも蕎麦を打てなくはないけど、そこまではしない。

 茹でた蕎麦を冷水で締めてから、再度軽く温め器に移す。つゆをかけて天ぷらとネギを乗せて完成。後は欲しい人だけ生卵を落とす。


 出来上がった天ぷらそばをダイニングのテーブルに出し食べ始める。

 これで今年の料理は終了だ。

 そばを食べつつ話をしたけどまだ終わらず、その後も除夜の鐘が鳴り終わるまでずっとみんなで話をしていた。

 その間の茶坊主は俺と父さんで交代しながら、飲み物とお茶菓子を出していた。


 今年の後半は結構激動の日々だったと思う。

 願わくば……来年じゃない、今年は落ち着いた年になりますように。


### 続く ###


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