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TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


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第050話-1 年末年始 30日

 クリスマスはミサの後、次の日は朝市を回り、周辺を散策して、3時のおやつにまたホールのケーキを食べて過ごした。

 割と山の奥の方にあるコテージなので静かで、午前中川沿いに歩いてカフェを見つけて、周囲の風景を見ながら昼食を取り食後の紅茶を飲んで休憩をしたりもした。じいちゃんのところとはまた違う静かな風景を4人で堪能した。

 夜は豪勢な夕食をみんなで作って腹いっぱい食べて、お風呂やベッドの上でしっぽりと仲睦まじい時間を過ごして、26日に地元へ帰ってきた。


 ここからが年末に向けての大掃除がスタートする。

 シンク・風呂・トイレのような水回りのカビ取りや除菌、リビングやダイニング、自分の部屋という名の寝室、エリーの自室の掃除を徐々にやっていき、29日には完了させた。

 去年はセイラが役に立たず1人で大掃除をしたが、今年はセイラもアリーシャもエリーも手伝ってくれたからそれほど労力がかからずに終わった。

 掃除の後におやつを出す約束をしたので、セイラもやる気を出してくれた。来年もこうしよう。




 29日の晩には父さんと母さんが帰ってきて、翌日からお節料理の下準備を始めてた。俺はセイラ達3人と買い出しに出かける。

 そういえば……アリーシャは年末年始どんな過ごし方をしてるか知ってるのかな?


「アリーシャは日本の年末は初めてだよな?」

「旅行で年末年始に日本にいた事はあるけど、何か違うの?」

「初詣以外お節料理を食べたりお雑煮食べたり?」

「主なところはそうだな。セイラの好きな事ばっかりだけどな」

「基本食っちゃ寝食っちゃ寝だよ、アリーシャ。正月は」


 まぁ、セイラの希望がふんだんに入った正月の過ごし方だな。おおむね正しい過ごし方だが。

 うちは……そう過ごす。


「お雑煮は朝食べたけどお節料理は食べてないかな。豪華な料理は食べたけど、知ってるお節料理は食べてないね」

「お節料理は父さんと母さんが、ちゃんと伝統的なのとアリーシャ向きに洋風の2種類作るって」

「おお、おじさん達が腕を振るったお節2種類。いっぱい食べれるなんて……」

「確かに叔父様達の直接腕を振るったお節料理なんてまず食べられませんからね。あの料理なら数十万円出しても買う人がいるはずですよ」

「そうだよなぁ。みんなに羨ましがられてたな」


 特に学校で友達になった友達の親に羨ましがられたな。子供に「売ってほしい」って言わせた親もいたな。丁重にお断りしたけど親が諦めず、子供があまりのしつこさに親と縁を切るって言ったらやっと諦めてくれた。

 うちの親がその筋では有名人なのは知ってたけど、ここまでとは思わなかったエピソードだった。


「じゃあ凄いんだね、楽しみだよ」

「ああ、楽しみにしていてくれ。じいちゃんとこの野菜も使ってるし、伝統的な料理の方は母さんがいろいろ意味を説明してくれるから」

「凄い凄い、料理にある意味を教えてくれるなんて。マンガで見た時気になってたんだよね」

「うちのお父さんも昔説明された時も喜んでた」

「料理に意味を持たせるのは独特の文化ですものね。結構こじつけなのもありますから面白いです」


 お節料理の話をしながら歩いて、前にみんなで食べた中華飯店に向かう。昼食を注文してあるのでそれを受け取りに行く。

 大皿料理をいくつか持ち帰り用の容器に入れてもらい、4人で分けて持ち帰る。セイラは自分の持つ料理の匂いによだれを垂らさんばかりの状態だ。早く帰らないとな。

 お店のスタッフに礼を言ってその場を後にした。


 帰る途中いつものスーパーによって店長に挨拶していく。

 このスーパーは、年末に珍しいお菓子を仕入れてくれるからセイラの希望で買いに来る。もう店長がオススメのお菓子セットを準備してくれているのでそれを買っていく。店長も意外にセイラに甘い。


「ヤマトくん、今年もお世話になりました。来年もよろしくね」

「店長、こちらこそお世話になりました。来年もよろしくお願いします」

「毎年の定例の挨拶だねぇ。今年ももうムサシさん達は帰ってるんだろ?」

「ああ、お節料理を作ってるよ。今年は洋風のものも作ってくれてるよ」

「そうか、いいなぁ。そんなお節料理、食べたいなぁ」

「ごめん、無理」

「分かってるよ。毎年同じやり取りしてるんだから」


 店長も父さん達のお節料理を食べたいから毎年この話をする。

 食べれないのが分かっていての事だから、ここまでが年末の定例の挨拶だ。

 一応店長も父さん達監修の市販のお節料理は買っているそうで、それを食べながらオリジナルの味を想像するのが正月の楽しみらしい。


「そうだ、これ、持って行って」

「何が入ってるんだ?」

「姫始めのための精力剤だよ。効くぜぇ、すげぇ効くぜぇ」

「このセクハラオヤジが!」

「ははは、冗談だって。まぁ、それも入ってるけど、お年玉代わりに面白い調味料手に入れたからお裾分けだ」

「……ヤバいものじゃあないよな?」

「東南アジアの方の奥地の調味料らしいよ。友達から俺も貰ったばかりだからどんなのかは知らないんだけど」


 店長の友達というのもヤバそうな人種だけど、調味料と聞いたら俺も気にはなる。そのうち試してみよう。


 店長と話しているうちに、いつの間にかセイラ達がスイーツをカゴにいっぱい入れて持って来た。まぁ大晦日、三ヶ日用に特別に何も言わず今日は買っていく。

 それを見てセイラはホクホク顔で喜んでいて、アリーシャとエリーは甘い俺を呆れ顔で見ていた。年末年始の定例だからいいんだよ。


 これで買い物も済ませたのでさっさと帰ろう。




 家に帰り着くと、父さん達は今日の下準備が終わったのかリビングでゆっくりお茶を飲んでいた。

 買ってきた中華料理を温めて、ダイニングのテーブルに並べ昼食を食べ始めた。


「もう下準備は終わったの?」

「いや、まだ終わってない。午後もまだやる」

「手伝おうか?」

「いいよ。年末の2人の楽しみだから父さん達で準備するよ。

 そうだ、ヤマト達に報告しておくことがあるんだ」

「何?」


 父さんがもったいぶったというかモジモジしながらなかなか話そうとしない。こういう時は悪い話ではないけど、時々こっちに面倒事を持ち込まれることがある。

 何だ?


「実はな?……母さんが妊娠したんだ……」

「はあ?」

「「「おめでとうございます!」」」

「ありがとうね。セイラちゃん、アリーシャちゃん、エリーちゃん。

 まだしばらくは今まで通り働いてるけど、そのうち家で仕事をする事にするから」

「休まなくていいのか?」

「まだまだ大丈夫よ。お腹が大きくなってもある程度動いた方がいいんだから」


 その年でって学生時代に子供が出来たって言ってたからまだ若いには若い。俺達の影響で父さん達も頑張っちゃったんだろうけど……この年で弟か妹が出来るのか……見た目自分の子供でも通用しそうなくらい年が離れてるんだよな。

 更に……たぶんすぐにおじさんかおばさんになってしまう。ちょっと不憫かもしれない。


 しかも、父さん達が忙しいと俺達が預かって面倒を見る事になりそうだ。

 まぁ、寂しい思いはしなくて済むと思うからいいけどな。


 父さん達の爆弾発言もそれ程火力もなく、もう落ち着いてしまった。母さんはアリーシャ達といろいろ話し始めたから、俺は父さんと話をする。

 大体の出産時期や仕事をどうするかなど、俺も関わっていくことがあるから確認しておいた。仕事は料理教室を元々リモートでやってたから、家でやれば問題ないそうだ。

 ついでにエリー達に料理を教える事が出来るって喜んでいるらしい。

 その点は都合がいいか。


 その後、午後もお節料理の準備をするというから、俺達は適当に過ごす。夕食もついでに作ると言うことで、俺は時間がすっかり空いてしまい部屋でゴロゴロしてるうちに眠ってしまった。


### 続く ###


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