表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/248

第049話-2 クリスマス イブ

 そして、クリスマス・イブになった。

 手配したモビリティに自分達の荷物だけでなく下準備を済ませた食材を入れたクーラーボックスをいくつか積み込んだ。今回は1羽丸ごとの鶏肉も仕込んでいるから持って行く食材が大きい。

 ケーキはセイラが率先してケーキ屋にコテージへの配送を頼んで、すでに発送された事を確認していた。


 そして、俺達4人でコテージに向けて出発した。

 どんどん山に入って行き回りに建物がなくなった。道の両側は木々で覆われ、途中木々の間に猿がいるのが見えた。

 エリー達は猿を見て無邪気にはしゃいでいた。コテージの方には近寄って来ないはずだけど、3人には猿が近寄って来たら気をつけるようにと注意しておいた。


 施設に着くと荷物をモビリティから下ろし、受付の建物に向かった。

 今日はいつものおじさんではなく、女性の店員が受付してくれた。何度も来てるけど始めて見る人だった。


「両国様ですね、社長より伺っています。こちらが鍵になります」

「おじさんは忙しいんですか?いつも受付してくれてたのに」

「社長はいつも忙しいのですが、両国様の時は時間を作って受付をしていたのです。からかうためと言ってましたが、迷惑をおかけしてます」

「わざとやってたのか。まあ、いいか。では、よろしくお伝え下さい」

「はい。では、ごゆっくり施設をお楽しみください」


 やっぱりあのスーパーの店長の親戚。俺をからかうために受付をしてたのか。まあ、いいけどな。


 鍵を受け取って、自分達のコテージに入る。

 食材等を冷蔵庫に放り込み、ちょうど届いたケーキも一緒に入れた。飲み物はおじさんが入れておいてくれたらしい。

 流石にアルコール類はないが、気分だけでもとノンアルのシャンパンが入っていた。




 夕食までまだ時間もあるし、調理用に魚を手に入れたいから釣り堀に行こう。

 竿を借りて川をいくつかに仕切って作られた釣り堀には親子が釣りをしていた。小さい子が掛かった魚の引きの強さに慌てているところを、父親が応援しながら見守っていた。

 俺達は邪魔にならないように別の所を釣り場にすることに。


「エリー、餌についてだけど……」

「ヤマト、虫じゃあないわよね?」


 俺もセイラもアリーシャもここの餌の事はもう知っているのでニヤニヤとエリーのことを見ていた。

 こういう渓流だったり清流だったりするところの魚に虫を餌にするのはよくある事で、ミミズなど餌としては最高だったりする。

 エリーもそのことは知っているのだろう。


「魚釣りに虫はいい餌だからね。ミミズとかはよく釣れるよ」

「ひぃぃ、虫はやだぁぁ」

「……なんって、餌はイクラだよ」

「むぅう」


 セイラとアリーシャが向こうで笑ってた。前に俺に騙されたもんな。当然俺も笑った。

 普段することのない珍しいふくれっ面になっているエリーが可愛いなぁ。

 餌が入っているタッパーを見せて納得してもらう。「はぁぁ」とため息をついてようやく落ち着いたエリーが俺に「餌を付けて」と要求してきた。そのくらいは罰として受け入れよう。


 エリーの竿に餌を付けて投げ方を教えた。錘が付いているから振り子のようにして、水が流れ落ち白く泡立っているところに投げ込むように言った。

 12月ともなれば気温も水温も下がり魚の活性も落ちるので一発で釣り上げることも出来ないと思う。

 しばらく流したらまた同じ辺りに投げ込んでもらう。何度か投げた後は別の水が流れ落ちるところに投げ込んでもらう。


 何度か餌を投げ込み直してもらうとようやく浮きがピクピクと動き出した。

 次の瞬間、一気に浮きが沈み込んだ。


「エリー、竿を少し上に上げて、20cmくらい」

「はい!」


 よしっ!なんとかしっかり針が引っかかったようだ。慎重に竿の向きを指示して魚を弱らせる。

 なかなかエリーは上手い。

 少し弱ってきたので今度は魚の顔が出るように竿を動かすようさせた。

 なんとか魚の顔が出て来た状態を維持させる。


「よし、いいぞ。そのまま岸の方に持って来てくれ」

「……はい!」


 なんとか針から外れずキャッチできた。これで1匹目。


 今日はそれほど数はいらないから小1時間ほど釣りをして4匹釣って終了した。

 セイラとアリーシャは2回目だったから2人共なんとか1匹ずつ釣り上げ、エリーはその後も俺が指導してもう1匹釣り上げた。

 エリーは飲み込みも早く、竿の捌き方くらいで大して指示をしなくても大丈夫だった。満面の笑顔で釣りをしてるエリーを見ると、またここだったりじいちゃんの所で釣りをするのいいかな。


 十分な数を釣ったからコテージに戻ろう。

 途中で見た親子はまだ釣りをしていた。父親と子供が一緒に竿を持って仲良く笑いながら捌いてた。母親の近くに座って笑って眺めてる。

 ……いいなぁ


「ヤマト……寂しいの?」

「え?なんで?」

「羨ましそうな顔してる」

「そんな顔してた?3人もいるから吹っ切れてると思ってたんだけどな」

「クリスマスだからね。あんな家族の団欒をヤマトが欲しがってるんだね」

「いつもヤマトは強がってるから、はっきり見せないのよね、そういう感情を」


 そんなに顔に出やすいのか?最近、よく感情が漏れてるみたいだな。

 前はセイラだけだったし、今はアリーシャとエリーの2人もいるから十分幸せだと思うんだけどな。見せてこなかった感情が緩んで滲み出てきてるというところか。

 まぁ、親しい人間にしか分からないとは思うけど。


「羨ましいと思ってるのは確かだな。でも、直にそう思う事はなくなると思ってるよ」

「じゃあ、ちょっと早いけど」

「私達のクリスマスプレゼントは」

「ヤマトを幸せにすること」

「「「一生をかけて」」」

「嬉しいよ。俺もみんなを幸せにするよ、一生をかけて、必ず」


 羨ましがってちゃあダメだ。自分が家族と仲良く過ごすんだ。今はエリー達3人と仲良く過ごそう。

 それから子供も一緒にだ。俺が寂しいと思わないくらい一緒仲良く過ごそう。


 それを今ここで神様に誓う……


### 続く ###


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ