第048話-1 海賊行為 出撃
だん吉達に宇宙戦艦の事をバラし、これからやる海賊行為に誘ってから随分経った。
5人共こちらの企画に乗ってくれることになった。しかも割とノリノリで。
先ずはお披露目のタイミングと身バレしないための対策について話をしたら、更に乗ってきて衣装や機体のデザインに口を出し始めた。
俺としてはちょっとげんなりして、その辺はみんなとサポートAIに任せる。
衣装の最終案は、男用は俺の初期案が多少変更されたがほぼそのまま使われた。女性用はアイマスクというより顔の口元以外を隠すような仮面で、衣装はパンツスタイルから好みの色のミニスカートになり、古い時代の軍服っぽい上衣もフリルやフリンジを追加してかっこ可愛い感じになった。
ちなみにスカートの色は皆違う。ヴァルトラウテが深紅、静御前が緋色、アナビトリアがパステルピンク、となった。
女性陣は静御前とアナビトリアは衣装が可愛くてきゃあきゃあ言ってるが、ヴァルトラウテはミニスカが恥ずかしいようだ。
最後に、この宇宙戦艦の浮上の日を発表した……
そして、ついに宇宙戦艦浮上の日が来た。
皆ラウンジに集まり、俺のメンテブースに移動した。
所属を宇宙戦艦に変更してあるから、それぞれのメンテブースから宇宙戦艦に移動できるようにはなっているが、今日は俺のメンテブースからだ。
「ついに海賊デビューの日だな?タケル」
「ああ、アーマードギアの改造も改装も終わったし、やる事はやったしな」
「すっごく性能が上がったんですけど、これで大会に出ちゃダメですかね?」
「ダメに決まってるだろ。大会前には戻すからな」
「静御前、当然だな。自分が手に入れたパーツじゃあないんだからダメに決まってるだろ」
やっぱり静御前が甘えた事を言ってくる。
みんな当然そんな事は認めない。
海賊行為のメンテは宇宙戦艦で面倒を全部見るが、今回の改造でジェネレーター出力は1.5倍、反応速度も1.4倍、装甲は通常のヒートソードでは傷も付かないほど装甲値が高い材質に換えてある。
こんな改造をしていれば上位プレーヤークラスでもないとそうそう傷もつけられない。
これなら少数でも大抵のプレーヤーと渡り合える。
だから、大会に出るならその時に戻すと決めてある。そうでないと海賊行為をやってる奴ってバレてしまいかねない。
そうでなくても装甲以外もかなりパワーアップさせているから、余程の個人の収入がある人でもない俺達の事を怪しむはずだ。
だから、元の状態に戻す。戻さないといけない。
「理由は説明してるんだから諦めろ」
「ぶぅ~。夢ぐらい見させてくださいよ」
「それでも元のパーツもこっちでメンテして調整したら、1.2倍はジェネレーター出力も反応速度も上がったはずだけど?十分だろ」
「装甲は替わってないから傷が付いちゃいます」
「あのな、逆に傷が付かない方が危ないだろ。回避しなくなるんだぞ?」
「避けなくていいんだから楽じゃないですか?」
「装甲を斬れる貫通できる武器を持っていたら?避けないんだから簡単に倒せるぞ?」
「……」
理解してくれたようだ。
さて、そろそろ競技大会の最終戦、決着がつきそうだ。
対戦はどこかの上位プレーヤーとタルタロスのエレボスだった。
今モニターに映っている状況では、テュポーンが完全勝利間近だった。対戦相手も優勝常連のプレーヤーだったはず。それが完全に遊ばれている。
どうして?今までそんなに圧勝だったことはないはず。
俺との対戦の後、全ての対戦でほぼほぼ瞬殺に近い戦いだった。今までの対戦ではそんな事はなかった。
何故だ?
まぁ、そんな事はとりあえずいいか。
もう終わる。
「サポートAI、そろそろ決勝が終わるぞ。準備はいいか?」
『もう準備は終わっています。いつでもアナウンスを流せますよ。
そういえばこの船の名前はどうしましょうか?』
「はあ?今頃何いってんだ?元々の宇宙戦艦の名前があるだろ。それでいいんじゃないか?」
『ありませんが?〇〇級戦艦といった型式はありますが、名称は付けられてません』
「じゃあE.G.G.運営には国の名称はどう伝えてるんだ?」
『「後日アナウンスで」と伝えてありますが?』
「がぁぁぁ。今頃言うなぁ!名称どうする?」
「宇宙戦艦なんで『ヤマト』でいいんじゃない」
「静御前、安直すぎるだろ?」
どうする?もう時間がないぞ?
古い時代のアニメの戦艦の名前はどうかと思うしな。
「くそぉ、どうするかな?宇宙……戦艦……別の世界線から……時間を超えて……
アメノミナカヌシはどうだ?日本神話の宇宙の根源神らしい。
時間を渡ったこの宇宙戦艦ならちょうどいいだろ?」
「ヤマタノオロチと日本神話で被るんじゃね?」
「あっちはヒュドラじゃん。こっちは神だよ?こっちの方が格上だし気にしなくてもいいだろ?読みにくいけど」
『そうですね。宇宙戦艦ですし、時空すら制御してここに来たのですからいいかもしれません。
という事で私は女神様です。いいです』
「じゃあ、国名というか海賊団もそれでいこう。面倒だし」
「他の国も神とかの名前を使ったりしてるもんな」
急遽決めたにしてはまあいいだろう。
対戦の方はどうなってる?
気を利かせてくれたのか、まだ対戦中でテュポーンが避けまくってる。あれは対戦相手の心が折れてるな。そろそろやめてやれよ。
こっちの希望が届いたのか、コクピットにヒートソードを挿し込んで終わった。
……俺と同じ終わり方だ……トラウマになりそう……
対戦が終わり、優勝者であるエレボスとテュポーンの名がコールされ、観客の歓声が起こった……
その瞬間……俺達のアナウンスが流れた、全プレーヤーに向けて。
『あ〜あ、只今マイクのテスト中、只今マイクのテスト中。
競技大会の閉会式は海賊団「アメノミナカヌシ」がジャックさせていただきます』
宇宙戦艦が始動する。
ゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴゴ
ゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴゴ
大渓谷の岩壁が崩れ始め、宇宙戦艦の船体が現れてきた。
更に船体が揺れ、大渓谷から徐々に宇宙戦艦が浮き上がり始める。
地面が盛り上がり、大渓谷のそばにあった山が崩れ土砂崩れを起こし渓谷へ流れていった。残った宇宙戦艦の艦橋部分が見えてきた。
『我々海賊団は宇宙戦艦を根城に今後活動を開始します』
宇宙戦艦の上の土砂が徐々に減っていき、船体上部も見えて来た。大渓谷のそばに山以外に凹凸があったが、そこから戦艦の砲塔が姿を現す。
船体の上の土砂が減るにつれ、浮上する速度が上がる。
ゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴゴ ザアァァ
ゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴゴ ザアァァ
……しばらく経つと完全に宇宙戦艦の船体が地面から出てきた。
出てきた宇宙戦艦の船体は張り付いた土がまだ残っているが、日を浴び銀色に煌めいていた。
『現在、宇宙戦艦「アメノミナカヌシ」が浮上しました。これからそちらに向かいます』
宇宙戦艦が空高く舞い上がり、上空で一旦停止し旋回ていく。
向きを変えた途端、一気に加速した。巨大戦艦が加速したところで一気に音速を超えるわけもないが、かなりの高速で移動している。
「なぁ、どこに行ってるんだ。競技大会の会場ってどこにあるんだ?」
『それについてはE.G.G.運営に確認してあります。もう少しで着きますよ。皆さん準備してください』
「「「は〜〜い」」」「「「おう」」」
今回の構成は頭部もファントムで、シールドバインダーも4枚フル装備だ。外装に装飾が増えているが完全にファントムである。
皆の機体がカタパルトデッキに現れる。俺以外の5人は支援機に乗り、俺は自前の飛行ユニットで飛ぶ。
『到着しました。出撃してください』
「静御前、行きま〜〜す」
「だん吉、行くぜ」
「ヴァルトラウテ、出撃する」
「マッカーサー、出る」
「アナビトリア、行くわよ」
皆それぞれかけ声と同時に出撃していった。
最後に俺が出る。
『これは海賊団「アメノミナカヌシ」のデモンストレーションです。
今日は特に何もしませんが、こちらの戦力をご覧ください。
さあ、うちの指揮官のファントム・セラフが登場しますよ』
このアナウンスと同時に俺はファントムをカタパルトで射出させた。
「ヤマト、ファントム・セラフ発進」
### 続く ###




