第047話 宇宙戦艦始動
じいちゃんの所に収穫の手伝いに行ってからしばらく、リアルでは特に問題なく生活していた。
平日はセイラ達に掃除と洗濯を教えてから任せているから、料理に結構専念している。時々、どうしよう?って来るのを手伝うくらいで、ほとんど任せられるようになった。
学校は相変わらずというか日頃から可愛がっている事もあってか、3人共艶っぽくなって更に回りの男子の目を引いている。
コソコソ見てるくらいならいいが、呼び出して手を出そうとする奴が増えてきて俺も心配しっぱなしだ。
同じクラスだからまだいいけど、違うクラスだと心配で眠れなくなりそうだ。
そんな事があったが久しぶりにE.G.G.にダイブしてクサナギのメンテを再開する。
といってもコクピットごとジェネレーターを潰されから胴体は交換し、その他の傷ついたパーツも装甲のみ交換したりで概ねメンテは修了してはいた。
どちらかというとサポートAIと宇宙戦艦の事について話をするために来た。
『マスター、E.G.G.運営から相変わらずメールが届いています。どういたしましょう?』
「まだ来るか。どうするかなぁ。もう浮上させるか、この戦艦」
『いいんですか?確実に目立ちますよ?本意ではないでしょう?』
「テュポーンに負けたてからなんかやる気が出なくてな。あいつらと話してる時に思いついた海賊行為でもするか?
この宇宙戦艦自体E.G.G.への海賊してるようなもんだしな」
『失敬な!私達は呼ばれてここに来たんですから。無理に割り込んできたわけではないんですよ!!』
「そうなのか?」
俺が知ってるファントムの本には「突然現れた」となっている。E.G.G.運営もこんな宇宙戦艦が現れるようなイベントは準備していなかったとしている。
という事は無理矢理割り込んできたと思っていたのだが違うということか。
そうなると運営に協力者がいたのか?
「E.G.G.の運営に誰か協力者がいるのか?」
『今は居ません。過去の開発時に協力者というか、本人が開発に関わっています』
「本人?」
『はい、神田がその本人です。神田自体は別の世界線の人間ですが、問題の開発者の生まれ変わりです』
「神田って今より過去の人間だったよな?別の世界線とはいえ」
そう、過去の時代に生まれ変わっていたはず。こちらで仕込んでおいた処理に神田が過去でそこに繋がるプログラムを組んだということか?
宇宙戦艦自体も別の世界線のゲームから引っ張って来たオブジェクトで、そこにも噛んでた事になるよな?どんだけ転生してるんだ?
何でもありだな、天才ってやつか?
『そうです。だから前世の記憶からこちらに繋ぐプログラムが組めたのです。過去に転生したから出来た事なんですよ』
「確かに……」
確かに、それならこちらに見つけられないセキュリティホールを作っておいて繋げる事が出来る……かもしれない。どうやって世界線と時間を超えているのかは分からないが。
それで繋げられれば、元々こっちの開発者ならやりたい放題出来るか。
なんとも壮大な話だが。しかも、それが愛する人のためとかどうよ?
俺がエリー達を失ったらそこまでの事をやるのだろうか……
「話がそれたが、海賊行為でもやろうかという事なんだが……」
『1機でやるんですか?一応支援機は出せますけど、どのくらいの規模でやるつもりなんですか?』
「全然考えてない!とりあえず、それでE.G.G.の運営に打診してみてくれ。許可が出るなら浮上させて空中を巡回するつもりだ」
『一応出してみます…………OK出ました』
「はい?早過ぎないか?」
『別にどういう形態でも良かったんじゃないですか?独立してくれれば』
「そんなんでいいのか?」
そんないい加減なんで大丈夫か?まぁ、許可が出たからいいか。
メンバーとかどうする?
今日はまだ何もしない。浮上させるかもこれから決めよう。
「なあ、いつ浮上させようか?」
『そうですね、何かのイベントのクライマックスがベストかと』
「なら競技大会決勝だよな。勝敗が決まった所で直後くらい浮上して、ゲーム内全体にアナウンスを流せばこっちに惹きつけられるだろ?」
『いいですね!なんか海賊らしいですね!十分海賊行為ですね。
それでいきましょう!!』
サポートAIも乗ってきた。意外にノリのいい奴のようだ。
ただ、アナウンスを流すだけではつまらない。海賊らしい格好とか装備で雰囲気を出すとするか。
サポートAIもそう思っていたらしく、デザイン案を多数出してきた。
俺としては謎のキャラクターならアイマスク装備が鉄板だと思う。過去の伝説のアニメでは大体主人公のライバルキャラにいる。その上軍服風の衣装で登場すればいいだろう。
サポートAIが女帝的な感じに、俺はその下の指揮官的な感じにまとめよう。
クサナギもデザインを変更する。
ベースのフレームや形状は変えられないが装甲を変える。ファントムはシンプルなデザインだったが、それが分からなくなるくらいに無駄な装飾を付けた。それらはパージ出来るようにして目眩ましに使えるようにした。
カラーリングも青系の色から漆黒にした。エアーインテーク等各部パーツを金や赤にして微妙に派手にしてある。
「これならクサナギとかファントムとは分からないよな?」
『そうですね。70%以上の外観形状を替えてますから、普通は気付かないでしょう。支援機も同じようなデザインに変更しておきます』
「ああ、頼む。後はメンバーだな」
『ラウンジでいつも話している方達でいいのでは?後はケスカのプレーヤーのアナビトリアさんで』
「でも、アナビトリアは可愛いのが好きだから、こっちに合わせるのは嫌がるだろ?」
『魔法少女闇堕ちバージョンなんかはいいと思いますよ?』
「よくそんなギークな案を出してくるな?」
『暇だったのでいろんなプレーヤーの趣味や嗜好、ついでに思考や志向について覗いて今の世の中を勉強してましたから』
おいおい、ヤバいな?このサポートAI。どんだけハッキングしてるんだ?
今の世の中、そう簡単に各PCにアクセス出来ないようセキュリティが強化されてる。過去の事件で社会的に問題が起きたから、かなり強化されたと聞いているんだが。
まだ、E.G.G.にセキュリティホールがある?
「なぁ、どうやってそんな事が出来るんだ?」
『前マスター神田から教えられている抜け道を確認していたら、まだ残っている物が有りまして。
小さい抜け道なんで大した事は出来ませんが、情報収集は十分出来たので使わせていただきました。
時代が進んでも意外に人の趣味や嗜好などは大きく変わらないものですね』
「そんなもんなのか?いろんな物が変わってるだろ。それでもか?」
『それでもです。物や手段が大きく変化しても、好き嫌い、欲等の気持ちは大きく変化してませんでした。生き物というものは根本的にはそれ程精神的に進化しないのでしょうかね』
そんな事は知らないがな。
確かに、愛とか食欲とか性欲とかそんなものは根本的には変わりはしないだろう。
そんな事をAIが知ったところで、何に使うつもりなのかは知らないが悪用しないでほしい。
「とりあえず宇宙戦艦の事は大体決まったな。メンバーには俺が声をかける。
ただ、静御前はまだ使い物にならないと思うがな」
『こちらの訓練ルームで鍛えればいいでしょう。私がしっかり特訓しますよ?』
「それでもいいか。メンバーの件は近々連れて来る」
『では、その予定でこちらもそれぞれのアーマードギアの改装案を作っておきます』
数日後……
だん吉、マッカーサー、ヴァルトラウテ、静御前、アナビトリアをそれぞれしっかり口止めの約束をして宇宙戦艦に連れて行った。
流石に皆唖然としていた……
まぁ、そりゃあそうだろう。
「あの武器とかはここから持ち出したのか?」
「ああ、ここにあったパーツから適当なのを選んでな」
「……でも、変な武器だよな?RPGに出てきそうな武器だし、炎の大剣とかさ」
「マッカーサー、あれな、E.G.G.のパーツじゃないはずだ。
ここの中に『大型兵装』って奴のパーツが転がっていた。それ用のパーツだと思う」
「強化ユニットもそうなのかな?」
「そうだと思う。確認はしてないが。なんで、使えるけどE.G.G.のパーツじゃあないな」
やっぱりマッカーサーも未だにあの武器や盾が怪しいと思ってたんだな。
俺もそんなに信用していない。
それでも、同じ開発者が開発してるんだし、規格が統一されてるから大丈夫大丈夫……のはず。
何かあればこっちでどうにかする。
「で、こいつを使って海賊行為をするつもりだが、手伝わないか?」
「「「「「海賊行為?」」」」」
「ああ、略奪はしない。一時的にするかもしれないが、最終的に返す。
メインはミッションに割って入って潰す事だな。そういうのはルール違反だからな、だから海賊行為だ」
「ほう、でも自分達に実力がないとやられるような案件だが?」
「それに俺達だって分かるのもまずいよな?」
「それについては…………」
後のお楽しみだ。




