第045話-10 収穫・秋祭り 帰る前
昨日は近所の会社経営の農場に見学に行った。
農場は大きな農機具を使って収穫をする大規模な畑や手で世話をし収穫する小規模な畑があり、大規模な畑はうちでは出来ない事なので興味があった。
でも、手で世話をする小規模な畑もいろいろな野菜を作れるというメリットがある。今の時点で珍しい野菜を作るのであれば小規模の畑もいいと思う。
勤務体系も社員の人数が多い分きちんと休みが取れるのはいいと思う。個人営業の農家は自分達やらないといけないから、なかなか休みが取れない。じいちゃんもそうだったと思う。俺がこっちに来ればいくらか休みが取れるようになるはずだけど。
そういうのを考えれば、出張お手伝いのサービスでも起ち上げてくれれば農家さんも楽になるかもしれないかな。
後は、改めて自分の調理スキルは期待されていると思い知らされた。父さんに教えられ、日常的に使っているだけの調理スキルが活かせるのはいい。
独りで何もかもしなければと思って不安だったいけどそんなことはなく、みんなで協力している作り上げればいいと言ってもらえて気が楽になった。
卒業後が楽しみになった。
今日は午後には家に帰る。その前に収穫の手伝いだ。
レタスの残りの収穫を3人も一緒にする。昨日は起きれなかったけど、今日はちゃんと起きれた。実際はアリーシャとエリーがちゃんと起きて、俺と2人がセイラを起こしたんだけど。
少しはレタスの収穫に慣れたようで、幾分速く収穫できるようになっていた。その分、少しはしゃいでる感じだった。
楽しいなら良かった。
レタスの収穫を全部終わらせた。畑には一番外側の葉が残され物寂しさが残る。
「収穫は楽しいけど、なくなると寂しいね。ヤマト、この後はどうなるの?」
「後は朽ちて肥料になるだけだな。また次の野菜の種を蒔けば賑やかになるよ」
「また、収穫に来たいですね」
「その前に春にみんなで種蒔きしに来ようか?」
「また美味しいもの食べれる?」
「ハウスの方でアスパラが収穫出来るだろうし、里山の方に行けば山菜も採れる。アスパラなら肉巻、山菜は天ぷらとかいけるだろ」
「「「それなら来よう」」」
なんというか食べ物で釣って、じいちゃんのところの手伝いをさせてる感じになってる。みんな楽しそうにやってるし、それでいいならいいけど。
その分、俺が美味いものを食べさせてやるぞ。
じいちゃんばあちゃんも聞いてたのか、あれもこれもと美味しい食材を挙げてこ来させようとしてた。実はやっぱり寂しいのかも?
なるべく来ようか……
まとまった休みがあれば……いや、また週末学校が終わってからこっちに来て、1日2日農作業していく事も出来るし。
収穫したレタスは余計な葉や虫食いを取り除いて、選別の後梱包して出荷した。
取り除いた葉をいくらか持っていってサラダにするか。
作業も終わったから、家に戻って朝食にする。今日はばあちゃんとアリーシャ達3人が作ってくれた。焼き鮭と目玉焼き、味噌汁だ。サラダだけ俺がレタスをちぎって作る。
鮭と目玉焼きは少々焦げてはいるが問題ない。鮭なら焦げ目があるのは普通だし。目玉焼きは半熟くらいが好きだから、焦げる前に火を止めれば大丈夫なんだけどね。
味噌汁は豆腐とネギだ。豆腐もネギも形が歪だけど、何度も切れば慣れて綺麗に切れるようになるよ。味が濃い目だけど問題ない。夏場ならこのくらいがちょうどいいかも。今の時期はもう少し薄めてもいい。
「美味しいよ。問題ない」
「味噌汁、味が濃くない?」
「もう少し薄くてもいいけど、このくらいならご飯に合うしいいと思うよ?」
「鮭、焼きすぎちゃった」
「大丈夫大丈夫。焼き物は多少焦げ目があっても問題ない」
「目玉焼きはまた焦げてしまいました」
「前のより全然焦げてないよ。気になるなら、焦げる前に火を止めて余熱で焼けばいい」
うんうん、少しずつ良くなってるよ。
その内ちゃんと作れるようになる。俺の時より全然いい。
「そうだな。全然美味しいぞ。なあ、ばあさん」
「ああ、すぐにうまく作れるようになるよ。ヤマト、責任持って教えるんだよ」
「いいけど、なんでまた突然?」
「3人共家の事をいくらか出来るようになりたいんだそうだ。お前だけしか出来ないよりいいだろ?」
「そりゃあまあ、いいけど。エリー達3人のために作る回数が減るんだけど」
「我慢しな。3人共お前のために作ってやりたいんだとよ。それを受け入れてやんな」
「…………分かった」
セイラ達3人が意欲的にやってくれるのは嬉しいけど、ちょっと寂しい。
確かに、学生のうちは今のように出来るからいいけど、実際にこっち来て農業を始めて付き合いも増えれば今のように出来ないと思う。
でも……付き合いが増えて忙しいから出来ないという言い訳も、なんか嫌だなぁとも思う。
折り合いは付けなきゃいけないけど、なるべくなら食事とか自分で美味いものをちゃんと食べさせてあげたい。
「ヤマト、これについては帰ってからちゃんと説明します」
「そうだよ。別におばあちゃんから無理に言われたりした訳じゃないからね?」
「うん。私達もやれば出来るとこを見せたいんだから」
「そう言うなら帰ってきちんと聞くよ。でも、3人の世話できないのも寂しいんだからな」
「「「うん、分かってる」」」
という事で、まぁ話は帰ってからに持ち越しだ。
朝食も食べてたし、しばらく休憩してから午前中の畑の世話をしよう。
3人と母屋の居間でごろ寝する。もう、アリーシャもエリーもここに慣れたようだ。来た時とはリラックス具合が全然違う。
3人よりまた早く目が覚めたから、起きてばあちゃんとさっきの事について話す。
アリーシャ達3人を可愛がってるばあちゃんが無理矢理言わせてるわけはないことは分かってるけど。
「さっきの話だけど、ばあちゃんが無理に進めた話じゃないんだよな?まぁ、そんな事をばあちゃんはしないはずだけど」
「セイラちゃん以外の2人はちょっと気にしてたんだよ。何もしてないのはいいのか?って。それで今回ご飯の準備をさせてみたんだよ」
「こっちの時間が足りなくなれば協力してもらうつもりだったけど、まだ学生で時間があるから考えてなかった。いきなり出来る訳もないしな。徐々にやってもらうようにするよ」
「無理矢理覚えさせたりはしないようにな?」
「そんな事したって覚えられないよ。特にセイラは。気長にやるよ」
ばあちゃんと話をしてるとエリー達3人が起き出してきた。
もう当たり前のように、ばあちゃんにもらったフードやアームカバーを着けて畑の世話に出かける。
収穫はじいちゃんとエリーに任せ、セイラとアリーシャは雑草取りや水まき、俺は土寄せなどしていく。
土寄せはセイラもアリーシャも見たことがなかったので、珍しそうに眺めていてた。ネギやじゃがいもは土寄せしないと商品にならなくなってしまう。その理由を説明すると感心したように頷いていた。
「ヤマト、野菜って単純に植えておけばいいわけじゃないんだ?」
「そうだな。肥料を追加する必要があったり、果物なんかは実を袋に入れたりいろいろ手間をかけなきゃいけないことがあるんだよ」
「こういうの使い方を覚えた方がいい?」
「やりたいなら今度教える。機械でやったり鍬を使って手でやったりするから」
「「やってみたい」」
農作業は種蒔きや収穫、水撒き、雑草抜きだけじゃない。いろいろとやる事はある。実際に農業を始めれば覚えてもらわないといけない。いずれは覚えてもらうつもりだ。
今後何度かここに来ると思うけど、その時にそういう作業があれば積極的にやってもらうし、特に今度来た時に土寄せの必要な野菜があれば教えることを約束した。
収穫の終わったエリーと一緒に4人で他の畑を回って雑草抜きや水まきをしていく。
またしばらく来ないし、歩きながらエリー達3人はここの風景を目に焼き付けているようだった。来る気になればすぐ来れるんだけどな。
今後はもうちょっと頻繁にここに来る事もいいかもな。
### 続く ###




