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TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-  作者: EPO


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第045話-8 収穫・秋祭り 秋祭り2

 夕方まで4人で昼寝をして、俺は先に出かける。屋台の準備だ

 セイラ達は後からばあちゃんと一緒に来ることになっている。


「よう、新人くん。準備は大丈夫かな?」

「ええ、下ごしらえは済んでますから、後は焼いていくだけですよ」

「そっちは大丈夫かい?」

「ええ、鉄板で焼いたことはありますから。後はここの鉄板のクセを覚えるだけですね」

「嫁さん達は来るんだろ?店の手伝いは……」

「一人ずつ交代でしてくれますよ。ただ、奉納の舞の時は観に行くからいませんけど」

「そりゃあ仕方がない。お前のとこが一番売れると踏んでるから頑張れよぉ」

「頑張りますよ、やるからには」


 祭りの開始時間にはまだ早いが試しに作り始める。玉ねぎに漬け込んでいた猪肉を焼いて、更にキャベツ、玉ねぎを焼いていく。麺も焼くけど、出汁を少しかけほぐす。両方に軽く塩コショウして混ぜ合わせ、焼きそばソースをかけ味を馴染ませて完成。

 器に盛り付け、青のりをふりかけてお客さんに出す……って感じだな。

 塩味のも作って、両方味見をした。


「大丈夫そうだな。時間までにいくつか作り置きしておかないとな」




 祭りの始まりの時間だ。すでに作り置きも準備し、焼きそばの匂いが回りに漂ってる。これならお客さんも寄って来るだろう。

 スタートの売れ行きを見て、追加を作ろう。


 そんな事を考えてるとアリーシャ達が来た。


「「「来たよ〜」」」

「おう、こっちに入って。回りにケダモノがいるから」

「「「??」」」


 屋台で買い物をした事があっても、売り子をした事はないだろう。3人共中からの景色が珍しそうだった。

 3人に手伝いの事を教えて、お客さんに対応してもらう。

 まだお客さんが少ないが、焼くそばはたこ焼きと並んで人気商品だ。どんどんと売れて作り置きが減っていく。

 お客さんの対応を3人に任せて、俺は焼きそばをどんどん作っていった。

 最初はアリーシャが売り子をして、セイラとエリーは屋台を巡ってる。


 祭りに来た人が増え、美少女が売り子をしてる焼きそば屋という事でお客さんがいっぱい来た。

 基本的にこの辺の集落の人間だけでやってるお祭りだから、どこの子か聞かれることが多く、俺がそれに答えていった。

 この辺の顔役ということでじいちゃんはよく知られてて、「お孫さんとお嫁さんか、いいねぇ」とか言ってた。多分後でじいちゃんの方にも言いに行くんだろう。


 そうしているといつもの若手をまとめてるあの人が来た。


「よう、買いに来たぜ」

「いらっしゃいませ〜」

「今は1人か。他の2人は?」

「屋台巡りしてますよ」

「あいつらが後で見に来るって言ってたぜ。気を付けてな」

「え〜、忙しいから来なくていいですよ」

「ガハハハ、巨乳美少女嫁って言ってあるからな。見に来たくなるんだよ。よろしくな。ソースと塩1つずつ」

「は〜い」


 その後もお客さんが引っ切り無しに来たが、予告通りこの辺の男衆も混じって焼きそばを買いに来た。

 途中エリーやセイラに交代すると、前にも買っていったはずの男衆がまた買っていった。どれだけ食べるんだ?

 それにさっきもどこの子か聞いてきた人がまた声をかけてきて、「嫁さんです」って答えたら「何人お嫁さんにするの?」って驚かれた。


 材料が残り少なくなり最後30分くらいは3人勢揃いで対応したため、この辺の男衆だけでなく近くの会社経営している農場の男性社員や遊びに来た親戚の若い男達まで集まるようになってしまった。

 ずっと売れ行きが好調だったところに更に客が来たので、流石に祭りの最後まで保たず品切れで終了した。

 それでもなかなか屋台の前から離れず、セイラ達を見るためにそこに残っていた。

 ……そして……

 エリーが俺に買って来たたこ焼きを「あ~~ん」してくれて、アリーシャがベビーカステラを「あ~~ん」して俺の口に放り込んでくれて、セイラが食べかけのチョコバナナを俺にくわえさせたところで、みんな絶望したような顔をして離れていった。ようやく分かったらしいし、見せつけられるのが辛くなったようだ。

 その様子を見てた回りの年配の人や女性の人達は笑って見送っていた。そんな事をしてるから女性に相手をしてもらえないのでは?と思うのですが。


 奉納の舞の時間までまだあるから片付けをしておく。3人にはまだ買い足りないなら他の屋台に行ってきていいぞと言ったけど、もう満足したらしく手伝ってくれた。

 3人には箸や容器のゴミをまとめておいてもらって、俺の方で鉄板の方のゴミの片付けや手入れをする。結構こびりつくので力を入れて時々取り除いてはいたけど、まだそれなりに残っていた。


「お?もう終わったのか?」

「ええ、食材がなくなりましたからね。若い野郎共が押しかけてきて」

「それは悪かったな」

「いえ、他の所の男共も来てましたしね。

 でも、子供や女性、年配の方を優先して出してましたから、それほど問題なかったですよ。野郎共も文句言わなかったし」


 群がってた野郎共も、流石に子供や女性、年配の方を押し退けてまで買っていかないだけの分別はあった。特に女性を怒らせたら更に相手にされなくなりかねないからな。

 その分扱いやすかったからいいけど、これがまるっきり関係ないところから来た人達だったら揉めてただろうな。


「ならいいけどな。買った焼きそば美味かったよ。うちの奥さんも美味いって。『今までの屋台の焼きそばはゴミだ』って言ってたよ」

「そんなに大したことはしてませんけどね。ソースと塩味を分けたくらいだし」

「いやいや、そんなもんじゃあ出ないような違いだったぞ?」

「そうですか?ならいいんですけど。

 来年はどうなるか分かりませんよ?卒業したら参加しますけど」

「出来れば来年もやって欲しいがね」


 そんな勧誘を受けてたら、そろそろ奉納の舞の時間だ。

 いい場所で見れればいいんだけど。

 舞を舞う舞台に向かう。一度行ったけど、多くの人がそっちに移動しているからそれについていく。

 途中、じいちゃん達が詰めてる本部に寄って、売上を全部渡した。


「もう終わったのか?」

「ああ、食材全部使い切ったし、片付けも粗方済ませてる。

 アリーシャ達3人目当ての客が多かったから、全然客が切れなかったよ。リピーターも多かったし」

「ほう。買ってきてもらって食べたが、美味かったぞ。

 ここに居るみんな美味かったってよ。来年もやらせようとか言ってたぞ」

「勘弁してよ。来年はまだ学生なんだからさ」

「じゃあ、再来年からまたよろしくな」


 こっちに住むようになってからなら問題はないだろう。また同じようにうちの看板娘3人が手伝ってくれれば早く完売するだろう。

 たこ焼きがいいか、お好み焼きがいいか、また何か別の屋台にあまりないような料理なんかもいいかもしれない。

 時間を作っていろいろ考えたいな。




 本部を出て舞台の方へお客さんの流れに乗って移動する。みんなはぐれないように俺の両腕とかに掴まってる。

 そのせいもあって、回りの男共の視線がピリピリ痛い。でも、そんなのは関係ないからな。


 舞台は神社の社の近くの広場に設営されていた。なるべく多くの人が観られるように、回りの空間も広く取られている。

 俺達もそこに来たけどもう結構いっぱいで見やすいところには行けそうにない。

 仕方が無いのでここいらで観ることにする……と、舞台の上から今日の巫女をする昨日会ったあの人の奥さんがこっちに声をかけてきた。


「美少女ちゃん達~、前においで。再来年からやってもらうんだからしっかり観てよね」

「「「「??」」」」


 この一言にみんながこっちを振り向き「おおっ」と言って、舞台までの道が海が割れるかの如く舞台までの道が出来てしまった……

 これは行くしかないのだが、俺も行っていいのだろうか?


「前に行くか?」

「うん、もっと前で観たい」

「アリーシャがそう言ってるけどいいか?」

「「うん、でも私達も巫女やるの?」」

「持ち回りでやってるみたいだからな。いずれやらなきゃならんだろ?最悪アリーシャが3年連続でもいいと思うけど」


 ということで舞台の前まで恐る恐る4人で進む。

 アリーシャは喜んでいるけど、俺は回りの目が怖い。美少女を3人も連れている俺に殺してやろうかというくらいの目つきで俺を睨んでいる。この辺の農家の若い人はもう知ってるから、まだそこまでではないけど、それ以外の人の目は厳しい。


 なんとか舞台前まで来た俺達は、ある意味特等席で舞を鑑賞することになってしまった。

 そうこうしていると雅楽の演奏が始まる。録音されたものなのか実際に演奏しているのか分からないけど、流麗な音色に回りの雑音がどんどん静かになっていく。

 俺達も舞を真剣に観なければいけなさそうだ。


 舞台の上で巫女が舞い始める。錫杖の鈴が厳かに鳴り、舞台の前の方に巫女が進み出る。

 回りが完全にシーーーンとした中で、雅楽の演奏の音と錫杖の鈴の音が神聖な雰囲気を醸し出す。

 くるくると回ったり、前後左右に移動したり、錫杖をシャンシャンと鳴らしたり、脚を踏みならしたりし、なめらかに動きながら舞を舞う。

 巫女服の裾が揺れ靡き、巫女の動きと相まって非常に綺麗に見える。アリーシャがやりたがるのも今なら分かる。


 そのまま30分くらい舞い続け、奉納の舞は終了した……




 舞が終わり、皆が舞台の回りからどんどんと帰って行き静かになっていった。

 巫女様が舞台から降りてこちらに来た。


「どうだった?私の奉納の舞」

「すっごく綺麗でした。私も早くやりたいです」

「そうですね。想像以上に綺麗でした、舞が。アリーシャがやりたがるのがよく分かりました」

「「私もやりたくなったかな」」

「よっし。これで巫女をしてくれる若い子が増える。私もそろそろ厳しいんだよね」

「でも、凄かったですよ?」


 本当に凄く綺麗で神聖なものに感じる舞だった。まだ大丈夫だと思うんだけど。

 エリー達3人もうなずいているし。


「いやぁ、体力的にね。30分くらい踊るのはもう超疲れるのよ。そろそろ後半滑って転んでもおかしくないくらい。

 来年は別の子がやるからいいけど、もう再来年はほんとに厳しいって思ってたのよ。だからよろしくね?」

「はい、頑張ります」

「よし、再来年は確保した。その先はそっちの2人によろしくお願いしたいね」

「「頑張ります、多分」」


 再来年はアリーシャの巫女服姿が見れそうだ。ただ、サイズが大丈夫か?うちの他の2人も大きいよ?

 秋祭りに楽しみが増え、屋台のゴミの片付けをしてから今日は帰ろう。


 ……そういえばよく声をかけてくれるけど、名前聞いてないんだよなぁ、どうしよう?


### 続く ###


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