『速記者に使われるキツネと虎』
速記者がプレスマンを持って山に分け入りました。けものといい鳥といい、速記者の姿を見ると、いえ正しくはプレスマンを見ると、これを恐れて逃げていきましたが、虎だけは、速記者に戦いを挑んできました。
速記者が、虎に向かってプレスマンを投げつけますと、プレスマンは見事に虎をとらえ、虎に大概な傷を負わせました。
虎は、二本目を受ける前に逃げ出しました。速記者は、キツネに追うように命じ、壮大な追いかけっこが始まりました。傷を負っていなければ虎のほうが圧倒的に早いのですが、このときはキツネに追いつかれてしまいました。キツネが、
「ふだんは強さを誇っているあなたがだらしないことです。私の主人を待ち受けて戦う気概はないのですか」
というと、虎は、
「速記者に使わされたお前に追いつかれてしまったのに、速記者自身に追いつかれたら、どんな目に遭わされるかわからない」といって、走り去っていきました。
教訓:プレスマンが刺さったら、多分痛い。