表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

不登校

入学式直前で骨を折り、5月末まで入院。

6月から学校に行けたが、その時には仲の良いグループがいくつか形成され、俺はそのどれにも属せずにいた。

そんなこともあり、自然に不登校になっていった。


気が付けば、ゲームをしてご飯を食べて寝る、という生活が3か月続いている。

今話す人と言えば、親と週に一度だけ来る担任だけだ。

元々話すのが苦手だったが、今回のことがあってから更に人と話すことが怖くなった。


今日もゲームをしてご飯を食べて寝る。いつもと変わらないと考えていた矢先、インターホンが鳴る。

そうだった。今日は先生が来る日だった。


気だるい身体を起こしてチャイムに出る。


「はい」

「すみませーん、岩田くんの家で合ってますかー?」

そう言ったのは担任の先生ではなく、見知らぬ女子だった


「そうですけど、誰ですか…?」

「あ、すみません。岩田君のクラスメイトの東です」

あずま、と名乗った彼女に俺は聞き覚えがあった。


学校に行き初めて孤立していた俺に唯一話しかけてくれた人。

名前までは知らなかったが、容姿端麗で学力トップということだけは噂で知っていた。


「今開けます」

そう言って俺はドアに向かう。

そんな高嶺の花のような人が何の用だろうか。

そう思いつつ鍵を開ける。


「急にごめんなさい…!先生が休んじゃって、今週のプリントを私がお願いされて…」

なるほど。この人はおそらく、断れなかったのだろう。

「私も岩田くんと話したかったから来ちゃいました」


「は、はあ…」

恋愛経験のない俺はそんな言葉で勘違いしそうになるが、こんな人に言われたら誰でも意識するか、と考えつつ俺は話を続ける。

「あ、ありがとう。そのプリント」

「来て話したかったからいいよ!そんなことより、ここで立ち話もなんだから上がってもいい?」


それは俺のセリフだろ…と考えたが口には出さず、とっさに東さんの問いに答える。

「え?…散らかってるから……」

「そっか、お邪魔しまーす」

と、俺の制止も聞かずに家に上がっていく。


人の噂から、東さんはもっとおしとやかな感じだの人だと思っていたが、それとはまるで正反対の人だ。

俺はそんなことを考えつつ、急いで後を追う。


家に入ると、東さんはリビングに到達していた。


「ここがリビング?」

「そうだけど…はいここ、座って」


そう言って俺は、東さんに座ってもらうように椅子を引く。

「ありがとう…あ、コーヒーでいいよ」

「いやそれ、俺が聞いてから答えるものだからね…」

今回はツッコまずにはいられなかった。

東さんといると、どうも調子が狂うという事が分かった。自由奔放、とでも言うべきか。


俺はそっとキッチンに向かい、コップに麦茶を入れ、東さんのほうに持っていく。

「えー、コーヒーで良かったのに…」

「すみません、コーヒーがなかったので」


俺がそう言い終わると、クスクスと笑い始めた。

「面白いね、岩田くんって」

そう言い、麦茶を飲み干す。


「え、何が?」

と聞くのと同時に、彼女から質問をされる。


「岩田くんの部屋はどこ?」

唐突にそう聞かれ、変なリアクションをしてしまう。

「今日会ったばっかなのに…?」

「えっ…あっごめんね、男の子の部屋入ったことなくて、どんな感じなのかなって…」


男子の部屋に入ったことがない。彼女は今、そう確かに言った。

冗談か本当か定かではないが、そんなことを言われて拒否するほど、俺は鬼じゃない。


「じゃあ行く?俺の部屋」

そう俺が提案すると、さっきまで曇っていた顔が嘘のように明るくなる。

彼女は二度頷き、立ち上がる。


「行こう!部屋どこ?」

「階段登ってUターンしたところに…。ちょっと待ってて!部屋が…」

思い出した。今起きたばかりだから、部屋が散らかっている。


「よーし、行こう」

と、また俺の静止を聞かずに部屋に向かっていく。

俺は腕を掴んでなんとか止める。


「え、えぇ〜」

変な声を出した方東さんの方を向くと、顔を真っ赤にしていた。

強すぎたのか。痛かったのか。


「ごめん、痛かった?」

そう俺が聞くも顔を背けられてしまった。

「いや違くて…ごめん、もう帰るね」


そう言って足早に家から出ていってしまった。

やっぱり何か怒らせてしまったのだろうか。


モヤモヤした気持ちで彼女を見送り、いつも通りにゲームをして、寝た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ