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王女アリスはツリーの下で前世の夢を見る  作者: 漆あんか
第二章

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75 排他的な君とのデカダンス アシェルside

アシェル視点です!

「お前はもう用無しだ。早く帰りなさい」


「えっ、でも────」


唐突の、ミシェルの言いよう。


僕はまだ“山の塗料”を手に入れていない。

このままアリスの元へのこのこ帰るわけにはいかないじゃないか。


アリスと結婚の為の約束を果たせない。

いや、すぐに結婚するわけじゃなくて、婚約だけでも契約書を交わして婚約式を盛大に挙げておきたいのだ。


エヴァグリーン国唯一の王族であるアリスは、様々な悪い奴らに狙われている。早く婚約を明確にしておかなければ、ずっと王家の血筋と婚姻を結びたいやつらに付き纏わられ続けることになる。


だけど、ワンマンで頑固者のミシェル閣下は僕達の婚約には乗り気ではないようで。

アイツ····まさかアリスの夫の座を狙って、僕達の邪魔をしようってんじゃあないよな???

年齢差が甚だしい爺が身の程を知れってんだ。

しかし、奴は一応はディスィジュエス共和国の最高権力者ではあるので、表面上は命令を聞かないわけにはいかない。




「「中央(アイヅシティ)へ帰るの?やったあ!!」」


双子のルートとルーラは声を合わせて歓声を上げた。

アリスの護衛はミシェルがプロの兵団に任せたので、僕の随身である彼らは僕の方へ連れて来た。“山の塗料”はまだ未知の代物で、秘密裏に効率良く収集できる人員が必要だった。この双子は総合的な運動能力はずば抜けて高いのだ。

もちろん念の為、僕からもアリスには他の随身を隠密でつけているので心配は無いと思う。


「アシェルはワープして帰るんでしょ?」

木人形(ぬけがら)と荷物は後で僕達が運べばいい?」

ルートとルーラは帰還命令が下ったことを知ると、嬉々として荷造りを始めた。

そう、僕は木人形でこの地へ来たので、帰りは中央にある本体までワープして一瞬で帰ることができる。


「ああ。ここから中央までは遠いし。

······················アリスに早く会いたいし」


「だよね!」

「やれやれ、自分だけ長い道程をすっ飛ばしてワープだなんて······そんなズルをして。部下から呆れられるよ?ちなみに俺はとっくに呆れている!」


高い文明水準を誇る我が国でも、身体の本体が健在なのに木人形を使用しているのは僕ぐらいだろう。

今は木人形の製造量が圧倒的に不足している為、身体に障害等が無い者の全身木人形の購入は法で禁じられている。

僕は木人形を自作で作ったし、幸い医師の(偽造)診断書は簡単に用意することができるので特に憂慮はない。


「でもさ、どうして?

戦場でも時間を見つけて、置いてきた本体へ乗り移ってアリス様に会いに行くことができたんじゃない?結局やらなかったよね?」

ルーラが鋭いところを突いてくる。


「マロウ家が···········」


「「え?マロウ家が?」」

ルートとルーラはマロウ家出身だけど、今は僕の直属だから事情には明るくない。


「マロウ家の奴ら、僕が国境の戦場へ視察へ行くと言ったら、危険だから木人形で行けと煩くてさ。それは僕も同じ意見だったからいいんだけど、僕の本体をマロウ家で厳重に預かるって、僕が出発してから本体を持って行っちゃったらしい。だから自由に本体に戻れなかったんだよ」


あちらに配置していた随身から報告があったのだ。

僕は政府へ勤め始めてから、激務なのもあり、広大な白い議事堂(ホワイトルーム)の一角を間借りして暮らしている。それ以来、ほとんどマロウ家には帰っておらず最近は揉めていた。


「ああ、なるほど、確かに中身が空っぽの本体ほど無防備なものはないよね。

普段のお忍びで木人形を使う時は、本体は俺達が守るけど、今回は俺達も一緒に来ちゃったからね。アリス様よりもっと自分の本体に護衛をつけた方が良かったね」

「アシェルの身体はマロウ家にとって一番の家宝だもんね!今頃は金庫に仕舞われてるんじゃない!」


「やめろよ。ゾッとする」

全然あり得そうで気持ち悪い。


やれやれ、これから目を覚ましたらマロウ家に居るかもなんて、最悪だな。

僕は策略と謀略渦巻く悪魔の巣窟のような実家にはほとほと嫌気がさしていた。

さっさと母上と離婚して逃げたミシェルが正直羨ましいぐらいだ。

僕はマロウ家を継ぐつもりはなく、アリスと結婚する時に新しい家門として独立したいと考えているのだ。


僕の理想は大きな館に夫婦で二人っきりの生活だ。

うん、ちょっと淋しいくらいがいい。

だから他の家族は誰も要らないし使用人だって要らない。

(うんうん、核家族って素敵だよね·······)

淋しいくらいまでに完璧に、邪魔者のいない場所でアリスと二人っきりで生きていきたい。

それが僕の一番の将来の夢だった。


でも、僕はあの山奥の魔女の館を訪れることで前世の記憶を取り戻した。

図らずも、少しずつ状況が変わってきているのを感じる。

僕は、あの魔女に僕の大事な夢を壊されたくない。それにはやらなくてはいけないことが増えてしまったのだ。


「じゃあ、後はよろしくね」

僕はルートとルーラに挨拶して、

急いで目を瞑った。




僕は戦場から戻って来た。


「あれ、ここは········」

目を覚まして辺りを見回せば、マロウ家で暮らしていた時の僕の部屋だった。

部屋の中は私物は自分で片付けたから空っぽだ。それでも調度品はそのまま埃を被ることなく清潔に保たれているようだ。

この部屋の壁いっぱいに、アリス王女の肖像画と王国まで潜入して隠し撮りさせたブロマイドが所狭しと貼っていたのは、今では懐かしい思い出だな。


「あれ、おかしいな·······」

身体が思い通りに動かせない?


「お坊ちゃま、お帰りなさいませ」

どうやって気配を察知したのか、マロウ家の執事がやって来た。僕の部屋のある棟を担当している執事だ。


「ああ、お前か··········どうなってるんだ·········」

僕は全身に寒気を感じながらもベッドから立ち上がろうとするが、それも上半身までで、足が動かせない。


「何がでございますか?」


「•••••••マロウ家は、僕の身体に、何をした••••••••••••••!?」

本体に入る時に、こんな症状は初めてだった。


「何を、··········ですか·······?」

しかし、いつも通り微笑する執事はそのままポーカーフェイスを崩さない。



クククククククククククククク

突如、部屋に不穏な嗤い声が響いた。


「誰だ!!?」

不気味な女の笑い声だ。

いつの間にか、他にも人が部屋に入り込んでいたらしい。

僕は丸腰ながら、ベッドの上で身構えた。


「ククク•••••••ホホホ•••••••あーーーおかしい••••••

目が覚めたのね。アシェル?」



「え、は、母上?」


部屋の隅の暗がりに立つ、

不気味なその人物は


確かに、久し振りに顔を合わせる 母上だった。


不定期投稿でご迷惑をおかけしております m(_ _)m


読んでいただきありがとうございます!

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