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王女アリスはツリーの下で前世の夢を見る  作者: 漆あんか
第二章

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58/85

58 戦車とキャタピラーと地響きと

一度投稿しましたが、長くて話の内容も切れるので、後半を切り取って次回へ移動します。ご迷惑をおかけします。(2/15)

その日は晴天で、まさに進軍日和。

一昨日から空襲の音沙汰は無く、空には白い雲がのんびりと浮かんでいる。



ガガガガガガガガガ··········

戦車のキャタピラーの装軌音が城内に響き渡る。


来たるべき時がきた。

半廃墟と化した城に身を潜ませ外を窺っている人々。

これは戦争に訪れた戦車ではない。

そう事前に話を聞いていてもディスィジュエス共和国の終戦への助力を疑う城内の者は多い。


遥か向こうの森の間から現れたのは15台もの戦車だった。

だけど、地上から爆撃とミサイルで執拗に狙われ続けた人々は、いまさら地響きを上げながら近づいてくる戦車を怖がるような者はいない。騒ぐことなく物珍しそうに注視している。少しずつ人々が城門の広場へと集まって行く。


私も城門へと急いだ。

城門へ着くと、カインもサディス様もすでに待ち構えている。見ればヒューゴ先生もいて挨拶を交わす。

生き残った貴族達に今日の会議の為に城へ招集がかかっている。この国の行く末を決める大事な会議だ。



先頭の戦車をよく見ると、ハッチが開いていてひょっこり頭を出している人がいる。



「アリスーーー!」


「··········アシェル!」


アシェルが一番のりで戦車から飛び降りてきた。

もう一月近く会っていなかったので懐かしい。


「聞いたわよ······あれから大変だったんでしょ?」

「ははは·······あの夜は、独房に入れられて、3日間は外に出られなかったよ。アリスとの木人形での通信も禁じられちゃってたんだ」


それで今日まで連絡が無かったのね。でも、もしやられていたら、通信の度に乗り移られるカインが全力で怒り狂っていたと思うから助かったわ。


それにしても、誤解だってあれほど説明したのに独房にまで入れられるなんて、ミシェルは厳しすぎる。

それとも、アシェル········本当に私の木人形に不埒な真似してたんじゃないわよね?

私の胡乱な視線をものともせず、アシェルは両手で私の手をギュッと包み込んだ。

暫し感触を楽しむようににぎにぎしてくる。


「あれれ·······」


温かい、柔らかい。

アシェルの手の肌がしっとりと吸い付くようだわ。

もしかして、


「これで、お揃いだね」

「············これって、アシェルの本物?」


「うん、君も本物、だね」


アシェルは私の手の甲に口づけて上目遣いで私を見つめ、悪戯っぽく笑った。

私は初めて出会った本物のアシェルを一生懸命見つめた。

アシェルは木人形の時とほとんど変わらない。あの木人形には何の手心も加えていなかったのだ。

それに比べて、ボン・キュッ・ボンの超絶理想体型の自分の木人形を作った私は恥ずかしくなってしまう。


「離れろ」

カインが私とアシェルの間に入ったと同時に、


ゴッゴツンッッ


アシェルが視界から消えた。

ゆら〜り、

握り拳を下ろしたミシェルが、こちらを振り返り慇懃にお辞儀した。


「アリス様、部下が失礼をして大変申し訳ありません」


「いえいえ、···········お気になさらず。

あの、その、挨拶の内ですわ」


エヴァグリーン国では手の甲にキスってけっこう普通にやるから平気よ?

比べてスキンシップの少ないディスィジュエス共和国では行き過ぎていたのかもしれない。


「不純な気持ちでやれば、それはもう挨拶ではありません。彼に至っては完全に不埒な行為です」


ミシェルは地面にしゃがみ込んで頭を押さえているアシェルを冷酷に見下ろしていた。

元息子に厳しすぎるっ!!



「コホン、で、では条約の調印に関しての会議を行いますのでこちらへお越しください」


ミシェルの迫力に気圧されつつも、カインは皆を城内の謁見室へと案内する。


カインはミシェルの厳格な様子を見たからか、

「アシェルには厳しい上司がいるんだね。少し安心したよ」

と私に耳打ちした。


「ふふっ、カインとアシェルって案外気が合うんじゃない? 逆転の発想って大事よ。いっそ友達になってみたら?」

「やめて」

私の提案は即座に却下された。



読んでいただきありがとうございます♪


Twitterへのリンクを貼っています。小説のイラストもありますのでよかったらお越しください

(イラストは活動報告欄の過去ログからもご覧いただけます)


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