47 その夜のお茶会は突如始まる アリスside
「アリス様!これがお茶会のタイムスケジュールとのことです」
エヴリンが薄紫色の封筒を持って来てくれた。
中にカードが入っている。
ふむふむ·······?
会場 白い議事堂
20:00~23:00ディナー/ バー
23:00~3:00 クラブ
3:00 フィナーレ
「·······へえ、ここに『クラブ』ってあるけど??」
お茶会要素はどこに?
クラブって·····前世でいうあのクラブだろうか、違う意味のクラブだろうか。
会場はまさに、私が滞在している白い議事堂で開催されるようだ。広大な敷地のようだからそういったエリアもあるのだろう。
「ピークの時間帯はだいたい12:30~2:30の間かな〜」
「仮眠室もあるので眠くなったら言ってね!」
夕方になると、アシェルが自分の随身のルートとルーラを手伝いによこしてくれた。
二人は男女だけど瓜二つで双子。歳は私よりちょっと年下っぽい雰囲気。黒髪に黒い瞳の少年少女は今日は華やかなドレスと燕尾服を着ている。かわいい!よく似合っている。
「やっぱり王女だったんだな」
「王女様、顔なんで隠すの?めっちゃかわいいのにもったいな〜い!」
二人はそれぞれ別の事を同時に口を揃えて捲し立てるように話す。聞き取るのが大変だ。エヴリンと分かれて一つづつ返答するようにしているけど、もし一人で応対するとなると難しいと思った。
アシェルは適当に聞き流していたけど。
お茶会は、バーやクラブとの記載があるのを考えると、結局ナイトクラブのようなものということ?
ピークの時間を聞いてもそんな雰囲気だろう。
私のイメージは今だにアフタヌーンティーのようなイングリッシュティータイムを夜中にやるみたいに思ってたんだけど。そしてほんの一時間ぐらいのものだと。
深夜3:00に終了とは········いつ寝るの?
仮眠室ってガチで宿泊してもいいかな?
これは思ったよりそうとうハードそうだと溜息をつく。何なら今日はこうやってダラダラ用意して過ごすよりビシッと日中に睡眠をとった方が有意義だったかもしれない。
「ところで、白い議事堂ってお茶会(ナイトクラブ?)が開けるほど大きい場所なの?」
私はここに来て日も浅いので、この地の全体像がイマイチ掴めない。
「うん!大きいよ〜広いよ〜!」
「ていうか、外でやるみたいだよ。巨大プールと、世界一大きい噴水がある場所で!」
でた!世界一!
本当に世界一が好きな国よね。俄に楽しみになってくる。 そんな珍しい場所が近くにあるなら散歩で行ってみても良かったわね。
会場にはこの4人で行くことになる。
夜も8時ともなると、とっぷり暮れている。
同じ敷地内とはいえ、主催者であるCP党党首のはからいでお迎えの車が来ていた。
車は立派な黒塗りのリムジンで、中にはスクリーンが設置してあり、このディスィジュエス共和国の名所などの観光ガイドが流れていた。
会場に入ると、とにかく眩しくて目が開けていられない。
天井という天井に大きなシャンデリアが幾つもぶら下がっている。
会場は立食形式のパーティだ。あまりに自由な形式はアウェイな私達にはよけいに所在ない。私達はとりあえず、沢山並んでいる近くの丸テーブル席を一つ選んで着席した。
「食事を頂いて来ますわ!」
エヴリンは、すぐに席を立ってこの国の皿料理が所狭しと並べてあるテーブルの方へ行ってしまった。
エヴリンが目を輝かせてディスィジュエス料理をお皿によそっている。
「食事は済ませましたか?」
見ると給仕の係の人のようだ。私がぼけーっと座っていたから気にしてくれたのだろう。
「食事がお済みでしたら、ティータイムのご用意もありますよ」
にっこり笑った給仕さんは若い男性で、とても気が利く人のようだ。
ワゴンには既にティータイムに必要な用品が全て揃っていた。
「あっお茶もあるんですね」
と、私が驚いたように言うと、その給仕さんはちょっと考えてワゴンを指して言った。
「もちろん。『お茶会』ですからね。この会場にあるすべてのものは、これの添え物ですよ」
なんて大袈裟な事を言うのだろう。
私は笑ってしまい、お茶を頂くことにする。
お茶を受け取っていると、向こうからアシェルがやって来るのが見えた。
私と目が合うと、軽く頷いた。アシェルは少量の緊張感を纏っている。
それに続いて、何処からともなくパラパラと人影が集まってきた。
それぞれが私のテーブル近くのテーブルに着席していく。
「········!」
気づくと、私の周りには、立派なお茶会の会場が。
アシェルはさっきの給仕さんに向かって慇懃に礼を取って宣う。
「·········閣下、お茶会の準備が整いました」
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