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王女アリスはツリーの下で前世の夢を見る  作者: 漆あんか
第二章

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41 交替劇はスマートに アリスside

「えっっ、誰ですの······?」


エヴァグリーン国から来た偽物王女さんは顔を包帯でぐるぐる巻にしていた。持病の湿疹が再発した事にしているそうだ。

ここは貴賓室で、ディスィジュエス共和国の髄が凝らされた最高級の部屋だそうだ。

アシェルのお陰で何とか忍び込めた。しかも警護兵まで退出させてもらえるとは、アシェルの辣腕が素晴らしい。


「あの·······私と交替しましょう。私、王女なんで」


アシェルの手引で忍び込んで来た私は早速提案する。

偽物王女はズザッッとのけぞる。


「はああ!? 曲者!!曲者よ〜!!」


「しっ、しいぃっ〜!!」


とんでもないジャジャ馬感満載な王女の替え玉ね······もっとお淑やかな女性はいなかったのかしら?

ややがっかりしながら、偽物王女の口を閉じて事の顛末を話す。


「あ、あら、本物ですの?そういえばお声とお顔を拝見したことがあるような、ないような·····」


私は10歳くらいまでは包帯を巻いている時が多かったから、顔を見知っている人は少ない。

偽物王女はエヴリンと名乗った。ようやく事情を呑み込めたようで、取り乱した佇まいを整えている。

そして、彼女は丁寧に自己紹介をしてくれたのだが、ジョシュアくんの妹だというから驚いた。

暫しジョシュアくん談議に花が咲く。

彼が大事な妹さんを私の変わりにこんな敵地に送り込むとは。臣下とはいえ酷すぎる。本当に申し訳ない思いでいっぱいだった。


「大丈夫ですの!私は強いので。血の滲むような努力の賜物が、今の私です」


エヴリンは胸を張った。かなりの自信を持っている。


ジョシュアくんの家は武芸の名門なので、娘であろうと例外なく武芸の鍛錬を課して日夜励んでいるらしい。


あれ、替玉ってそういう体力的なの必要かしら。確かに無いよりあった方がとは思うけど。うん、頼りになる!


「じゃっ行こうか!これなら交替しなくても二人で逃げられそう!」

私ははりきってそう言うと、


「はあ?」


「え?」


意外な答えが返ってきてしまった。


「アホですか?ここで私が逃げたら人質としてわざわざ来た意味がないでしょう!?」


「じゃ、じゃあ、私が交替する!服脱いで!」


私はエヴリンの服を引っ張る。


「やめてください!だから!本物の王女の人質はエヴァグリーン国にとっても困るんですって!」


「困らないわよ!カインには私から言っておくから!」


二人共引かず、取っ組み合いの喧嘩のようになってしまう。



「キャー!!えっち〜!!」


突然、偽物エヴリンが叫べば警護兵が集まってしまう。私は舌打ちして外へ飛び出そうとした。

そこへ、アシェルがエヴリンの口を抑えて言った。


「お静かに。カイン王太子へは僕から話を通してあります。速やかに交替をお願いします」


私は勝ったと思った。

ありがとうアシェル······あれ?


「?どうやってカインと連絡取ったの?」


この世界にはまだ電話も無いのに。


「アリスの作った18歳の木人形に僕が憑依したんだ」


「そんなことできるの·····」


()()()()ね。短時間だけなら他人の木人形にも入れる」


あの超絶美女木人形に、アシェルが入るなんて········

私はアシェルを見た。彼は今日も美しい。色彩が白っぽいけれど。

うーん、そんなに、違和感ないかもね。


「うそ!カイン様がそんなこと言うはずないですわ!あなたこの国の人なんじゃない?信用できないですわよ!」


「18歳のアリス木人形が空いたから、それを送るって言ってたよ。それが元々の予定通りだそうだからね。『到着まで1週間ぐらい、それまでは誰が何やろうが好きにして過ごせ』ってさ」


「か、カイン怒ってた·······?」


「そりゃあ、ね。でも主に怒ってたのは僕にかな。

結局アリスを人質に連れ去ったようなもんだしね。中身だけだけど。とにかく盛大に不機嫌だったよ··········

そうそう、木人形と一緒に侍従役にジョシュアも送るって」


「えええ!?お兄様が!?」


こわい······エヴリンも震えている。

二人で暫し震える。


とにかく、一週間は私が責任を持って王女をやることになったのだ。


読んでいただきありがとうございます。

漆あんかのTwitterもぜひお越しください!

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