34 (8年前) 君は死んでいた アリスside
「アシェル•アーオイ•マロウです。よろしく」
マロウ家の嫡男だという彼は、意外にもきちんと自己紹介した。
「あの、まさか来ていただけるとは思っていませんでした。お手紙で仰っていた、死んだ人を生き返らせる方法って·····本当にあるんですか?」
「うん。あるよ!」
彼はすごく気安い少年だった。
「生き返らせたい人にそっくりの木像を彫るだけ。簡単でしょ?」
「簡単、じゃないですよ!?そっくりなんて!!」
「練習すれば大丈夫。アリスには才能があるよ?」
「ほっほんとうですか!?頑張ります!アシェル様!」
あれ?才能があるって、ほとんど初対面で分かる?
「うんうん、アシェルって呼んでね。······僕はアリスってすでに呼んでるから、これ以上親しく呼べないけどね」
そういうとアシェルはにっこり笑った。
アシェルって、この国とは昔から確執のあるお家の息子さんだとジョシュアくんから聞いていたけれど、概ね好意的のようだった。
「········ところで、公爵家の坊主、まだいるの?」
アシェルはサディス様を暗い森の奥を覗くように冷えた目で眺めて言った。
アシェルの類稀なる美しい容貌はたったそれだけの表情で、凄みがあって怖いのだ。
サディス様って2歳も歳上なのに坊主呼ばわり!?
やっぱりちょっとはこちらに敵意があるみたい····?
「サッ、サディス様は私の護衛騎士なんですわ!お仕事ですもの、い、いて当然です!」
「アリスがそこまでいうなら許すけど····」
不満げなアシェル様に、サディス様はしれっと無言で壁際に立っている。
サディス様は内乱騒動後、兵士から騎士に昇格した。
話を逸らさないと。
「それにしても、木工の技術者の方はどちらですか?」
「うん、僕がやるよ。資料持ってきたし」
資料·······人体図鑑、神様図鑑、解剖図鑑、木工学に彫刻のススメ、
確かにいっぱい本を持ってきてくれている。
でも、6歳のアシェルと私だけで、本を見ただけでスルスル~っとリアルな彫刻なんてできるわけない·····
ガクンッ!!
急にアシェルが倒れた!
「きゃあぁぁ〜アシェル〜!?」
私は思わず叫び声をあげた。
「刺客か!?であえであえ!」
サディス様が緊張感ある声で兵士を呼ぶ。
あわわ·····、万が一、王城で隣国の政府高官の子息が暗殺されたなんてことになれば、国際問題になるわよこれは!
城の医師が来て、脈をとって呼吸を確かめて次は瞳孔に光を当て散大の有無を確認する。
·······アシェルはやはり、死んでいた。
突然の隣国の政府高官の息子の死に一同静かになる。
サディス様が大きく溜息を吐く。
「··········私達は何も見なかった、·····いいですか?」
一同頷く。私も仕方無しに頷いた。
「彼がここに来たのはお忍びでしょう。きちんとした外交ルートでないのは明らかです」
「··········このまま龜に遺体を隠して、マホニアの街へ運びます。そこの露天商に隣国のとある貴族とパイプのある者がいます。
荷物改め無しで国境を超えられるよう交渉して遺体を隣国へ運び出し、国境の森に捨てましょう」
「サ、サディス様········?」
アシェルが亡くなって、きっとその間数分しか経っていない。なんだろうこの詐謀のスピード感。
「ヘェ~そんなルートがあったんだ〜」
えっっ !?
「ねッ、アリス、僕の身体見てよ。こういう風に作れたら、一級品だよ·············ね?
·······ふふっ、死んだと思った?」
「···············」
「それは、もう···········」
アシェルは一同見渡してくすりと冷笑した。
「貴重なお話をありがとう。今後の国境間のやり取りの参考にさせてもらうよ」
とりあえず、良かった、のかな?
「あ、身体·········!?
もしかしてアシェルは、木像、なんですか?」
「うん。ここでは落ち着いて見せられないから、
アリスの部屋に連れて行ってもらおうかな。
じ〜っくり、見てみたいでしょ?」
アシェルはあっはっはと、笑いながら私の背を押して、廊下へ出た。
啞然とした一同、
それを静止できる者はいなかった。
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